日本金属学会

身の回りの金属を知ろう

金属は身近なところで活躍しています。
身の回りに溢れている金属製品について、知っているようで知らない事がたくさんあります。
どこでどんなふうに活躍しているか、身の回りの金属について知ってみませんか?

金属が製品になるまで

vol.2鋼はどうやって作るの?

『鋼』は炭素を0.007mass%から2.0mass%含有する。現在の主たる製造技術は高炉―転炉による間接製鉄法である。

鋼の製造工程

溶解
アーク式電気炉などでは鉄屑(スクラップ)と合金を加えて溶解して鋼を製造する。また、特殊溶解によって不純物元素(酸素、窒素、水素や非金属介在物など)を低減した高清浄な鋼を製造されている。更に、特殊鋼の製造には、高清浄度鋼製造の為に真空溶解や再溶解なども行われる。

鋳造・熱間加工
転炉で精錬された溶鋼は連続鋳造によって直接ブルームなど形状に鋳込まれ、引き続き熱間圧延される。 また、インゴット(鋼塊)形状に鋳造され、加熱後に鍛造機械(プレスや圧延機)によってブルームなどの形状に加工される。

仕上圧延・熱処理
ブルームなどの中間素材を熱間加工または冷間加工して指定された形状・寸法に仕上げる。指定に従って必要な熱処理を行う。

検査・試験
製品に表面および内部欠陥の有無などを超音波検査などの非破壊検査や破壊試験による性能試験を行う。

参考資料

高炉(blast furnace)
鉄鉱石を還元して銑鉄(溶銑=溶けた銑鉄)を製造する炉

転炉(converter)
18世紀中ごろHenry Bessemerによって発明された炉で、溶銑を大量に短時間で脱炭反応を行い、銑鉄を鋼に変える(convert)炉

間接製鉄法
鉄鉱石⇒銑鉄⇒鋼の工程で鋼を製造するプロセス

直接製鉄法
鉄鉱石⇒鋼を製造するプロセス。たたら製鉄の「鉧押し」で砂鉄(磁鉄鉱)から直接玉鋼を製造するのはその一例である。

電気炉(electric furnace)
三相交流を利用したアーク式電気炉や誘導電流を利用した高周波誘導炉、低周波誘導炉がある。

特殊溶解法
エレクトロスラグ再溶解(electro-slag remelting)、真空アーク再溶解(vacuum arc remelting)、真空誘導溶解(vacuum induction melting)などがある。

非金属介在物(non-metallic inclusion)
鋼が破壊する主要原因の一つであり、微細な酸化物、硫化物を除去する為に特殊溶解が使われる。

連続鋳造(continuous casting)
従来、鋼塊(ingot)を鍛造することによって製造していたビレット(billet)、ブルーム(bloom)、スラブ(slab)を、溶鋼から直接鋳型内で連続的に凝固させて製造するプロセス。

熱処理(heat treatment)
鋼は熱処理によって機械的性質(強さや靭性、硬さなど)が大きく変化する。使用される目的に合うように性能を制御するための方法。ある一定温度からの冷却速度が重要である。(マルテンサイト変態の利用)

非破壊検査(Non destructive inspection)
超音波の反射、X線透過、磁気探傷、浸透探傷など製品を破壊せずに内部欠陥検出を行う検査。

破壊試験(destructive inspection)
製品の一部を切断などの方法で切り取って検査する。マクロ組織、ミクロ組織、非金属介在物試験などである

参考文献:
①製鉄工程図:
Kawasaki Steel 21st Century Foundation 1997-2002
JFE 21stCentury Foundation 2003
②インゴットの図:日立金属工具鋼株式会社ホームページ

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