日本金属学会

身の回りの金属を知ろう

金属は身近なところで活躍しています。
身の回りに溢れている金属製品について、知っているようで知らない事がたくさんあります。
どこでどんなふうに活躍しているか、身の回りの金属について知ってみませんか?

現場の声

金属を勉強して会社に入ると?
株式会社IHI 技術開発本部 基盤技術研究所 材料研究部 久布白圭司さん

久布白圭司さん
~高校生時代~

高校時代は、部活(バドミントン)がほぼ全ての毎日でした。進路については、高校2年生ぐらいまでは、①東京に行きたい、②医者か料理人になりたいと、2つの希望があったくらいです。しかしながら、この2つの希望をかなえる学力は自分になく、田舎ものなので、①「東京に行きたい」を優先しようと決意しました。英語が苦手だったこともあり、理系を選択していたので、3年生に入ってから理学部、工学部の中から学科を選ぶことにしました。その際に当時の化学の先生から「材料系は面白いぞ!」と進められたのを覚えています。今振り返っても何処が面白いのか覚えてないくらいなので、大して本気で考えていなかったのでしょう。ただ、面白いぞという先生の言葉を簡単に信じて、材料系の学科を選択したと思います。その後、希望通り材料系の学科へ進学することとなりました。


~大学時代~

私が通っていた大学では、2年生になる時点で材料系の学科から無機、有機、金属を選択することになっていたため、金属工学科を選択しました。金属工学科が選んだポイントは、先生達の雰囲気でした。ノリで言いますと、体育会系に近い先生が多かったイメージで、この学科なら何となく楽しくやっていけそうだと考えました。2年、3年は金属工学科に通っていましたが、正直「金属」に特に思い入れはなく、この頃は4年で卒業し、文系就職などもいいなあと考えていたくらいです。大学院へ進もう、今の会社へ就職しようと考えたのは、研究室に配属された後でした。

そのキッカケは指導教官の先生でした。研究室に配属されてから知ったのですが、いろんな意味でユニーク先生でして、学科内でも有名だったようです。先生から研究室配属されてすぐに、「最低でも大学院へ行かないと金属の面白さはわからない、卒業後は研究が面白いなら必ず金属材料に関係する職場を希望するはずだ」何度も言われたのを覚えています。最初は4年で就職も考えていましたが、先生に感化され大学院まで行こうかと思うようになりました。 卒業研究は、チタンアルミ合金という金属とセラミックスの間のような材料の単結晶を作って高温で変形させ、変形メカニズムを明らかにするという研究でした。単結晶を作るのに非常に手間がかかる実験でしたが、うまくいくと非常に達成感を覚えました。


~大学院時代~

学部4年の際に卒業論文を書くのですが、あまりにも自分の実力のなさを痛感するとともに、研究って意外と面白いかも!というキッカケなりました。修士1年生からはバイトも辞めて、毎日実験の日々でしたが、非常に楽しかったのを覚えています。何がそんなに面白かったかというと、実験結果が教科書では説明できないところです。自分はもちろんのこと、先生の予想も裏切る結果が出ると、それを考察するために次々と追加実験がでてきます。その頃、大学院修士課程の後、博士課程へ進むのも面白そうと考えるようなってきます。ただ色々考えた末、早く就職して社会人として頑張ろうと決意し、今の会社であるIHIへ就職したいと考えました。IHIを選んだ理由は、「重工業で大きいものを作っている会社に入り、ものづくりをしたい」と考えたからです。よって、修士2年生では、研究するのは修士で最後と思い、一生懸命頑張ろうと決意しました。


~入社後~

配属された職場は、一番希望していない研究所へ配属されました。社会人に入ったらものづくりをと考えていましたが、研究の面白さは大学院時代にわかった気になっていたので、あまり深く考えず今の職場で頑張ろうと決意しました。業務では、学生時代とあんまり変わらず、毎日楽しい研究する日々でした。違いといえば、学生時代とスピード感が違うという点と、大学では基礎研究をやっていたのですが、会社では実際に世の中で使われている金属材料を扱うことが非常に多いという点です。会社入って研究を続けるうちに、ようやく金属材料の面白さがわかってきたような気がします。金属は世の中でたくさん使われていて、色んな先人の知恵が凝縮されていると。このまま会社でも金属の研究を続けたいと思うようになり、社会人のまま博士課程への進学を決めました。

博士課程での生活は、所属する大学の研究室、自分が働く会社によって異なりますが、週に1回以上会社帰りと土日は学校へ行くようになります。入社5年目で進学したので会社の業務も増えてきていて、起きている時間のほとんどは、会社か学校にいました。指導教官のお力添え、会社の先輩・同僚の助け、大学の研究室の学生さんの助けもあり、何とか博士課程も卒業できました。博士号を習得しても会社では何も変わりませんが、自分の中で「これからもきちんと研究をやっていくぞ」というモチベーションを維持するのに非常に支えとなっています。

入社7年以降は、後輩の育成なども実施するようになり、自分のみで仕事するのではなく、チームで仕事するようになりました。自分で実験できないことも増えてきているのは非常に悲しいですが、チームで仕事することによってよりたくさんの研究をできるようになり、毎日充実した生活を送ることができています。

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