日本金属学会

表彰(日本金属学会)

2004年3月




第49回 日本金属学会賞受賞者

千葉工業大学教授・東京大学名誉教授  工学博士  増 子   昇 君




第62回 日本金属学会功績賞受賞者

[物性部門]

神戸大学大学院自然科学研究科教授 工学博士 保 田 英 洋 君

[組織部門]

東北大学大学院工学研究科助教授 工学博士 貝 沼 亮 介 君

[力学特性部門]

宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部助教授 工学博士 佐 藤 英 一 君

[材料化学部門]

大阪府立大学大学院工学研究科助教授 博士(工学) 秋 山 友 宏 君

[材料化学部門]

京都大学大学院工学研究科助教授 工学博士 平 藤 哲 司 君

[材料プロセシング部門]

新日本製鐵株式会社鉄鋼研究所主幹研究員 博士(工学) 井 上 裕 滋 君

[工業材料部門]

独立行政法人 物質・材料研究機構主席研究員 博士(工学) 鳥 塚 史 郎 君

[工業技術部門]

独立行政法人 物質・材料研究機構ディレクター 工学博士 熊 倉 浩 明 君




第43回 日本金属学会谷川・ハリス賞受賞者

[材料の拡散に関する研究]

東北大学大学院工学研究科教授 工学博士 飯 島 嘉 明 君

[非鉄高温プロセスの化学熱力学的研究]

東北大学多元物質科学研究所教授 工学博士 板 垣 乙未生 君

[金属・金属間化合物における拡散およびポーラス金属の開発]

大阪大学産業科学研究所教授 工学博士 中 嶋 英 雄 君

[金属・合金の動的再結晶と高温加工下組織制御に関する研究]

電気通信大学知能機械工学科教授 工学博士 酒 井   拓 君




第10回 日本金属学会増本量賞受賞者

[アモルファス合金、準結晶に代表される複雑構造物質の電子論に基づく相安定とHume-Rothery則に関する研究]

名古屋大学大学院工学研究科教授 工学博士 水 谷 宇一郎 君

[メゾスコピック組織制御による機能最適化に関する基礎研究]

京都大学大学院工学研究科教授 工学博士 長 村 光 造 君




第45回 日本金属学会技術賞受賞者

[高機能高級特殊鋼の開発ならびに量産化技術の確立]

山陽特殊製鋼株式会社技術管理部取締役部長 工学士 岸 本 耕 司 君

[熱間圧延工程の材質制御によるアルミニウム圧延材の品質向上技術の開発]

株式会社神戸製鋼所技術開発本部材料研究所所長 工学修士 関   勇 一 君

[薄鋼板の新連続焼鈍メタラジー技術&新商品の開発]

新日本製鐵株式会社広畑技術研究部(現・株式会社ニッテクリサーチ技術顧問) 山 田 輝 昭 君




第5回 日本金属学会学術功労賞受賞者

大阪府立大学大学院工学研究科 教 授 工学博士 東   健 司 君

東北大学名誉教授 産学官研究員 工学博士 平 賀 賢 二 君

独立行政法人 産業技術総合研究所 主任研究員 工学博士 岡 崎 義 光 君




第35回 日本金属学会研究技術功労賞受賞者

株式会社日本製鋼所研究開発本部室蘭研究所 主任 石 川   昇 君

新日本製鐵株式会社君津技術研究部研究試験課 主任 伊 藤 健 彦 君

住友金属工業株式会社総合技術研究所 テクニカルリーダー 茅 野 松 男 君

新日本製鐵株式会社八幡技術研究部研究試験課 主任 北 原 幸 一 君

独立行政法人 物質・材料研究機構 高度技術専門職 宮 代   寛 君

三菱重工業株式会社高砂研究所(現・ツルイ化学株式会社 主査) 岡 本 周 三 君

東北大学多元物質科学研究所 文部科学技官 高 野 勝 利 君

JFEスチール株式会社スチール研究所 マネージャー 高 月 安 博 君

東北大学工学部・工学研究科 文部科学技官 山 田 義 信 君




第12回 日本金属学会・日本鉄鋼協会奨学賞受賞者

北海道大学工学部 材料工学科 西川紘介 君

室蘭工業大学工学部 材料物性工学科 高島大貴 君

室蘭工業大学工学部 機械システム工学科 若松世敬 君

岩手大学工学部 材料物性工学科 三澤伸行 君

秋田大学工学資源学部 材料工学科 竹中佳生 君

秋田大学工学資源学部 環境物質工学科 辰巳良介 君

東北大学工学部 金属工学科 二宮彬仁 君

東北大学工学部 材料物性学科 宮崎 彩 君

東北大学工学部 材料加工学科 上原朋樹 君

茨城大学工学部 物質工学科 池田圭太 君

筑波大学第3学群 工学基礎学類 小澤悠一 君

東京大学工学部 マテリアル・工学科 鈴木崇久 君

東京工業大学工学部 金属工学科 大村知也 君

横浜国立大学工学部 生産工学科 高橋美佳 君

長岡技術科学大学工学部 機械創造工学課程 大窪慶之 君

長岡技術科学大学工学部 材料開発工学課程 冨樫靖久 君

富山大学工学部 物質生命システム工学科 池田恵美 君

豊橋技術科学大学工学部 生産システム工学系 九島拓郎 君

名古屋大学工学部 材料機能工学科 蟹江三次 君

名古屋大学工学部 材料プロセス工学科 津田智司 君

名古屋工業大学工学部 材料工学科 熊谷 建吾 君

京都大学工学部 物理工学科 佐野 光 君

大阪大学工学部 応用理工学科マテリアル応用工学科目 河野 崇 君

大阪大学工学部 応用理工学科マテリアル科学科目 保井基良 君

大阪大学工学部 応用理工学科生産科学科目 太田邦夫 君

大阪大学基礎工学部 電子物理科学科 八木良平 君

島根大学総合理工学部 物質科学科 栞原大樹 君

香川大学工学部 材料創造工学科 藤中真吾 君

愛媛大学工学部 機能材料工学科 北森智子 君

九州大学工学部 物質科学工学科材料科学 工学コース 安東知洋 君

九州工業大学工学部 物質工学科 西田尚典 君

長崎大学工学部 材料工学科 濱口 梓 君

熊本大学工学部 知能生産システム工学科 山田孝行 君

大阪府立大学工学部 材料工学科 辻村剛志 君

大阪府立大学工学部 機能物質科学科 益子慶一郎 君

姫路工業大学工学部 材料工学科 岡田孝子 君

石巻専修大学理工学部 電子材料工学科 齋藤大樹 君

帝京大学理工学部 材料科学工学科 飯島正浩 君

千葉工業大学工学部 金属工学科 若菜俊明 君

東京理科大学基礎工学部 材料工学科 中村 幸 君

芝浦工業大学工学部 材料工学科 田中勇太 君

早稲田大学理工学部 物質開発工学科 林 達也 君

東海大学工学部 金属材料工学科 大久保順吉 君

金沢工業大学工学部 物質システム工学科 安間信貴 君

金沢工業大学工学部 機械工学科 瀬藤友則 君

関西大学工学部 材料工学科 中村貴彦 君

近畿大学理工学部 金属工学科 前川直彦 君

山口東京理科大学基礎工学部 素材基礎工学科 岡村美由紀 君




第54回 日本金属学会金属組織写真賞

A部門作品

入   賞

ナノホール制限成長法によるシリコンナノワイヤー作製

筑波大学物質工学系・科学技術振興機構 木 塚 徳 志 君
筑波大学物理学系 安坂 幸 師 君
筑波大学生(現院生) 高 谷 恭 弘 君

佳 作 賞

高温その場ADF-STEM法による準結晶の局所的熱振動異常の直接観察

物質・材料研究機構 阿 部 英 司 君
物質・材料研究機構;東北大学多元物質科学研究所 蔡   安 邦 君
オークリッジ米国立研究所 S. J. Pennycook 君

奨 励 賞

Coナノ粒子の形態・配列制御とその磁気的相互作用の解析

東北大学多元物質科学研究所 安 原   聡 君 高   有 輝 君 朴   英 吉 君
村 上 恭 和 君 進 藤 大 輔 君
University of Washington Yuping Bao 君 Michael Beerman 君 Kannan M. Krishnan 君




B部門作品

佳 作 賞

酸化チタン・ナノチューブの電子顕微鏡観察

産業技術総合研究所秋 田 知 樹 君 田 中 孝 治 君 香 山 正 憲 君
触媒化成工業株式会社 大熊加代子 君 小 柳 嗣 雄 君

奨 励 賞

TEM内その場観察法による窒化ケイ素の粒内破壊に伴う亀裂進展経路の同定

東京大学工業学部総合研究機構 井 誠一郎 君 岩 本 知 広 君 松 永 克 志 君
東京大学新領域創成科学研究科 山 本 剛 久 君 東京大学工業学部総合研究機構 幾 原 雄 一 君

奨 励 賞

単結晶組成傾斜法および集束イオンビーム・マイクロサンプリング法によるAl-rich TiAl中の長周期規則構造の解析

九州大学大学院総合理工学府 白石康次郎 君
九州大学大学院総合理工学研究院 波 多   聰 君,板 倉   賢 君,友 清 芳 二 君
九州大学産学連携センター 桑 野 範 之 君
大阪大学大学院工学研究科・阪大FRC 中 野 貴 由 君 馬 越 佑 吉 君




第54回金属組織写真賞応募作品選評

本年度の応募は、A部門に14件、B部門に3件の合計17件であり、例年に較べやや少ない件数ではあったが、新しい材料の合成や、現象の決定的瞬間を捕えようとする挑戦的な写真、また試料作製法にも工夫を凝らした作品などが注目された。A部門の選考は、例年通り二段階評価方式としたが、B部門については、A部門の一次選考後に、審議により2件をむしろB部門としての価値が高いとして扱い、合計5件とした中から選考した。その結果、A部門では、入賞1件、佳作賞1件、奨励賞1件、B部門では佳作賞1件、奨励賞2件が選出された。

A部門の入賞作品は、「ナノホール制限成長法によるシリコンナノワイヤー作製」である。独自開発した成長法により、均一太さのSiナノワイヤーの作製に成功し、かつその成長過程や破断時の特徴的な挙動をその場観察から明らかにしたもので、学術的価値が高いと評価された。佳作賞作品は、「高温その場ADF-STEM法による準結晶の局所的熱振動異常の直接観察」である。熱散漫散乱された電子強度を二次元マッピングすることで、固体中の局所的なデバイワーラー因子異常を高温で直接観察し、準結晶中のフェイゾンゆらぎを原子レベルで捉えた初めての写真として高く評価された。奨励賞作品は、「Coナノ粒子の形態・配列制御とその磁気的相互作用の解析」である。液相還元法により有機分子で被覆されたCo微粒子を合成し、形態制御や、配列の高次元構造実現に成功した。またその制御因子を、電子線ホログラフィー技術を主体として磁性の観点で解明した学術的意義のある作品であった。

B部門では、写真作品としての卓越性の観点から、入賞作品は見送られた。佳作賞作品は「酸化チタン・ナノチューブの電子顕微鏡観察」である。特異な構造を持つ酸化チタン・ナノチューブの高分解能写真が優れ、教材にも活用できるような典型的な写真作品として高く評価された。奨励賞の二作品は、「TEM内その場観察法による窒化ケイ素の粒内破壊に伴う亀裂進展経路の同定」および「単結晶組成傾斜法および集束イオンビーム・マイクロサンプリング法によるAl-rich TiAl中の長周期規則構造の解析」である。前者は、電子顕微鏡の中で試料に直接亀裂を導入し、フレッシュな破面に対してそのまま原子レベルの高分解能観察を可能とする技術が評価された。後者は、Ti-Al単結晶を高温のAl浴中に浸すことで組成傾斜を付与し、かつその傾斜組成域を狙ってピンポイントで電顕試料を作製する点に特徴があり、金属間化合物の準安定相の構造解析や状態図の形成に役立つ技術手法である点が評価された。

これら以外の応募作品にも、学術的、技術的に注目させられるものが少なからずあったが、A部門、B部門の双方とも、応募理由をより明確化し、また写真品質に関するさらなる工夫が望まれた。そこでA部門、B部門の選定基準の明確化、かつ組織写真として引き立つ各々の写真サイズの見直しを行い、公募規定を改訂した。独創的な作品の益々の応募を期待したい。




第2回日本金属学会優秀ポスター賞受賞者

超微細粒組織を有する純アルミニウムの降伏点降下現象とリューダース変形

大阪大学 菱田元樹 君,辻 伸泰 君,小泉雄一郎 君,南埜宜俊 君
九州大学 中島英治 君,吉田冬樹 君,山田康介 君

Cu-Al合金の保護性酸化皮膜による耐酸化性向上

東北大学 洪 相輝 君,三村耕司 君,一色 実 君

単結晶シリコンより作製したミクロンサイズ試験片の破壊靱性評価

東京工業大学 小山 聡 君,高島和希 君,肥後矢吉 君

ディップコーティング法によるMo基板上へのMo(Si,Al)2皮膜の作製

岡山県工業技術センター 國次真輔 君,西田典秀 君
岡山大学 冨谷隆夫 君,長江正寛 君,中西 真 君,藤井達夫 君,高田 潤 君

交換増強されたパウリ常磁性Lu (Co,Ga)2ラーベス相化合物の磁場中熱膨張特性

東北大学 太田元基 君,藤田麻哉 君,深道和明 君,木村久道 君

Ti /ハイドロキシアパタイト高周波スパッタ皮膜界面組織の構造解析

愛媛大学 岡野宏子 君,小林千悟 君,仲井清眞 君,九州大学 桑野範之 君

X線による (Ni,Nb)100-XZrX金属ガラス水素透過膜の構造解析

東北大学 若生公郎 君,田中 哲 君,木村久道 君,山浦真一 君,
井上明久 君,松原英一郎 君,福田金属箔粉工業 新保洋一郎 君,西田元紀 君

B2型Fe-48mol%Al単結晶表面の自己組織化と表面酸化

東北大学 山内 啓 君,常包将史 君,吉見享祐 君,宍戸統悦 君,花田修治 君


第52回 日本金属学会論文賞受賞者

2004年9月

[物性部門] Origin of Perpendicular Magnetic Anisotropy in Tb-Fe Amorphous Alloy
(Materials Transactions Vol.44、No.12)

東北大学大学院工学研究科助手 博士(工学) 太田元基 君

函館工業高等専門学校電気電子工学科助教授 博士(工学) 山田一雅 君

北陸先端大学院生 学士(工学) 佐竹祥彦 君

東北大学大学院工学研究科助教授 博士(工学) 藤田麻哉 君

東北大学大学院工学研究科教授 工学博士 深道和明 君

[組織部門] Influence of Magnetic Field Direction on Rearrangement of Martensite Variants in an Fe-Pd Alloy
(Materials Transactions Vol.44、No.12)

大阪大学大学院工学研究科 修士(工学) 阪本辰顕 君

大阪大学大学院工学研究科 講師 博士(工学) 福田 隆 君

大阪大学大学院工学研究科教授 理学博士 掛下知行 君

大阪大学低温センター助手 博士(理学) 竹内徹也 君

東京大学大学院工学研究科教授 Ph.D 岸尾光二 君

[力学特性部門] Grain-Boundary Sliding in AZ31 Magnesium Alloys at Room Temperature to 523K
(Materials Transactions Vol.44、No.4)

東北大学大学院工学研究科教授 Ph.D 小池淳一 君

東北大学大学院工学研究科院生 修士(工学) 大山 礼 君

東北大学 (現・日野自動車株式会社) 修士(工学) 小林孝幸 君

東北大学大学院環境科学研究科助手 博士(工学) 鈴木真由美 君

東北大学大学院環境科学研究科教授 工学博士 丸山公一 君

[材料化学部門] Determination of Macro-Contact Angle and Line Tension at High Temperatures for Au/Al2O3 System at 1373 K Using a Micro-Scale Wetting Method
(Materials Transactions Vol.44、No.12)

大阪大学大学院工学研究科助手 博士(工学) 李 俊昊 君

東京大学マテリアル工学専攻助教授 工学博士 森田一樹 君

大阪大学大学院工学研究科教授 工学博士 田中敏宏 君

[材料プロセシング部門] 電子ビームを用いた一方向凝固法によるシリコン中の金属不純物の除去
(日本金属学会誌 第67巻10号)

JFE 技研株式会社企画部主任部員 博士(工学) 湯下憲吉 君

JFE スチール株式会社スチール研究所 主任研究員 理学修士 花澤和浩 君

JFE スチール株式会社太陽電池原料事業推進部部長 工学修士 日和佐章一 君

川鉄テクノリサーチ株式会社主任研究員 工学博士 加藤嘉英 君

[工業材料部門] 生体用Ti-29Nb-13Ta-4.6Zr合金の疲労特性に及ぼす加工熱処理の影響
(日本金属学会誌 第67巻11号)

豊橋技術科学大学生産システム工学系 助手 博士(工学) 赤堀俊和 君

豊橋技術科学大学 生産システム工学系 教授 工学博士,博士(歯学) 新家光雄君

豊橋技術科学大学 (現・日本メディカルマテリアル株式会社研究部) 修士(工学) 石水敬大 君

愛知学院大学歯学部 教授 歯学博士 福井壽男 君

大同特殊鋼株式会社チタン事業部主任部長 工学修士 鈴木昭弘 君

[まてりあ論文部門] 鉄鋼材料における相変態に関する結晶学的研究
(まてりあ 第40巻1号)

愛媛大学工学部教授 工学博士 仲井清眞 君

愛媛大学名誉教授 Ph.D 工学博士 大森靖也 君

エネルギーフィルタリング電子回折法による短範囲規則構造の定量解析
(まてりあ 第40巻8号)

東北大学 (現・新日本製鐵株式会社先端技術研究所主任研究員) 博士(工学) 池松陽一 君

東北大学多元物質科学研究所教授 工学博士 進藤大輔 君

[若手講演論文部門]
Co2Cr1-xFexAl フルホイスラー合金の構造と磁気・伝導特性
(日本金属学会会誌 第68巻 2 号)
東北大学大学院工学研究科 修士(工学) 岡村 進 君
東北大学 後藤龍太 君,手束展規 君,杉本 諭 君,猪俣浩一郎 君

Visualization of Hydrogen Distribution in Tensile-Deformed Al-5%Mg Alloy Investigated by means of Hydrogen Microprint Technique with EBSP Analysis
(Materials Transactions Vol.45、No.2)
大阪大学大学院基礎工学研究科助教授 博士(工学) 堀川敬太郎 君
徳島大学 吉田憲一 君

Preciptation of the Icosahedral Quasicrystalline Phase, R-phase and Laves Phase in Ferritic Alloys
(Materials Transactions Vol.45、No.2)
東京工業大学総合理工学研究科産学官連携研究員 博士(工学) 山本啓介 君
東京工業大学 木村好里 君,三島良直 君
(部門別 ABC 順)


第27回 日本金属学会技術開発賞受賞者

2004年9月

マグネシウム製品への環境調和型陽極酸化処理の開発 (まてりあ 第43巻1号)

堀金属表面処理工業株式会社 酒井宏司 君

岡山県工業技術センター材料技術部室長 博士(工学) 日野 実 君

岡山県工業技術センター材料技術部長 工学博士 平松 実 君

岡山理科大学工学部 教授 工学博士 金谷輝人 君

高温冶金反応を利用したガス化溶融システムの開発 (まてりあ 第43巻1号)

住友金属工業株式会社総合技術研究所副所長 博士(工学) 山本高郁 君

住友金属工業株式会社総合技術研究所副主任研究員 博士(工学) 佐藤弘孝 君

住友金属工業株式会社総合技術研究所主任研究員 修士(工学) 松倉良徳 君

ボイラ用高強度オーステナイト系ステンレス鋼管 XA704(火 SUS347J1TB)の開発
(まてりあ 第43巻1号)

新日本製鐵株式会社鉄鋼研究所主任研究員 理学修士 石塚哲夫 君

新日本製鐵株式会社鉄鋼研究所主幹研究員 工学修士 三村裕幸 君

新日本製鐵株式会社鉄鋼研究所主任研究員 博士(工学) 森本 裕 君

新日本製鐵株式会社鋼管事業部マネジャー 修士(工学) 松本光弘 君

新日本製鐵株式会社鋼管事業部マネジャー 工学修士 岡本潤一 君

大気環境中における変色機構解明に基づく耐変色性に優れた建材用チタン板の開発
(まてりあ 第43巻1号)

新日本製鐵株式会社鉄鋼研究所主任研究員 博士(工学) 金子道郎 君

新日本製鐵株式会社技術研究部主任研究員 修士(工学) 高橋一浩 君

新日本製鐵株式会社技術研究部主任研究員 工学修士 林 照彦 君

新日本製鐵株式会社チタン事業部マネージャー 工学修士 徳野清則 君

新日鐵住金ステンレス株式会社主任研究員 博士(工学) 武藤 泉 君

プラスチック基板用 MgF2 光学膜コーティング技術の開発 (まてりあ 第43巻1号)

新明和工業株式会社開発センタ 修士(工学) 堀 崇展 君

株式会社 日立製作所 (現・東京大学生産技術研究所客員助教授) 理学博士 梶山博司 君

新明和工業株式会社開発センタ 修士(工学) 床本 勲 君

新明和工業株式会社開発センタ 主任技師 工学修士 近藤隆彦 君

株式会社 日立製作所(現・日立金属株式会社先端エレクトロニクス研究所所長) 工学博士 峯村哲郎 君

高強度微細結晶粒銅合金「SFG」の開発 (まてりあ 第43巻1号)

三宝伸銅工業株式会社(現・大阪大学大学院工学研究科) 学士(工学) 佐々木 勲 君

三宝伸銅工業株式会社開発センター主務部員 修士(工学) 大谷淳一 君

三宝伸銅工業株式会社開発センター研究員 修士(工学) 畑 克彦 君

三宝伸銅工業株式会社 開発センターセンター長 博士(工学) 大石恵一郎 君

窒素吸収処理を利用した Ni フリーステンレス鋼製品の製造技術の開発 (まてりあ 第43巻2号)

物質・材料研究機構 生体材料研究センター研究員 博士(工学) 黒田大介 君

物質・材料研究機構 (現・東京医科歯科大学教授) 歯学博士・博士(工学) 塙 隆夫 君

物質・材料研究機構生体材料研究センター主任研究員 博士(工学) 山本玲子 君

北海道大学病院歯科診療センター講師 歯学博士 横山敦郎 君

デンツプライ三金株式会社課長 工学士 織田直樹 君

ピーニング向け高強度,長寿命アモルファス合金投射材「アモビーズ」の開発 (まてりあ 第43巻2号)

新東ブレーター株式会社材料開発グループ主任技術員 工学士 奥村 潔 君

新東ブレーター株式会社材料開発グループマネージャー 工学士 黒崎順功 君

新東工業株式会社研究所開発部常務参与 工学士(機械) 西村一敏 君

東北大学金属材料研究所助教授 博士(工学) 木村久道 君

東北大学金属材料研究所教授・所長 工学博士 井上明久 君

ニッケルフリー白色銅合金の開発と金属ファスナーへの応用 (まてりあ 第43巻2号)

YKK 株式会社 金属材料研究所副主任研究員 修士(工学) 吉村泰治 君

YKK 株式会社 金属材料研究所所長 博士(工学) 喜多和彦 君

YKK 株式会社 技術開発センターグループ長 理学学士 杉本保彦 君

YKK 株式会社 技術開発センター主事 修士(工学) 福山貴博 君

東北大学金属材料研究所教授・所長 工学博士 井上明久 君

疲労き裂進展を自己抑制する新機能厚鋼板の開発 (まてりあ 第43巻2号)

住友金属工業株式会社総合技術研究所 主任研究員 博士(工学) 誉田 登 君

住友金属工業株式会社総合技術研究所 主任研究員 工学修士 藤原知哉 君

住友金属工業株式会社総合技術研究所 部 長 工学博士 有持和茂 君

住友金属工業株式会社鋼板建材カンパニー 次長 工学修士 大西一志 君

姫路工業大学 (現・兵庫県立大学工学研究科助教授) 工学博士 山下正人 君

スパッタの発生を大幅に低減した高周波パルス CO2 アーク溶接法の開発
(まてりあ 第43巻2号)

JFE スチール株式会社スチール研究所主任研究員 工学士 片岡時彦 君

JFE スチール株式会社スチール研究所 主任研究員 工学修士 池田倫正 君

JFE スチール株式会社スチール研究所 主任研究員 工学修士 阪口修一 君

JFE スチール株式会社スチール研究所 部長 工学修士 安田功一 君

JFE スチール株式会社西日本製鉄所主任部員 修士(工学) 時乗健次 君

多機能新チタン合金‘ゴムメタル’の開発 (まてりあ 第43巻2号)

株式会社 豊田中央研究所 研究員  古田忠彦 君

株式会社 豊田中央研究所 研究員 博士(工学) 倉本 繁 君

株式会社 豊田中央研究所研究員 博士(工学) 黄 作字煥 君

株式会社 豊田中央研究所  伊東一彦 君

株式会社 豊田中央研究所取締役 工学博士 斎藤 卓 君

マイクロアロイング制御による大入熱溶接熱影響部靭性向上技術「JFEEWEL」および本技術を用いた厚鋼板の開発
(まてりあ 第43巻3号)

JFE スチール株式会社スチール研究所 主任研究員 工学士 鈴木伸一 君

JFE スチール株式会社スチール研究所 主任研究員 工学修士 大井健次 君

JFE スチール株式会社スチール研究所 主任研究員 修士(工学) 一宮克行 君

JFE スチール株式会社スチール研究所 主任研究員 工学修士 木谷 靖 君

JFE スチール株式会社スチール研究所 主任研究員 修士(工学) 村上善明 君

抗菌めっき「KENIFINE®」の開発 (まてりあ 第43巻3号)

株式会社 神戸製鋼所材料研究所 修士(工学) 漆原 亘 君

株式会社 神戸製鋼所材料研究所研究首席 工学博士 中山武典 君

微細低炭素ベイナイト技術による大入熱溶接熱影響部靭性に優れた高強度厚鋼板の開発
(まてりあ 第43巻3号)

株式会社 神戸製鋼所材料研所 主任研究員 修士(工学) 畑野 等 君

株式会社 神戸製鋼所材料研究所 修士(工学) 岡崎喜臣 君

株式会社 神戸製鋼所加古川製鉄所 修士(工学) 川野晴弥 君

株式会社 神戸製鋼所 加古川製鉄所 主任研究員 学士(理学) 岡野重雄 君

(掲載号順)


第14回 日本金属学会奨励賞受賞者

2004年9月

[物性部門]

京都大学大学院工学研究科助手 博士(工学) 大 場 史 康 君

 受賞者は、酸化物中の界面や点欠陥の局所原子・電子構造に起因した電気的機能に関する研究を中心に行っている。主な業績として、(1)酸化亜鉛中の結晶粒界の量子構造と電気的特性との関係の解明、(2)酸化物膜/基板界面構造の原子レベルでの評価に基づいた膜成長機構の提案、(3)酸化物および窒化物半導体に最適なドーパント種やドーピング条件の理論的予測、などが挙げられる。これらの成果は機能の発現機構を原子・電子レベルの微視的観点から体系的に示し、設計指針を提案したものであり、今後の幅広い展開が期待される。

[物性部門]

大阪大学産業科学研究所助手 修士(工学) 佐 藤 和 久 君

 受賞者は、主に規則合金ナノ粒子の形成と構造・磁性に関する研究を行ってきている。主要な業績は(1)高分解能電子顕微鏡によるL10型 FePt、FePdナノ粒子規則化過程及び規則相形成の粒子サイズ依存性に関する研究、(2)規則化による磁気的性質の変化と極微構造との対応ならびに粒子サイズ依存性の研究、(3)電子回折強度精密定量解析と回折強度計算による長範囲規則度測定法の考案、が挙げられる。これらの研究を通して、磁性ナノ粒子の物性解明に透過電子顕微鏡法による極微構造・組織解析が非常に有用であることを示した。

[組織部門]

東京大学工学系研究科総合研究機構助手 博士(工学) 柴 田 直 哉 君

 受賞者は、透過型電子顕微鏡法を用いたセラミック材料界面の原子・電子構造に関する研究を行っている。主な業績として(1)ジルコニアセラミックス粒界の過剰エネルギー及び溶質偏析の起源を粒界原子構造から解明したこと、(2)窒化ケイ素セラミックスを強靭化する上で不可欠な針状結晶粒の成長機構及び添加物を用いた制御メカニズムを原子レベルから解明したこと、などが挙げられる。これらの成果は、セラミック材料の高機能・高性能化に対する原子・電子レベルからの基礎を与えるものであり、今後の更なる展開が期待される。

[組織部門]

東北大学先進医工学研究機構助手 博士(工学) 須 藤 祐 司 君

 受賞者は、形状記憶合金(SMA)の組織制御に関する研究を行ってきた。主な業績の一つは、高加工性Cu-Al-Mn系SMAの加工熱処理法を用いた組織制御であり、粒径・集合組織制御によりNi-Ti合金に匹敵する7%以上の超弾性特性を実現し、Cu系SMAの医療や電子機器分野への応用を開拓することに成功した。現在では、高性能Cu-Al-Mn系SMAの医療用ガイドワイヤーへの適用やCu-Al-Mn系SMAを用いた制振合金の組織制御に関する研究にも取り組んでおり、今後の更なる飛躍が期待される。

[力学特性部門]

物質・材料研究機構エコマテリアル 研究センター研究員 博士(工学) 垣 澤 英 樹 君

 受賞者は、複合材料の力学特性発現機構に関する研究を行っている。主な業績は、(1)繊維強化セラミックスにおいて摩耗フリーな繊維/多結晶マトリックス界面を実現するとともに、マトリックスの微細組織を考慮に入れた界面の取り扱いを行ったこと、(2)リサイクル指向材料として、粉末の急速凝固組織を利用して銅ナノ分散複合組織を持った鉄系材料を創製したことである。最近は、天然ナノ複合材料の力学特性発現機構の解明とそれに基づいた新しい有機/無機複合材料の創製に取り組んでおり、今後の発展が期待される。

[材料化学部門]

東北大学大学院工学研究科助手 博士(工学) 山 崎 仁 丈 君

 受賞者は、高圧水素を用いて固体金属と水素の反応およびそれに伴う原子の移動現象の速度論に関する研究を行っている。主な業績は、(1)数ギガパスカルの超高圧水素による拡散の促進現象の解明、(2)拡散性に著しい差異のある金属間の化学拡散における特異性の解明および(3)高圧水素を利用したLa系化合物の水素吸放出相変態の解明とその応用などが挙げられる。最近では高性能水素透過膜に関する研究にも取り組んでおり、今後のさらなる発展が期待される。

[材料プロセシング部門]

東北大学大学院工学研究科助手 博士(工学) 佐 藤   裕 君

 受賞者は、各種材料の摩擦攪拌接合(FSW)部における材料組織学的特徴と諸特性に関する研究を行っている。主な業績としては、(1)FSW部に観察される微細再結晶粒などミクロ組織の特徴とその形成機構を明らかにしたこと、(2)各種材料FSW部の機械的特性を支配する材料組織学的因子を系統的に解明したこと、等が挙げられる。これらの成果は、世界的に大きな注目を集めているFSWの材料科学的解明に大きく寄与するばかりでなく、幅広い展開が期待されている。

[材料プロセシング部門]

物質・材料研究機構ナノマテリアル研究所研究員 博士(工学) 鈴 木   拓 君

 受賞者は、最表面のスピン偏極を利用した先進的なプロセス研究を行っている。主な業績として、有機吸着分子のスピン偏極を初めて検出し、単分子吸着層による表面スピン制御の可能性を示したことが挙げられる。また、電子遷移に誘起された表面脱離現象の収率がスピン依存に依存することを見出し、表面で起こる化学反応がスピンと密接に関連することを示したことも特筆すべき業績である。いずれもスピンを生かした新たな表面プロセスに結びつく研究成果であり、今後の発展が期待される。

[工業材料部門]

豊橋技術科学大学生産システム工学系助手 博士(工学) 赤 堀 俊 和 君

 受賞者は、生体用金属材料、特に次世代の生体用金属材料として有望視されているβ型チタン合金であり、生体に対して毒性を示さないとされる元素で構成された低弾性率型Ti-Nb-Ta-Zr系合金の研究・開発を行っている。主な業績の一つは、Ti-29Nb-13Ta-4.6Zr合金の力学的特性、特に疲労特性が加工熱処理によるミクロ組織によって比較的容易に制御可能であることを示し、さらに提案された最適な加工熱処理により、生体用金属材料で必要とされている各特性値が十分に満たされることを実証した。これは、次世代のインプラント材料の信頼性を向上させ、臨床に必要とされる基礎的な力学的特性の知見として活用されると考えられ、今後のさらなる発展が期待される。

[工業技術部門]

日立金属株式会社先端エレクトロニクス 研究所研究員 修士(工学) 所   久 人 君

 受賞者は、焼結磁石の高性能化及び軟磁性金属微粒子に関する研究を行っている。主な業績として、希土類酸化物の生成を抑制したNd-Fe-B系焼結磁石の低酸素プロセスにおいて、不純物相の低減と結晶配向度の向上により高エネルギー積(51MGOe)を有するNd-Fe-B系焼結磁石を量産レベルで開発したこと、が挙げられる。最近は、耐酸化性を有する軟磁性金属微粒子の合成に関する研究に取り組んでおり、今後の発展が期待される。
(部門別 ABC 順)


第2回 日本金属学会功労賞受賞者

2004年9月

[学術部門]

東北大学大学院工学研究科教授 工学博士 深 道 和 明 君

 受賞者は、Cr基反強磁性インバー合金の開発、Fe基アモルファス合金の磁気体積効果、準結晶の構造と磁性、CoおよびFe系化合物の遍歴電子メタ磁性転移に関する基礎研究とその特性を生かした巨大磁気冷凍効果物質の開発、スピントロニクスに関連する高いネール温度を有する反強磁性Mn合金の開発と基礎データの集積、強磁性ホイスラー合金の巨大磁歪およびハーフメタル合金の電磁気特性など、基礎から応用までの広範囲にわたり研究開発し、反強磁性合金の分野を含む多様な磁性材料の基礎と応用の分野の発展に大きく貢献している。

[学術部門]

東北大学金属材料研究所教授 工学博士 花 田 修 治 君

 受賞者は、構造用金属間化合物およびチタン合金の組織制御と力学特性などに関する研究を行い、数多くの優れた成果をあげている。金属間化合物では、組織・組成制御による室温での延性化、靭性化および高温での高強度化、超塑性発現で先駆的成果を報告している。また、チタン合金では、相安定性と変形に関する研究から、室温延性に優れたbccチタン合金の変形機構の組成依存性を明らかにするとともに、生体用チタン合金としてニッケルフリー形状記憶、超弾性、低弾性率合金開発の基礎を確立した。

[学術部門]

名古屋大学大学院工学研究科教授 工学博士 坂   公 恭 君

 受賞者は、透過型電子顕微鏡内その場実験を用い、(1)個別転位の移動度の測定、(2)積層欠陥エネルギーの温度依存性の測定と鈴木効果の実証、(3)B2型長範囲規則合金中の超転位の上昇拡張の発見、(4)マトリックスに埋め込まれた微粒子の融点上昇、(5)固液界面の原子構造解析、(6)はんだ接合、溶融亜鉛めっき過程の動的解析、(7)圧痕直下ならびに亀裂先端部の欠陥構造解析、(8)脆性材料の強靱化法の発明、など基礎的研究から応用研究に亘り顕著な功績をあげている。

[技術部門]

新日本製鐵株式会社・技術開発本部・フェロー Sc.D 松 宮   徹 君

 受賞者は、連続鋳造鋳片のδ-γ変態に起因する鋳片縦割れ発生機構、移動を伴う鋳片バルジング、せん断変形を伴う鋳片矯正変形、共振性非定常バルジングの機構等の解明、および、溶融曲げ試験法による内部割れ発生限界歪の測定を通じ、割れ発生抑制に独特の貢献をした。また、差分法による凝固ミクロ偏析解析法、介在物組成変化解析法を開発し、これらの一般化に対して計算熱力学を先駆的に応用し、溶接部割れ防止、線材の断線防止などの方策を示し、APDIC(状態図に関する国際協力機構)から団体表彰を受けた。

(部門別 ABC 順)


第2回 日本金属学会学術貢献賞受賞者

2004年9月

社団法人 北海道機械工業会技術専門員 工学修士 阿 部 芳 彦 君

 受賞者は、公設試験研究機関において永年にわたり表面技術分野に関する研究開発と関連企業の指導育成に従事し、地域技術の向上と地域産業の振興に寄与してきた。研究開発の成果(例えば、無電解Ni-Pめっき皮膜の複合処理による高機能化技術の開発や代替透明導電(AZO)膜の膜質と湿度劣化機構の解析等)は、民間共同研究や産学官連携の研究開発事業等を通じて公表し、その実用化と関連企業への技術移転に取組んできた。その間、支部理事・監事、表面技術協会支部長・理事等を歴任し、支部の活動に大いに貢献した。

広島大学自然科学研究支援開発センター特任教授 理学博士 藤 井 博 信 君

 受賞者は、主として希土類磁石の特性機構の解明および水素を貯蔵・輸送するための水素吸蔵機能の開発研究に取り組んできた。主な業績は、(1)希土類コバルト磁石材料(RCo5)や希土類鉄窒化物(R2Fe17N3)系単結晶の磁気測定より、高磁石機能の発現メカニズムを解明したこと、および(2)マグネシウムとの複合化によって水素貯蔵合金の水素貯蔵特性が著しく改善されることやミリング処理により作製した軽金属(Li、Mg)-窒素-水素系材料が、既存の水素吸蔵合金に比べて3倍以上の多量の水素を130~180℃の低温で吸蔵放出することなどの発見である。

株式会社 コベルコ科研常務取締役・技術本部長 工学博士 廣 松 睦 生 君

 受賞者は、主として非調質型および調質型高張力厚鋼板、圧力容器用鋼板などの研究開発、鉄鋼の生産プロセスを活用したチタン薄板の生産技術の確立、自動車用や家電用の各種表面処理鋼板の開発と実用化などに取組み、長大橋、揚水発電所用水圧鉄管などの大型溶接構造物の実現や自動車用防錆鋼板・家電用特殊化成処理鋼板の実用化のための技術開発に貢献した。特に、調質型高張力厚鋼板の大型溶接構造物への適用に関しては破壊じん性の見地より溶接残留応力と溶接後熱処理との関係を明確にし、応力除去焼きなまし処理を施さずに、健全な溶接構造物が製作できる設計、施工、組立ての指針作りに寄与した。

大阪府立大学大学院工学研究科教授 工学博士 川 本   信 君

 受賞者は、摩耗、転がり疲れなどの材料の表面損傷に関する基礎的な研究と耐摩耗、耐焼付き材料の開発研究を行ってきた。金属材料の摩耗が一定荷重でも摩擦速度によって大きく変化する現象について、真実接触部の温度とそれを支える部分の温度の相互関係で説明できること、転がり疲れについては、転がり面からのX線回折線の解析で損傷発生の予知ができることを明らかにした。また、鉄鋼材料の流動層炉によるホウ化、浸硫・窒化処理法を開発し、耐摩耗性、耐焼付き性を評価した。

東北大学金属材料研究所教授 理学博士 川 添 良 幸 君

 受賞者は、量子力学計算法の抜本的改善策に関する基礎的研究と、世界に類を見ない超大規模第一原理シミュレーション計算を活用した新物質設計・開発ならびに非平衡系材料データベース構築を行っている。業績は多岐にわたるが、特に、シリコンフラーレンの発見、2元系合金魔法数クラスターの構造決定及びガン治療への応用、分子エレクトロニクス用高分子配線網理論設計、ナノスケールスピントロニクス用材料予言、などが挙げられる。実験の説明に過ぎなかった理論の立場を逆転させた点は注目に値する。

九州工業大学工学部教授 工学博士 岸 武 勝 彦 君

 受賞者は、金属材料の組織制御および表面改質の研究を行っている。主な業績は、(1)熱処理により傾斜組織を有する曲げ特性に優れた球状黒鉛鋳鉄の開発、(2)セラミック溶射皮膜の密着性向上および耐摩耗・耐食性に優れた鉄基非晶質溶射皮膜の開発、(3)高温酸化特性に優れたAl-Cr-N薄膜の開発、(4)Cu-Be合金の時効と溶体化による自発的変形と形状回復現象の発現とその機構解明などである。これらの研究成果は実用化あるいは製造工程に応用されており、学術および技術の発展に大いに貢献した。

金沢大学大学院自然科学研究科教授 工学博士 北 川 和 夫 君

 受賞者は、(1)実験と解析によるFCC金属単結晶の弾性的性質および双結晶の力学的挙動に関する研究、(2)強加工法により超微細結晶粒化したAlおよびCu合金の微視組織と疲労特性に関する研究、(3)金属ガラスの構造緩和と力学特性に関する研究、などを行ってきた。一方、地域の伝統産業にも目を向け、(4)金箔の製造法と性質に関する研究では、集合組織の特徴から展延機構のモデルを提案した。いずれにおいても、それぞれの分野の発展に多大の貢献をなす成果を得ている。また、北陸信越支部長、同理事として材料工学の振興に貢献した。

芝浦工業大学・工学部材料工学科教授 工学博士 大 塚 正 久 君

 受賞者は、ミスフィットの大きな溶質を含む金属固溶体における高温変形機構を実験的、理論的に究明するとともに、微細結晶粒組織を要しない粒内変形由来の超塑性を予見し、実証した。同類の合金に頻発する中間温度脆性の要因を、下部組織特に粒界形態の変化に帰することにも成功した。他方、はんだ合金の鉛フリー化による環境負荷低減にいち早く取り組み、実装基板の長期信頼性評価や接合部ミクロ構造解析で先駆的成果を挙げた。多孔質化による金属の性能改善に他に先駆けて取り組み、昨今の活況を導いた功績も特筆される。

名古屋工業大学名誉教授 工学博士 田 中 一 英 君

 受賞者は、主として(1)結晶・アモルファス合金中の水素の動的挙動、(2)合金水素化物の構造と結合状態、(3)水素吸蔵合金の物性と材料開発に関する研究を行った。まず、fccNi合金とbccTi合金中の水素原子のスネーク型緩和機構を内部摩擦で明らかにした。また、独自に開発した水素の熱放出スペクトル解析により、合金中の水素のサイトエネルギー分布を評価する方法を考案した。次に、軟X線分光や光電子分光を用いて水素化物の結合状態を調べ、水素-金属原子間の化学結合がその生成熱や構造安定性に最も重要な因子であることを示した。さらに、アモルファス合金を結晶化して作製したナノ構造合金は優れた水素吸蔵放出特性を示すことを見出し、この手法により高性能のMg-Ni-RE(希土類)系水素吸蔵合金の開発に成功した。

兵庫県立大学大学院工学研究科教授 工学博士 椿 野 晴 繁 君

 受賞者は、各種材料の拡散型相変態と微細組織の関係、腐食やイオン注入などによる材料表面組織について研究し、非鉄合金、鉄鋼、セラミックス等材料にとらわれない微細組織制御の重要性を示してきた。さらに、マグネシウム蒸気を用いたマグネシウム合金の表面改質について、地域コンソーシアムを積極的に進めそのプロジェクトに成功している。一方、日本金属学会・日本鉄鋼協会関西支部の常任理事、研究会委員長、材料セミナー委員長などの各種役員を歴任し、支部活動の振興にも大きく貢献してきた。

(ABC 順)


第1回 日本金属学会村上記念賞受賞者

2004年9月

東北大学理事・副総長、多元物質科学研究所フェロー 工学博士 早稲田 嘉 夫 君

 受賞者は、X線・中性子回折による金属あるいは酸化物融体の構造解析、X線異常散乱現象を利用する特定元素周囲の環境構造解析法の開発、高温における金属・酸化物の熱力学量・熱移動係数測定法の開発等の分野で、独創的な成果を挙げている。とくにX線異常散乱による構造解析は、水溶液やアモルファス金属等のランダム系物質のみでなく、準結晶、超伝導セラミックス、さび等の複雑系物質の構造決定、多層膜の原子密度決定等にも応用され、金属工学、材料工学分野でその威力を発揮している。


第1回 日本金属学会村上奨励賞受賞者

2004年9月

東北大学金属材料研究所助教授 博士(学術) 折 茂 慎 一 君

 受賞者は、金属工学を基礎として、多様な水素化物の物性解析と機能設計の研究に取り組んできた。合金系や炭素系の材料群においては、ナノ~サブナノ級の微細構造に起因する特有の水素貯蔵機能に関わる体系的研究を進めた。最近では、リチウムやマグネシウムなどの軽量金属を主相とする一連の錯体水素化物の合成技術を確立するとともに、価電子制御技術や複合化技術との融合により、材料中の高密度水素が示す新たな物性や次世代燃料電池にも活用できる機能性などに関わる学術・実用両面での卓越した業績を挙げつつある。

大阪大学大学院工学研究科助教授 博士(工学) 辻   伸 泰 君

 受賞者は、材料組織学に新規塑性加工法を融合した研究手法により、構造用金属材料における微視組織形成原理の解明と、組織制御による力学特性の向上に関する研究を行ってきた。近年は強ひずみ加工と超微細結晶粒材料に関する研究に力を注ぎ、数多くの成果を挙げるとともに、ナノ組織新材料創成への展開をはかっている。バルク材に適用可能な強ひずみ加工法であるARBプロセスの開発、超微細粒組織の形成機構の解明、そして超微細粒バルク材の特異な力学特性の解明に関する業績は、国際的にも高く評価されている。

(ABC 順)


第3回 日本金属学会優秀ポスター賞受賞者

2004年9月

周期外場下における Pd 基金属ガラスのガラス相の不安定化現象

東北大学 穴沢一洋君,市坪 哲君, 松原英一郎君 RIMCOF 西山信行君

斜出射 EPMA 法に於ける試料表面の凸部による分析 X 線の吸収抑制

物質・材料研究機構 粟根 徹君,木村 隆君,西田憲二君,青柳岳史君,田沼繁夫君

鉄における格子間原子型転位ループの Burgers ベクトルの変換過程

大阪大学 畠中 誠君,荒河一渡君
島根大学 小野興太郎君 大阪大学 森 博太郎君

自己組織化単分子膜を利用した Cu マイクロパターンの作製とポリマー上への転写

名古屋大学 稗田純子君,斉藤永宏君,高井 治君

Au/C ナノ粒子触媒の電子線ホログラフィー観察

産業技術総合研究所 市川 聡君,秋田知樹君,岡崎一行君,田中孝治君,香山正憲君

薄片曲げ試験片によるマグネシウムにおける疲労破壊挙動の結晶方位依存性

熊本大学 池尻幸繁君,津志田雅之君,安藤新二君,頓田英機君

Ni-Mn-X(X=In, Sn, Sb)系ホイスラー合金におけるマルテンサイト変態の磁気変態挙動

東北大学 今野陽介君,大森俊洋君,須藤祐司君 産業技術総合研究所 及川勝成君
東北大学 貝沼亮介君,石田清仁君

細胞外マトリックスとイオンビームを用いた冠状動脈用ステントの表面改質と生体適合性

理化学研究所 許 健司君,鈴木嘉昭君,岩木正哉君 慈恵医科大 杉田洋一君
アクトメント 井龍志保君,小川 明君

リチウム―マグネシウム系錯体水素化物の水素貯蔵特性

東北大学 二宮彬仁君,北原 学君,中森裕子君,折茂慎一君

繰り込みポテンシャルを用いた格子モデルによる FCC および HCP 金属の熱力学的諸特性

東北大学 佐原亮二君,水関博志君
横浜国立大学 大野かおる君 東北大学 川添良幸君

高圧下でパルス通電加熱した Nb3Al 線材の超伝導特性

足利工業大学 齋藤光智君 物質・材料研究機構 菊池章弘君,飯嶋安男君,伴野信哉君,竹内孝夫君,二森茂樹君
足利工業大学 斎藤 栄君

二元系遷移金属における磁気モーメントの環境効果

鹿児島大学 田中喜典君,石田尚治君
東京大学名誉教授 浅野摂郎君

(ABC 順)

入会・会員

ページトップへ