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表彰(日本金属学会)
今回は賞状の発送をもって、贈呈式に代えさせていただきます。~
第43回日本金属学会技術開発賞 受賞記事(4件24名) (2020年9月15日)
(まてりあ 59巻1号)
JFEスチール(株)スチール研究所 主任研究員 齋藤 勇人
JFEスチール(株)スチール研究所 主任研究員 假屋 房亮
JFEスチール(株)スチール研究所 部長 鈴木 善継
JFEスチール(株)缶用鋼板セクター部 主任部員 川合 稔
JFEスチール(株)東日本製鉄所(現:ドバイ事務所) 主任部員 中村 紀彦
JFEスチール(株)東日本製鉄所 主任部員 杉田 一久
JFEスチール(株)東日本製鉄所 主任部員 石井 健太郎
JFEスチール(株)西日本製鉄所 主任部員 大谷 大介
JFEスチール(株)西日本製鉄所 主任部員 神宮 貴文
JFEスチール(株)西日本製鉄所 中田 有紀
(まてりあ 59巻1号)
(株)槌屋技術開発本部 課長 平光 規行
(株)槌屋技術開発本部 常務執行役員 林 宏明
(株)GFイノベーション 代表取締役社長 金原 雅彦
ケミオ(株) 代表取締役社長 澤 春夫
トヨタ自動車(株)EHV電池設計部 技範 中西 治通
トヨタ自動車(株)EHV電池設計部 室長 高橋 泰博
広島大学大学院先端物質科学研究科 山口 匡訓
広島大学自然科学研究支援開発センター 教授 小島 由継
(まてりあ 59巻2号)
YKK(株)工機技術本部 分析・解析センター PJマネージャー 水林 舞 君
YKK(株)工機技術本部 分析・解析センター 専門役員 櫻木 卓也 君
YKK(株)工機技術本部 分析・解析センター エンジニア 渡邉 直樹 君
(まてりあ 59巻2号)
(株)鈴木商館技術部 リーダー 木村 浩隆 君
(株)鈴木商館 顧問 鈴木 譲 君
名古屋大学大学院工学研究科 助教 湯川 宏 君
第30回 日本金属学会奨励賞 受賞者(6名) (2020年9月15日)
[学術部門]
[金属材料工学に基づく生体硬組織の集合組織形成機構に関する研究]大阪大学大学院工学研究科 助教 小笹良輔 君
受賞者は、高機能性を有する究極的な生体構造材料としての硬組織に着目し、機能発現に必須の結晶集合組織形成機構の解明に向けて、結晶学的観点からの結晶核生成・成長機構、それらに対する細胞・遺伝子の関与について、研究活動を推進している。金属材料工学的立場から細胞の代謝現象を理解、さらには硬組織の配向化制御因子を同定しており、生物による極めて巧妙な材料創製メカニズムの一端を解明している。材料工学と生物学の両輪により、生体材料科学ともいうべき新規学術分野の創出に向けて、今後のさらなる研究の展開が期待される。
北海道大学大学院工学研究科 特任助教 齊藤 元貴 君
受賞者は、液中プラズマ法および燃焼合成法による機能性粉体の合成、および電子顕微鏡法による結晶構造解析に基づく粒子形成メカニズムおよび特性発現機構の解明に取り組んできた。主な業績として、(1)スルーフォーカスHAADF-STEM法による蛍光体材料中ドーパント原子の3次元分布解析、(2)STEM-EELS法によるブラウンミラーライト型酸素吸蔵材料の局所電子状態の解析、などが挙げられる。現在は電子顕微鏡による金属材料中の析出物の析出挙動解明に取り組んでおり、今後の更なる展開が期待される。
東京工業大学科学技術創成研究院 助教 篠原 百合 君
受賞者は相変態と変形の幾何学を軸に、合金設計、組織制御に関する研究を行った。以下に主要な業績を述べる。(1)変形の連続性(Rank-1接続)に基づいた鉄鋼材料のマルテンサイトにおける組織解析、(2)集合組織の制御による生体用チタン合金の低ヤング率化、(3)巨大な形状回復歪みを有するβ型チタン基生体用形状記憶合金の開発。現在は、鉄鋼材料のより高度な組織制御・予測を行うために必須である「バリアント選択則」の解明に取り組んでおり、今後の更なる展開が期待される。
東北大学金属材料研究所 助教 張 咏杰 君
受賞者は、熱力学・速度論・結晶学な観点から鉄鋼材料の組織制御に関する理論的・実験的研究を行ってきた。特に、低合金鋼におけるナノ合金炭化物の析出挙動とその強化に取り組んできた。近年金属材料の組織解析に活用されている三次元アトムプローブを応用し、析出物の分布や組成などを定量解析する手法を確立した上で、析出物の分布は駆動力の増加とともに微細となり、より大きな強化量が得られることが明らかとなった。現在は、鉄合金における溶質元素の粒界偏析に取り組んでおり、今後の更なる発展が期待される。
東北大学大学院工学研究科 助教 山本 卓也 君
受賞者は、アルミニウムの溶湯処理、鋳造プロセスの数値モデル化、数値解析を活用した詳細なメカニズム解明に取り組んできた。主な業績として、(1)フラックスやガス吹き込み時の油滴、気泡の微細化メカニズムを乱流渦から整理し、(2)超音波鋳造時の音響流を含む諸現象を数値モデル化し、超音波鋳造時の鋳肌モルフォロジーを音響流による乱流渦の観点から定量的に初めて説明した。これらにより、金属生産プロセスにおける数値解析の可能性を広げ、基礎メカニズムを解明することで生産プロセス改善指針を示した。
[技術部門]
[金属粉末射出成形により作製されたNi基耐熱合金の結晶粒制御技術の開発]川崎重工業(株)技術研究所 主任研究員 日比野 真也 君
受賞者は、金属粉末射出成形(MIM)により作製されたNi基耐熱合金の高温強度向上を実現する結晶粒制御技術の開発に従事してきた。主な業績として、(1) 旧粒子境界に存在するMC炭化物によるピン止め効果の低減による、結晶粒成長促進に向けた炭素量の決定、(2) 原料粉末の平均粒子径および結晶粒成長熱処理条件の最適化を通じた高温クリープ強度の大幅な向上などが挙げられる。現在はNi基耐熱合金粉末を用いた金属3Dプリンタ等の次世代の生産技術への応用に取り組んでおり、今後の更なる展開が期待される。
第10回 日本金属学会まてりあ賞 受賞論文・記事(3編6名) (2020年9月15日)
[第10回まてりあ論文賞](2編5名)
1. チタンならびにチタン合金の Additive Manufacturingプロセス (まてりあ 58巻4号)
大阪大学大学院工学研究科 教授 中野 貴由 君
大阪大学大学院工学研究科 准教授 石本 卓也 君
東北大学金属材料研究所 准教授 小山 元道 君
九州大学大学院工学研究院 教授 野口 博司 君
物質・材料研究機構構造材料研究拠点 招聘研究員 津﨑 兼彰 君
[第10回まてりあ 啓発・教育賞](1企画1名)
放射光による工業材料評価(全3回) (まてりあ 58巻7号、8号、9号)(公財)高輝度光科学研究センター安全管理室 室長 廣沢 一郎 君
第17回 日本金属学会村上記念賞 受賞者(1名) (2020年9月15日)
物質・材料研究機構若手国際研究センター センター長 土谷 浩一 君
受賞者は様々な金属系材料について、相変態や強加工による特性制御に関する先駆的な研究を行ってきた。Zr系金属ガラスを強加工する事で強度やヤング率が大きく低下する現象を世界に先駆けて見出し、その原因が”構造若返り”であることを明らかにした。TiNi系形状記憶合金について強加工による非晶質化/ナノ結晶化により相変態挙動や生体適合性が大きく変化する事を明らかにした。さらにはβ型チタン合金における偏析を活用した強度-延性バランスの向上など、独自な視点からの研究で金属材料学の進展に貢献してきた。
第17回 日本金属学会村上奨励賞受賞者(3名) (2020年9月15日)
東北大学大学院工学研究科 准教授 上田 恭介 君
受賞者は、金属系材料の生体応用を目的としたドライプロセスによる表面創製プロセス開発および晶析出物制御に関する研究を推進してきた。非晶質リン酸カルシウムの生体内溶解性を活用した抗菌元素徐放型薄膜や可視光応答型光触媒活性チタニア膜作製プロセスを開発し、骨形成能と抗菌性を両立したチタン系材料の表面を創製した。加えて、軽元素に着目した生体用金属材料の晶析出物制御プロセスを提案し、機械的特性向上に貢献した。実用化を意識した金属材料の生体応用分野を開拓してきており、今後の更なる発展が期待される。
東北大学大学院工学研究科 准教授 小原 良和 君
受賞者は、超音波探傷における最難関課題である閉じたき裂の高精度計測法の開発に継続的に取り組んできた。従来の10倍以上の大振幅超音波入射により、閉じたき裂面が開閉振動することを実験的に見出し、界面物理や接触の力学に基づき理論基盤を構築した。この知見をベースに、き裂面の開閉振動を利用した非線形超音波とアレイ映像法を融合することで、非線形超音波フェーズドアレイ映像法を開発し、その有効性を実証してきた。この一連の成果は国内外で高く評価されており、今後のさらなる飛躍と卓越した成果の創出が期待される。
東京大学生産技術研究所 准教授 八木 俊介 君
受賞者は、金属および金属酸化物の液相合成プロセスに関する数多くの研究成果を上げてきた。特に、液相合成反応場における電位を、混成電位の概念を発展させて解釈し、生成物の酸化状態を高精度で予測する手法を確立した。さらに、次世代蓄電池用活物質や電気化学触媒の研究に本研究成果を応用し、優れた材料を数多く創出している。基礎から応用にわたる受賞者の一連の研究成果は国内外で高く評価されており、将来にわたって材料科学分野を背負う人物となることが期待される。
第68回 日本金属学会論文賞 受賞論文(5編15名) (2020年9月15日)
[物性部門]1編(3名)
(Materials Transactions, Vol.60, No.11)
東北大学大学院工学研究科 特任教授(研究) 竹内 章 君
東北大学金属材料研究所 准教授 和田 武 君
東北大学金属材料研究所 教授 加藤 秀実 君
[組織部門]1編(4名)
(Materials Transactions, Vol.60, No.11)
JFEテクノリサーチ(株)経営企画部長 島内 優 君
JFEテクノリサーチ(株)機能材料ソリューション本部 副課長 池本 祥 君
JFEテクノリサーチ(株)機能材料ソリューション本部 課長 大森 滋和 君
千葉大学大学院工学研究院 教授 糸井 貴臣 君
[力学特性部門]1編(3名)
(Materials Transactions, Vol.60, No.2)
東京大学大学院工学系研究科 特任助教 Fabien Briffod 君
東京大学大学院工学系研究科 講師 白岩 隆行 君
東京大学大学院工学系研究科 教授 榎 学 君
[材料プロセシング部門]1編(3名)
(Materials Transactions, Vol.60, No.8)
東北大学大学院工学研究科 特任教授(研究) 竹内 章 君
東北大学金属材料研究所 准教授 和田 武 君
東北大学金属材料研究所 教授 加藤 秀実 君
[工業材料部門]1編(2名)
(日本金属学会誌 83巻 11号)
日鉄ステンレス(株)研究センター 研究員 多久島 睦子 君
日鉄ステンレス㈱研究センター 室長 濱田 純一 君
第33回 日本金属学会若手講演論文賞受賞者(3編3名) (2020年9月15日)
(日本金属学会誌 84巻5号)
東北大学大学院工学研究科 ○林 直宏 君
九州工業大学大学院工学府 (現在 (株)UACJ) 中島 一喜 君
東北大学多元物質科学研究所 助教 榎木 勝徳 君
東北大学多元物質科学研究所 教授 大谷 博司 君
(Materials Transactions, Vol.61, No.4)
(株)日立製作所研究開発グループ 研究員 ○原 誉明 君
日立金属(株)冶金研究所 研究員 石田 俊樹 君
東北大学大学院工学研究科 教授 及川 勝成 君
(Materials Transactions, Vol.61, No.4)
日産自動車㈱パワートレイン生産技術開発本部・大阪大学大学院工学研究科 ○上之原 勝 君
大阪大学大学院工学研究科 鄭 翰林 君
大阪大学大学院工学研究科(現在:磁気物性評価法研究所) 西尾 博明 君
大阪大学大学院工学研究科 教授(現在:大阪大学産業科学研究所 特任教授) 町田 憲一 君
第35回 優秀ポスター賞受賞者者 36名
(2020年9月18日受賞決定) (五十音順)
山形大学 阿部喜史 君,黒瀬 隆 君,
太盛工業株式会社 Marcelo V.A. Santos 君,金谷陽太 君,
山形大学 石神 明 君,
太盛工業株式会社 田中茂雄 君,
山形大学 伊藤浩志 君
名古屋大学 石井大貴 君,高木力斗 君,髙田尚記 君,鈴木飛鳥 君,小橋 眞 君
名古屋工業大学 石黒雄大 君,佐藤 尚 君,渡辺義見 君,森谷智一 君,
九州工業大学 本塚 智 君
早稲田大学 稲玉侑里子 君,山口勉功 君
大阪大学 井上森平 君,岡田 拓 君,藤枝 俊 君,
東北大学 長内史也 君,枦 修一郎 君,石山和志 君,
大阪大学 清野智史 君,中川 貴 君,山本孝夫 君
東北大学 井上蒼太 君,山根久典 君,山田高広 君
大阪大学 上山椋平 君,萩原幸司 君,
熊本大学 山崎倫昭 君,河村能人 君,
大阪大学 中野貴由 君
九州大学 岡丈慎治 君,森川龍哉 君,田中將己 君
東北大学 小佐野公佑 君,周 偉偉 君,野村直之 君
東北大学 木村功輝 君,長尾哲郎 君,轟 直人 君,和田山智正 君
東北大学 木村 萌 君,曹 洋 君,青木英恵 君,大沼繁弘 君,小林伸聖 君,増本 博 君
早稲田大学 桑葉秀一 君,和田浩樹 君,
日産自動車株式会社 荒井誠也 君,小川和宏 君,
早稲田大学 山口勉功 君
東北大学 WU XIANGYU 君,笠田竜太 君,近藤創介 君,余 浩 君,
量子科学技術研究開発機構 安堂正己 君
熊本大学 坂本雅史 君,(現神戸製鋼所)林 昂佑 君,
熊本大学 津志田雅之 君,北原弘基 君,安藤新二 君
山形大学 迫 優太朗 君,黒瀬 隆 君,伊藤浩志 君
中部大学・産業技術総合研究所 杉本佳彦 君,
産業技術総合研究所 李 誠鎬 君,加藤且也 君,宮島達也 君,
中部大学 櫻井 誠 君,
産業技術総合研究所 永田夫久江 君
中部大学・産業技術総合研究所 鈴木聖也 君,
産業技術総合研究所 李 誠鎬 君,加藤且也 君,宮島達也 君,
名古屋大学 鳴瀧彩絵 君,
中部大学 櫻井 誠 君,
産業技術総合研究所 永田夫久江 君
関西学院大学 砂田宗一郎 君,今井翔太 君,片山 昇 君,松尾元彰 君
東北大学 関 航太朗 君,近藤創介 君,
鹿児島大学 佐藤紘一 君,
東北大学 余 浩 君,奥野泰希 君,笠田竜太 君
鹿児島大学 髙橋巡季 君,尾上昌平 君,小林領太 君,三井好古 君,小山佳一 君
東京工業大学 高橋真道 君,渡邉 学 君,Chai Yaw Wang 君,木村好里 君
北海道大学 高橋優樹 君,ジェーム メルバート 君,渡辺精一 君
兵庫県立大学 田中芹奈 君,足立大樹 君,岡井大祐 君
関西大学 中迫未菜美 君,木下達也 君,上田正人 君,池田勝彦 君
岩手大学 鶴田華子 君,中川一沙 君,村上 武 君,清水一行 君,鎌田康寛 君
関西大学 中所弘晶 君,西本明生 君
長岡技術科学大学 新田純也 君,菅井 匠 君,中山忠親 君,末松久幸 君,鈴木常生 君
北海道大学 橋本菜々 君,池田賢一 君,三浦誠司 君,
物質・材料研究機構 森田孝治 君,鈴木 達 君,目 義雄 君
名古屋大学 前出淳志 君,
トヨタ自動車株式会社 田中展望 君,菅沼拓也 君,
名古屋大学 荒井重勇 君,
日本電子 樋口哲夫 君,
名古屋大学 武藤俊介 君
東北大学 増田呼人 君,鎌田航平 君,周 偉偉 君,野村直之 君
大阪大学 松本 峻 君,松垣あいら 君,中野貴由 君
長岡技術科学大学 宮川知也 君,馬場将亮 君,武田雅敏 君
大阪市立大学 森上雄尊 君,兼子佳久 君,内田 真 君
大阪大学 森田尚昂 君,石本卓也 君,木村恒太 君,中野貴由 君
大阪大学 山岡祐介 君,小笹良輔 君,中野貴由 君
兵庫県立大学 吉川友貴 君,平田雅裕 君,岡井大祐 君,足立大樹 君
第4回 高校・高専学生ポスター賞 受賞者(最優秀賞1件 優秀賞5件)
(2020年9月15日発表)
最優秀賞
宮城県仙台第三高等学校 木村昌弘君,渡邉 律君,柳内悠吾君,川勝祐貴君,二階堂智明君,菅原佑介君(指導教員)
優秀賞
京都府立洛北高等学校 増田 琳君,神田七穂君,坂本弘樹君(指導教員)
岩手県立水沢高等学校 村上もも君,及川美結君,佐藤安沙美君,鈴木萌晏君,豊嶋成葉君,高橋一成君(指導教員)
兵庫県立宝塚北高等学校 島津ひな君,山本史佳君,井上日南子君,杣谷篤紀君,田中 翔君,木村智志君(指導教員)
茨城県立水戸第二高等学校 仲田姫菜君,武田春維君,冨永ひすい君,冨澤英士君(指導教員)
東京都立小石川中等教育学校 柗元洸樹君,土屋 徹君(指導教員)
第65回 日本金属学会賞 (2020年3月17日)
大同特殊鋼株式会社 顧問 佐川 眞人 君
佐川眞人君が富士通研究所において磁石研究を開始した当時の最強磁石はSm-Co系であった。彼は、Sm-Co系磁石の研究を実施しながら、なぜ資源豊富で最大の磁気モーメントをもつ元素であるFeを主成分とする希土類化合物が硬質磁気特性を示さないのか疑問を抱いていた。
そうした中、1978年の日本金属学会主催シンポジウムにおける、浜野正昭氏の「R-Fe(Rは希土類元素)結晶においては隣接するFe-Fe間距離が短いことが硬質磁気特性を示さない原因である」との説明からヒントを得、「原子半径の小さなCやBをR-Fe合金の格子間に存在させ、Fe-Fe間距離を伸長させることで磁石特性を得ることができるのでは」との発想で探索研究を直ちに開始した。種々の組成からなるR-Fe-CおよびR-Fe-B系合金を作製し、その磁気特性および結晶構造を調査する試行錯誤実験を数多く繰り返した結果、1982年に希土類-鉄系としては世界初の永久磁石材料である新化合物Nd-Fe-Bの発見に到った。
佐川眞人君は住友特殊金属に移籍後、自ら発見した新化合物Nd-Fe-Bの永久磁石としての実用化に取り組んだ結果、粉末焼結法を用いて得られたNd-Fe-B焼結磁石の最大エネルギー積は、それまで最強磁石であったSm-Co系磁石の2倍もの値を記録した。実用上の最大の問題点とされた温度上昇時の保磁力低下についても、Ndの一部をDyで置換するという改良手段により解決した。その後工業化に成功し、1985年、量産が開始された。ハードディスク用磁石としての採用をきっかけに、医療機器MRI、各種AV機器、家電、携帯電話、産業機器、自動車用各種モータ、エレベータ、発電機等、現代社会を支える多くの用途に使用されてきており、その年間生産量は今や世界で10万トンレベルまで増大し、今後も大きな市場拡大が見込まれている。
さらに、1988年に自身で設立したインターメタリックス株式会社において、次世代Nd-Fe-B磁石の研究を実施した。資源リスクのあるDyの使用量を削減可能なPLP(プレス・レス・プロセス)法を開発し、大同特殊鋼による事業化につなげた。そして現在もさらなる新技術の開発を目指してNDFEB株式会社で努力を続けている。
佐川眞人君は、産業面だけでなく基礎的研究も重要視し、学界との共同研究を積極的に実施してきた。例えば、東北大学と共同で各種R-Fe-B系単結晶試料の強磁場磁化測定を実施し、その基本磁気特性を明らかにし、本化合物の磁気異方性の起源について解析を行った。また、永久磁石材料にとっては難問題である保磁力機構についての多くの研究を実施し、世界の研究者に刺激を与えた。金属間化合物の物性に関する学術分野の発展にもつながっている。最近では、基礎研究に関して、企業の枠にとらわれない研究コミュニティー構築にも参加し、永久磁石関連分野全体の研究推進にも多大な貢献をしてきている。結果、微細構造観察・解析技術、組織生成熱力学、基本磁気特性および磁化挙動に関する計算予測、あるいは材料合成新プロセスなどにおける先進的研究成果や優秀な研究者育成につながっており、その業績および活動は多くの尊敬を集めている。
Nd-Fe-B系磁石を用いたモータは、小型軽量で高い効率が得られる。世界の電力需要の中でモータの占める割合は半分以上と高く、したがってNd-Fe-B系磁石を用いた高効率モータの普及は大きな電力節約となる。また、新エネルギー技術として期待される風力発電やハイブリッド自動車・電気自動車に使用されることで、CO2排出量削減・地球環境問題の解決にも多大な貢献をしている。このように環境保全のためには必須の存在であるNdFeB磁石について、上述のような産業・学術の両面に渡る佐川眞人君による業績は、日本金属学会にとっても多大なものである。加えて、若手研究者を対象とする啓発的な企画シンポジウム(2018年秋期講演大会)で基調講演を担当するなど、人材育成においても長年にわたり本会の発展に貢献している。
第61回 日本金属学会技術賞 受賞者 (2名) (2020年3月17日)
[集合組織制御による高加工性冷延鋼板の開発と高性能化]
JFEスチール(株)スチール研究所分析・物性研究部 部長 奥田 金晴 君
受賞者は、長く薄鋼板の研究者として従事し、金属組織的な視点を加えながら数々の新鋼板を開発した。自動車用パネル用鋼板では、さらなる高強度化のために、低炭素領域での複合組織化により、耐面歪性に優れ、時効劣化し難い440MPa級外板パネル用高強度鋼板を開発、また、2ピース飲料缶用鋼板では、炭素量の低減化や集合組織制御を行いながら、高強度化と成形性を両立するなど、この分野の発展に貢献している。
[中高炭素高性能鉄鋼材料に関する研究開発と実用化]
日本製鉄(株)技術開発本部君津技術研究部 上席主幹研究員 久保田 学 君
受賞者は、中高炭素鉄鋼材料の高性能化に関する研究開発と実用化に従事し、優れた業績を挙げてきた。高強度ボルトの遅れ破壊を組織と析出物制御によって克服した土木・建築用及び自動車用高強度ボルトを実用化した。また浸炭などの高温・長時間熱処理における異常粒成長の抑制技術を開発し、省エネルギー化や生産性を向上する高性能浸炭用鋼を実用化した。さらに懸架ばねの腐食疲労の支配因子の明確化や加工硬化オーステナイトの再結晶に関する研究など、学術的にも価値の高い成果を挙げた。
第70回 日本金属学会金属組織写真賞 受賞者(16名) (2020年3月17日)
【第3部門】透過電子顕微鏡部門
東京大学・日本電子産学連携室 副室長 斎藤 光浩 君
東北大学材料科学高等研究所 郝 暁東 君
東北大学材料科学高等研究所 准教授 陳 春林 君
東北大学材料科学高等研究所 尹 徳強 君
東北大学材料科学高等研究所 講師 井上 和俊 君
名古屋大学工学研究科 教授 高見 誠一 君
東北大学材料科学高等研究所 教授 阿尻 雅文 君
東京大学大学院工学系研究科総合研究機構 教授 幾原 雄一 君
【第1部門】光学顕微鏡部門
北海道大学大学院工学院 仲野 暁登 君
北海道大学大学院工学研究院 教授 三浦 誠司 君
北海道大学大学院工学研究院 准教授 池田 賢一 君
【第3部門】透過電子顕微鏡部門
東北大学金属材料研究所 准教授 木口 賢紀 君
東北大学金属材料研究所 兒玉 裕美子 君
大阪大学大学院工学研究科 准教授 谷川 智之 君
東北大学金属材料研究所 助教 白石 貴久 君
東北大学金属材料研究所 教授 今野 豊彦 君
第51回 日本金属学会研究技術功労賞 受賞者(11名)(2020年3月17日)
日立金属(株)冶金研究所 青戸 保夫 君
受賞者は、1985年に入社し冶金研究所に配属以来34年に渡り、一貫して研究開発支援に従事してきた。その間、主にスパッタリングターゲット材や粉末材料の研究開発に携わり、試作実験・材料特性評価試験・材料の組織観察/分析など多岐にわたる業務を担当し、新製品・新プロセスの開発に大きく貢献した。その後も、研究の要となる合金溶解/熱処理や、更には労務・設備・安全等、研究所の基幹職全体の取り纏めも担い、研究開発の支援に多大に貢献した実績は顕著である。
日鉄テクノロジー(株)八幡事業所研究試験部 江本 康雄 君
受賞者は、入社後、製鋼プロセスに従事した後、30年間、表面処理鋼板の研究開発支援を担当し自ら工夫を加えた試験実験で多くの研究成果に貢献した。例えばスズめっき鋼板のめっき層の構造制御試験を高精度化し、ブリキ新商品の実用化に大きく貢献した。また、溶融スズ-亜鉛めっきの凝固組織制御試験方法を考案し、自動車燃料タンク用鋼板の実用化に大きく寄与した。現在も新規試験の考案・検討や、これ迄の経験知識を基に後継者の育成に携わるなど多岐にわたる研究開発支援への功績は顕著である。
日鉄テクノロジー(株)富津事業所テクニカルサービスセンター 小尾 厚司 君
受賞者は、1975年に新日本製鐵に入社し、君津製鉄所熱技術課、設備技術のエンジニアリング室等における実績を評価され、1991年に技術開発本部・研究試験室(TSセンター)の創立メンバーとして参画。1996年からは大型構造実験の現場リーダーとして土木建築用鋼材の研究開発と商品化、および現場の安全確保に大きく貢献してきた。特に①大型構造実験の安全維持、②挑戦的な構造実験の遂行とそれを実現する設備導入、③組織運営と育成に注力し、長年にわたる献身的なサポートは、研究開発に創意工夫をもたらした。
(株)日本製鋼所新事業推進本部 河合 政征 君
受賞者は、開発部門に配属後30年以上にわたり、水素吸蔵合金(MH)を応用した水素貯蔵タンクおよびシステム開発に貢献してきた。特に、燃料電池用の水素貯蔵容器の開発では、水素貯蔵量を約100Nm3/基とした大型のMH容器を開発し、国内では過去最大級となる信頼性の高い水素貯蔵システムを確立した。これらの設計および製造技術の改善に大きく携わりMH製品の商品化に大きく貢献した。また、その長年に培った経験知識を基にして次世代の若手技術員・研究員へと伝承し、高品質な製品実用化に貢献した実績は顕著である。
日本製鉄(株)広畑製鉄所設備部 黒田 義昭 君
受賞者は、入社以来43年間にわたり製鉄プロセスの開発・改善業務に携わり、制御工学・電磁気学の知識やプログラミング技能を活かした試験装置の製作、実験に従事し、製鋼スラブナンバーマーキングロボット開発、薄鋼板電気加熱技術開発、表面検査装置機能改善など多くの技術確立に貢献してきた。現在もエキスパートとして多数の薄鋼板製造工程の開発・改善業務に取り組むとともに後進の育成指導にあたっており、鉄鋼プロセスの電気制御装置や品質計測装置の発展への功績は顕著である。
日本製鉄(株)技術開発本部尼崎研究支援室 上月 康裕 君
受賞者は入社以来38年にわたり研究試験業務に従事し、Ti合金等の各種金属材料に関する数々の実験や評価手法の考案を通じて研究開発へ多大な貢献をしてきた。例えば、TiAl系金属間化合物の耐酸化特性の新たな評価手法を考案し、新成分系の開発に大きく寄与した。また、酸化物界面のTEM観察手法を確立し、現象解明を通じて研究を大きく前進させた。現在は組織を束ねる立場に立ち、豊富な経験と高度な知識を活かし、研究環境の整備や後進の育成に力を注いでいる。長年研究開発を支えてきたその功績は顕著である。
茨城大学工学部技術部 佐久間 隆昭 君
受賞者は、着任以来30年以上にわたり茨城大学工学部で、教育面で実験や実習の補助を行ってきた。一方、例えば研究用試験片加工では、そりや多量の残留応力を有する厚板材からの試験片の切出しを依頼した大学院生・教員に、切出し後の形状不整が予測されることを予め伝えつつ、少量ずつ丁寧に切削することにより形状不整を最小限にとどめるなど、外注ではなしえない卓越した技術を駆使して、かげの功労者として研究を支えてきた。このように受賞者の学術研究の進展に貢献した功績は顕著である。
トヨタ自動車(株)モノづくり開発・PJT推進部 白石 峰則 君
受賞者は、入社以来42年間にわたり様々な生産技術開発業務において、特に開発材料・工法の金属組織調査業務で多大な貢献を果たした。特に新しいクランクシャフト開発では開発材料の金属組織観察方法を考案し、開発加速に大きな貢献を果たした。また、他の開発材料においても従来の手法では困難であった金属組織観察を豊かな経験と知恵で可能とする事により、開発の加速に大きく貢献した。現在も実務をこなしながら後輩後進の育成に努め、多くの改善や工夫で作業効率の向上を図る等、研究開発に顕著な功績を残している。
信州大学基盤研究支援センター 山上 朋彦 君
受賞者は、着任以来34年間にわたり、教員の研究の技術支援業務に精励し、さらに分析機器の操作・技術支援に貢献してきた。特に、電子顕微鏡関連装置の管理者として、学生、教員等に操作指導、技術提供を行い、中でも透過電子顕微鏡の試料作製においては様々な試料作製・分析に携わり、その成果として共著論文は17報ある。また、大学行事での一般向けや小中高教員研修で、“ミクロの世界を探求”を企画・実施してきた。加えて、若手の技術職員を指導し、優秀な後進の育成にも大きく貢献している。
JFEスチール(株)スチール研究所 山下 和美 君
受賞者は、入社以来42年間にわたり、表面処理鋼板開発のための各種実験、材料評価、評価装置の製作を担当し、広く新技術・新商品の開発に貢献してきた。例として、逆電解法を取り入れた高密着性接着缶用TFS、自動車用の有機複合被覆鋼板、家電分野ではリン酸塩処理鋼板の開発に従事し、数々の商品化に繋げてきた。その後、長年培った経験知識を伝承すべく後輩・部下を熱心に指導し、また安全管理、資産・設備管理のレベルアップにも大きく貢献し、表面処理鋼板開発進展への功績は顕著である。
東北大学マイクロシステム融合研究開発センター 渡邉 拓 君
受賞者は1979年財団法人半導体研究振興会半導体研究所に入所以来、高抵抗Si単結晶エピタキシャル成長技術開発と各種静電誘導型デバイスへの適用などに携わってきた。1990年には世界最高のキャリア密度をn型Si単結晶成長層で達成するなど学術研究の発展に多大な貢献をした。2008年に東北大学マイクロシステム融合研究開発センターに移籍・転属後も一貫してドーピングPoly Si CVDおよび単結晶成長装置などに取り組む一方、施設利用者の技術相談に対応するなど、学術研究の進展に貢献した功績は顕著である。
第78回 日本金属学会功績賞 受賞者(8名) (2020年3月17日)
[物性部門]
[半導体量子構造のスピン軌道相互作用が生み出すスピン物性開拓と金属スピントロニクスへの展開]東北大学大学院工学研究科 准教授 好田 誠 君
受賞者は、半導体量子構造のスピン軌道相互作用が生み出す有効磁場を精密制御し、スピントロニクスデバイスを実現する上で必要不可欠な電気的スピン生成・スピン制御・スピン検出の基盤技術を創製してきた。特に、有効磁場の空間制御を用いたスピンフィルタや長距離スピン輸送が可能な永久スピン旋回状態を実現している。さらに半導体で得たスピン物性の知見を最大限活用し、エピタキシャル金属薄膜における効率的スピン軌道トルクの実現や磁化反転を実施しており、今後の幅広い研究展開が期待される。
[組織部門]
[アモルファス材料の構造抽出手法の開発]早稲田大学理工学術院 教授 平田 秋彦 君
受賞者は、これまで実験・計算の両面からアモルファス材料の構造抽出手法の開発を行ってきた。実験では、走査型透過電子顕微鏡を用いたオングストロームビーム電子回折法によりアモルファスの局所構造を原子クラスターレベルで観測した。計算では、回折データから局所構造モデルを直接導出する局所逆モンテカルロ法を開発し、さらには位相不変量であるホモロジーに着目した局所構造の解析手法も考案した。これらの成果はアモルファスの構造科学に寄与するものであり、今後の発展が期待される。
[力学特性部門]
[微視的弾性理論の構築を基軸とした生体および構造用金属材料の弾性特性の解明]大阪大学産業科学研究所 准教授 多根 正和 君
受賞者は、「不均質材料の弾性特性を高精度で計算可能なマイクロメカニックス理論」と「多結晶弾性率から単結晶弾性率を決定するための独自手法」の構築を基軸として、金属材料の弾性特性を中心とした力学特性および相転移挙動に対して研究を行ってきた。主な成果として、生体用Ti合金の低弾性率化メカニズム、LPSO構造を有するMg合金および炭素繊維の弾性特性の支配因子、さらには凍結された合金組成ゆらぎに起因した新たな相転移である無拡散等温オメガ変態の相転移機構を解明しており、今後の研究に対して更なる発展が期待される。
[材料化学部門]
[高温融体の物理化学的性質の解明と高温化学プロセスの開発]東北大学大学院工学研究科 准教授 竹田 修 君
受賞者は、金属製錬、リサイクル、表面改質のための融体物性研究および高温化学プロセス開発に取り組んできた。溶融金属、溶融塩、溶融スラグを対象とし、回転振動法粘度計、回転法粘度計、二球型アルキメデス密度計、最大泡圧法表面張力計を開発して融体物性を高確度で決定、融体構造の理解に貢献した。また、融体物性の理解に基づきチタンの新規製錬プロセスやレアアースの環境調和型リサイクルプロセス、耐熱材料の表面改質法の開発等を展開しており、今後のさらなる発展が期待される。
[材料化学部門]
[電気化学的手法に基づく金属および金属酸化物の液相合成とエネルギー変換・貯蔵材料への応用]東京大学生産技術研究所 准教授 八木 俊介 君
受賞者は、金属および金属酸化物の液相合成反応場における電位を、混成電位の概念を発展させて解釈し、これまで試行錯誤により開発されてきた液相合成プロセスに明確な設計指針を与えた。またこの指針に基づき、銅、鉄、コバルト、ニッケル、錫、金、白金およびこれらの合金や酸化物の高効率液相合成プロセスを確立した。受賞者はさらに、次世代蓄電池や、水素および酸素製造のための電気化学触媒の研究に本技術を応用し、優れた材料を数多く創出しており、今後エネルギー関連材料の分野において、更なる活躍が期待される。
[材料プロセシング部門]
[塑性加工を利用した鋼の組織制御による力学的特性向上に関する研究]物質・材料研究機構構造材料研究拠点 主幹研究員 上路 林太郎 君
受賞者は、塑性加工を利用した鋼の組織制御による力学的特性向上に関する研究に従事してきた。主な功績として、微細粒組織化プロセスによる高強度・高延性のみならず高衝撃吸収エネルギーを兼ね備えた高マンガン鋼の試作に関して展開された一連の研究があげられる。近年では、高温圧縮接合により試作できる日本刀型鋼板を新たに提案し、メゾスケールにおける組織設計に関し、異種組織界面形態と相変態挙動ならびに強度・延性について系統的な研究成果をあげており、今後の更なる発展が期待される。
[工業材料部門]
[金属工学に根差した骨機能解明とそれに基づく骨生体材料創製に関する研究]大阪大学大学院工学研究科 准教授 石本 卓也 君
受賞者は、高機能骨インプラント材料の創製を目指して、金属工学を基軸とし、生体組織ならびにインプラント素材としての金属材料の組織・機能の解明・制御を両輪とし精力的に研究に取り組んでいる。金属工学的アプローチが、金属材料のみならず生体骨の機能の解明や制御に極めて有効であることを証明し、金属工学の新たな可能性を開拓するとともに、生体組織、金属材料の両者に関する研究において優れた業績を挙げている。今後のさらなる飛躍と金属学への貢献が期待される。
[工業技術部門]
[二次元層状半導体の液相成長とテラヘルツ非破壊検査応用]東北大学大学院工学研究科 准教授 田邉 匡生 君
受賞者は、テラヘルツ光を発生する材料を結晶成長法から検討し、キャリア密度を低減した2次元層状半導体によるテラヘルツ光の高効率発生を実現するとともに、テラヘルツ光の小型光源と分光装置を実用化した。さらに、テラヘルツ光の非金属を透過しながら直進する特性を活かして、目視できない塗膜下やコンクリート中にある金属表面に対する非破壊イメージングを世界に先駆けて実証した。また、層状半導体について層間結合力を直接測定することに世界で初めて成功し、層状構造の脆さを克服する製造プロセス指針を提供するものと期待されている。
第59回 日本金属学会 谷川・ハリス賞 受賞者(3名) (2020年3月17日)
京都大学大学院工学研究科 教授 田中 功 君
受賞者は、量子力学に基づいた第一原理計算を金属学に応用する研究で顕著な貢献を果たした。とくに熱力学・統計力学と第一原理計算を連携させた第一原理熱力学を推進し、同分野に飛躍をもたらした。具体例としては、第一原理フォノン計算により、物質の自由エネルギー等を、温度効果を含めて実験と比肩する精度で得ることに成功した。またクラスター展開法などを適用することで、固溶体や欠陥構造に関する熱力学物性値について、第一原理計算での評価に成功した。一連の成果は世界的に高く評価されている。
[耐熱材料の組織制御と変形機構に関する研究]
物質・材料研究機構構造材料研究拠点 副拠点長 御手洗 容子 君
受賞者は、耐熱材料の組織制御と高温における変形機構の解明を推進してきた。例えば、白金族金属基合金では1500°C以上で優れた高温強度を示す材料を提案し、通常200°C以下でしか完全回復しない高温形状記憶合金では、300°C以上で完全回復する合金を提案し、耐熱Ti合金では、組織因子がクリープ特性に及ぼす効果を明らかにし、Ti合金の使用限界である600°Cを超える材料設計に挑戦するなど、それぞれの材料にとって「超高温」における材料設計原理を追求し、耐熱材料の創製と発展に大いに貢献した。
[金属精製・資源循環プロセスの物理化学に関する研究]
東京大学大学院工学系研究科 教授 森田 一樹 君
受賞者は、鉄やシリコンを中心とする金属の精製・リサイクル、副生物の高付加価値化などの資源循環に関わる物理化学研究に携わってきた。特に、種々の製精錬スラグの相平衡や成分活量の測定、種々の高温界面反応速度の新手法による解析等を通して、鋼の高効率精錬や清浄度鋼溶製の指針となる多くの物理化学的知見を示した。また、同手法を応用し、太陽電池級シリコン精製のための斬新な冶金学的プロセスを開発・提案するなど、金属精製・資源循環プロセスに関する分野の発展に大いに貢献してきた。
第26回 日本金属学会増本量賞 受賞者(1名) (2020年3月17日)
東京工業大学科学技術創生研究院 教授 細田 秀樹 君
受賞者は、医用機器に広く用いられているNiTi合金よりさらに安全な材料として、Niなどの生体アレルギー元素を使用しないNiフリー生体用形状記憶・超弾性合金を提唱し、また、長年にわたり実際に無害元素のみを用い、特にチタンや金を基調とする多くの新しい生体用形状記憶・超弾性合金を開発してきた。また、それらの材料設計、形状記憶・超弾性挙動、相安定性、変形挙動、組織形成などの基礎物性から組織制御やプロセッシング、生体適合性や医用応用展開まで幅広い研究を行い、本材料分野の開拓に大きく貢献した。
第32回 日本金属学会若手講演論文賞 受賞者(3編3名) (2020年3月17日)
(日本金属学会誌83巻10号)
東北大学大学院工学研究科 ○林 直宏 君
九州工業大学大学院工学府(現在(株)UACJ) 中島 一喜 君
東北大学多元物質科学研究所 助教 榎木 勝徳 君
東北大学多元物質科学研究所 教授 大谷 博司 君
(Materials Transactions Vol. 60 No. 10)
東京大学大学院工学系研究科 ○武 凱歌 君
東京大学大学院工学系研究科 Fabien Briffod 君
物質・材料研究機構統合型材料開発・情報基盤部門 主任研究員 伊藤 海太 君
(株)IHI基盤技術研究所材料研究部 篠崎 一平 君
東京大学大学院工学系研究科 Pornthep Chivavibul 君
東京大学大学院工学系研究科 教授 榎 学 君
(Materials Transactions Vol. 60 No. 11)
芝浦工業大学大学院理工学研究科 ○増山 晴己 君
芝浦工業大学大学院理工学研究科/物質・材料研究機構構造材料研究拠点 島上 渓 君
物質・材料研究機構構造材料研究拠点 主幹研究員 戸田 佳明 君
物質・材料研究機構構造材料研究拠点 主任研究員 松永 哲也 君
富山県立大学工学部 准教授 伊藤 勉 君
芝浦工業大学工学部 教授 下条 雅幸 君
物質・材料研究機構構造材料研究拠点 副拠点長 御手洗 容子 君
日本金属学会新名誉員 (2名) (2020年3月17日)
東北大学総長・プロボスト室 特任(客員)教授 東北大学 名誉教授 岡田 益男 君京都大学構造材料元素戦略研究拠点 特任教授 京都大学 名誉教授 落合 庄治郎 君
第3回 日本金属学会フェロー認定者 (2名) (2020年3月17日)
岡山理科大学 名誉教授 金谷 輝人 君超々ジュラルミン研究所 代表 吉田 英雄 君
第28回 日本金属学会・日本鉄鋼協会 奨学賞 受賞者 49名(2020年3月)
北海道大学工学部 橋本 菜々 君
北海道大学工学部 沙魚川 拓生 君
室蘭工業大学工学部 畑野 宅海 君
岩手大学理工学部 浅川 周平 君
秋田大学理工学部 船津 和哉 君
東北大学工学部 東 料太 君
東北大学工学部 平野 樹 君
東北大学工学部 村上 諒 君
茨城大学工学部 百合嶋 隆太 君
茨城大学工学部 坂本 瞭太 君
筑波大学理工学群 落合 祐介 君
東京大学工学部 小池 健 君
東京大学工学部 綿貫 裕介 君
東京工業大学物質理工学院 田村 純子 君
東京工業大学物質理工学院 徳富 可子 君
横浜国立大学理工学部 渡邉 周太郎 君
長岡技術科学大学工学部 青木 優馬 君
富山大学工学部 田中 渓太 君
豊橋技術科学大学工学部 上野 春喜 君
名古屋大学工学部 大野 健太 君
名古屋大学工学部 加藤 大雅 君
名古屋工業大学工学部 上田 悠乃 君
京都大学工学部 金山 侃生 君
京都大学工学部 松村 実典 君
大阪大学工学部 小林 周平 君
大阪大学工学部 林 竜弘 君
島根大学総合理工学部 梨本 舞奈 君
香川大学工学部 森下 修平 君
愛媛大学工学部 安部 博幸 君
九州大学工学部 笹岡 陸人 君
九州大学工学部 古川 友貴 君
九州工業大学工学部 橋本 壮紀 君
長崎大学工学部 宇都宮 貢 君
熊本大学工学部 坂本 雅史 君
大阪府立大学工学域 丸山 琢 君
兵庫県立大学工学部 橋野 開 君
千葉工業大学工学部 森安 海斗 君
東京理科大学基礎工学部 太田 智成 君
芝浦工業大学工学部 豊田 彩詠 君
東海大学工学部 林 裕司 君
金沢工業大学工学部 山本 浩司 君
関西大学化学生命工学 濱島 隼 君
近畿大学理工学部 平野 涼 君
早稲田大学基幹理工学部 小川 俊 君
仙台高等専門学校 島 遼翔 君
群馬大学理工学部 神谷 恭平 君
金沢大学理工学域 中村 祐太 君
鹿児島大学工学部 北嶋 柾 君
鈴鹿工業高等専門学校 白數 祐哉 君