イベントのご案内
凝固および結晶成長―理論・シミュレーションと応用
[協賛予定] |
粉体粉末冶金協会 腐食防食協会 次世代金属・複合材料研究開発協会 軽金属学会 金属系材料研究開発センター 高温学会 未踏科学技術協会 日本セラミックス協会 日本鋳造技術協会 日本鋳造工学会 日本電子顕微鏡学会 日本複合材料学会 日本ガスタービン学会 日本原子力学会 日本表面科学会 日本結晶成長学会 日本機械学会 日本応用磁気学会 日本流体力学会 日本伸銅協会 日本塑性加工学会 日本鉄鋼協会 日本チタン協会 日本材料学会 日本材料科学会 応用物理学会 資源・素材学会 溶接学会 |
凝固および結晶成長現象は組織および組成制御を通した構造および機能材料の特性向上法の有効な手法として重要である。これらの現象を用いたプロセスは、鉄系材料に代表される金属材料のみならず、多様化する先端材料においても有効であり、様々なプロセスで盛んに研究が行われている。
本セミナーでは、これまで行われてきた「凝固理論と応用 I ~ III 」セミナーの実績をもとに、現象理解に対する物理モデルを中心とした基礎理論からフェーズフィールド等を含めた最近のシミュレーション解析への展開を解説する。また、酸化物、複合材料等の日々進歩する先端材料に関する応用例や磁場や燃焼熱を用いた革新的プロセスへの応用も含めて紹介する。
日 程 | 2002年11月21日(木)、22日(金) |
場 所 | 石川島播磨重工業(株)豊洲総合事務所3号館4階豊洲ホール (東京都江東区豊洲3-2-16 TEL03-3534-2284) |
募集定員 150名
受 講 料(テキスト代含む・税込)
会 員 | 非 会 員 | 学 生 | |
2日受講 | 33,000円 | 66,000円 | 5,000円 |
いずれか1日の受講 | 25,000円 | 50,000円 |
申込要領 | 受講ご希望の方は、E-mailでapply@jim.or.jp宛お申し込み下さい。申込項目は以下のとおりです。 (1) 送信subjectに「凝固セミナー受講申込」と記入、(2) 氏名・年齢、(3) 会員・非会員・学生の区別(本会会員は会員番号も)、(4) 勤務先・所属、(5) 通信先住所(テキスト等送付先と電話番号)。 申込者には申込受理確認のE-mailを返信いたします。 |
テキストの送付 | 11月12日頃発行の予定です。この日までに申し込まれた方には出来次第参加証等関係資料とともにお送りいたします。 |
受講料払込方法 | テキスト送付の折に振替用紙を同封いたしますので、その後にお払込み下さい。 |
問合先 | 〒980-0845仙台市青葉区荒巻字青葉 日本金属学会 TEL 022-223-3685 |
第1日(11月21日) | |
9:00~ 9:10 | 開会の挨拶 |
企画世話人 塩 原 融 | |
I. 凝固結晶成長基礎 | |
9:10~10:40 | 伝熱および溶質再分配(ミクロ偏析) |
財団法人国際超電導産業技術研究センター超電導工学研究所第4研究部部長 塩 原 融 | |
10:40~11:20 | 界面形状安定性(デントライト) |
防衛大学校機能材料工学科助教授 江 阪 久 雄 | |
11:20~12:00 | 界面エネルギー、核生成および粗大化 |
財団法人国際超電導産業技術研究センター超電導工学研究所第4研究部部長補佐 和 泉 輝 郎 | |
―昼 食― | |
13:00~13:40 | 流動現象とマクロ偏析 |
九州大学大学院工学研究院教授 大 城 桂 作 | |
13:40~14:20 | フェーズフィールドモデル |
東京大学大学院工学研究科教授 鈴 木 俊 夫 | |
II. 機能材料・プロセスへの応用 | |
14:20~15:00 | 包晶、共晶材料 |
大阪大学大学院工学研究科助教授 安 田 秀 幸 | |
15:00~15:40 | 酸化物超電導材料 |
豊橋技術科学大学電気・電子工学科助教授 中 村 雄 一 | |
―休 憩― | |
15:50~16:30 | 複 合 材 料 |
九州大学大学院工学研究院助教授 宮 原 広 郁 | |
16:30~17:10 | 燃焼合成プロセス |
北海道大学大学院工学研究科助手 大 参 達 也 | |
17:10~17:50 | 多相凝固におよぼす重力の影響 |
広島大学大学院工学研究科助手 吉 田 誠 | |
第2日(11月22日) | |
III. シミュレーション技術 | |
9:00~10:00 | シミュレーション基礎 |
東京大学名誉教授・チェラロンコン大学教授 梅 田 高 照 | |
10:00~11:00 | 溶湯流動におよび凝固シミュレーション |
東北大学大学院工学研究科助教授 安 斎 浩 一 | |
11:00~12:00 | 鋳造欠陥のシミュレーションと予測 |
大阪大学大学院工学研究科教授 大 中 逸 雄 | |
―昼 食― | |
13:00~13:40 | フェーズフィールド法の課題と応用 |
石川島システムテクノロジー株式会社ITセンター専門部長代理 野 本 祐 春 | |
IV. 金属材料への応用 | |
13:40~14:20 | 鉄鋼の凝固と組織形成およびそのシミュレーション |
新日本製鐵株式会社鉄鋼研究所主任研究員 小 関 敏 彦 | |
14:20~15:00 | 電磁応用プロセス |
川崎製鉄株式会社技術研究所主任研究員 岸 本 康 夫 | |
―休 憩― | |
15:10~15:50 | アルミニウム製造プロセスとシミュレーション |
日本軽金属株式会社グループ技術センター主任研究員 長 海 博 文 | |
15:50~16:30 | 鉄鋼プロセスにおける凝固を伴う流れのシミュレーション |
住友金属工業株式会社鉄鋼技術研究所主監部長研究員 高 谷 幸 司 | |
16:30~17:10 | 銅連続鋳造プロセスとシミュレーション |
古河電気工業株式会社メタル総合研究所主査 吉 田 浩 一 | |
17:10~17:20 | 閉会の辞 |
企画世話人 宮 原 広 郁 |
伝熱及び溶質再分配(ミクロ偏析) (塩原 融)
凝固現象理解の際の基礎となる伝熱及び溶質の再分配について概説を行う。伝熱に関しては、凝固と伴う界面における熱収支の取り扱いを説明した後に、律速段階が異なる幾つかの代表的な条件での鋳造時の伝熱解析を概説する。合金系での組成制御において重要となる溶質再分配に関しては、平衡凝固時の現象説明の後に、局所平衡の概念に基づいて様々な条件下での解析例を解説する。更に、実際に応用されている特殊な例としてチョクラルスキー法や帯域溶融法での解析方法にも言及する。
界面エネルギー、核生成及び粗大化 (和泉輝郎)
凝固解析の重要な因子となる固液界面エネルギーの理論的モデル解析とこの実験的検証法となっている核生成現象に関する理論と実験を紹介し、上述界面エネルギー理論との比較を行いそれぞれのモデルの評価を行う。更に、この界面エネルギーが強く関与する現象の例として粗大化現象についても概説を行う。
流動現象とマクロ偏析 (大城桂作)
結晶成長時に溶湯の流れがあると、溶質元素はセルやデンドライト等のミクロ的凝固単位を越えて移動し、正偏析、チャンネル型偏析などのマクロ偏析を生じる。凝固時の融液内の温度及び溶質分布に起因する密度差など、流動を誘引する因子とマクロ偏析の生成機構について述べる。
フェーズフィールドモデル (鈴木俊夫)
フェーズフィールドモデルの発展過程を概説するとともに、支配方程式の導出、フェーズフィールドパラメータの物理的意味を述べる。さらに、2元系合金、3元系合金、多相系合金、ファセット結晶成長におけるフェーズフィールドモデルを解説し、その具体的な解析例を示す。
包晶、共晶材料 (安田秀幸)
包晶、共晶系合金における凝固現象の特徴などを概説する。鋳造・凝固プロセスによる製造されている実用段階の材料および研究段階の材料について述べる。
酸化物超電導材料 (中村雄一)
YBa2Cu3Oyに代表されるファセット性の強い123系酸化物超電導材料を例として、液相内溶質拡散による包晶凝固(ファセット結晶成長)に関して、基礎的なファセット界面モデルやファセット成長論と、実際の界面カイネティックスと溶質拡散の混合律速による成長の考え方について状態図に基づいて述べる。
複 合 材 料 (宮原広郁)
複合材料はバルクの組織に第2相を分布させて、機能性付与や特性改質を行うことを目的とした材料である。第2相が存在する空間で相互作用も含めた結晶成長の特殊性をバルクの物理モデルと比較しながら解析する。また、複合材料の現状、実用化動向ならびに今後の課題についても概説する。
燃焼合成プロセス (大参達也)
燃焼合成は、複数の元素の化学反応によって金属間化合物やセラミックスなどの物質を合成する方法であり、(1)着火操作以外の外部加熱が不要、(2)高速プロセス、(3)大量の反応熱による高温の発生、などの特徴を有する。本講義では、これらの特徴を鋳造や接合などのプロセスに利用した事例を紹介する。
多相凝固におよぼす重力の影響 (吉田 誠)
近年、晶出相間に比重差がある多相凝固(共晶・偏晶)に対する重力の影響、対流の影響について関心が高まっているが、知見は極めて少ない。ここでは、Jacson/Hunt理論や、Kurz/FisherのF/nF共晶系についてのBranching Limited Theory、カップルドゾーンの概念、偏晶合金の形態決定機構などの従来の多相凝固の基礎理論を説明を行った上で、これらの理論には、重力や比重差、対流といったファクターはなく、原則、従来の理論によって、重力の影響を予測ることが困難なことを述べる。ついで、比重差のある共晶・偏晶合金の凝固に及ぼす重力の影響の実験事例、対流の影響、さらには有機物系を使った可視化実験によるメカニズムの検討例について、従来理論との比較に置いて紹介する。
シミュレーション基礎 (梅田高照)
凝固現象を定量的に記述するために、伝熱・流動・質量などの巨視的保存則に基づく温度・流速・濃度などの各特性量の予測・模擬が広範にかつ精密に行われている。一方、凝固・結晶成長後の性能を予知するためには、形態の発達過程ならびにそれに伴う溶質分配挙動(ミクロ偏析)を微視的スケールでシミュレーションする必要がある。これらの巨視的ならびに微視的量を記述する上で、両手法は相互に密接に関連する。本稿では、凝固組織シミュレーションとマクロ偏析を中心に、マクロとミクロ現象の連成を述べる。
鋳造欠陥のシミュレーションと予測 (大中逸雄)
砂型鋳造や金型鋳造、ダイカスト鋳造等で問題となるポロシティ欠陥、のろ等の巻き 込み欠陥、マクロ偏析、焼付きなど、種々の鋳造欠陥シミュレーションの現状および 推定法について述べる。
フェーズフィールド法の課題と応用 (野本祐春)
最近、合金凝固に対し定量的に高精度なフェーズフィールドモデルが提案されてきている。一方ここでは超電導酸化物の溶融凝固成長を対象とした定比化合物の界面成長に対して提案されたモデルを示し、粗大化等の計算例を示す。また、ファセット界面異方性モデルなどの問題点と今後の課題をまとめる。
鉄鋼の凝固と組織形成、 及びそのシミュレーション (小関敏彦)
鉄鋼の凝固及びそれに続く凝固組織形成を概説し、それらに対するミクロおよびマクロのシミュレーションについてレビューする。シミュレーションに関する今後の課題についても議論する。
電磁応用プロセス (岸本康夫)
鉄鋼製造プロセスでは電磁気力が幅広く利用され、効率化や材質向上に役立てられている。本講義では、鉄鋼鋳造プロセスにおける電磁流動制御の原理、必要性、凝固組織への影響、電磁鋳造、電磁流動のモデリング、電磁流動シミュレーションなどについて解説する。
アルミニウム製造プロセスとシミュレーション (長海博文)
アルミニウム製品品質に大きな影響を及ぼすDC鋳塊内部欠陥、鋳造割れなどについて、発生メカニズムと対策技術に関する実験結果や考察をおりまぜながら、流動・凝固・熱変形連成解析シミュレーションを用いた予測技術の適用事例について紹介する。
鉄鋼プロセスにおける凝固を伴う流れのシミュレーション (高谷幸司)
鉄鋼プロセスにおける連続鋳造機内の熱・流動現象について、流れにおよぼす凝固シェル、電磁力や給湯ノズルに吹き込まれるArガスの影響等を明らかにするための数学的モデリングについて実例とともに紹介する。
銅連続鋳造プロセスとシミュレーション (吉田浩一)
熱伝導率が高いこと及び鋳造速度が速くないことから3次元解析が望ましい銅及び銅合金の連続鋳造に於けるシミュレーションを、熱解析を中心に報告する。また、固液温度範囲の広いリン青銅に於ける横型連続鋳造方式(間欠引出し法)や鋳型加熱(OCC)方式などの銅鋳造に於いて特有な鋳造法の解析結果をも紹介する。