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オンライン教育講座:
電子顕微鏡と格子欠陥の基礎
(配信:2025年3月31日(月)~4月27日(日))
本講座では電子顕微鏡による格子欠陥の解析を行うために必要不可欠な回折コントラストについて、結晶学の基礎から電子顕微鏡による実際の観察例までやさしく解説します。難解な数学は一切用いずに格子欠陥の回折コントラストに迫ります。各講義の内容は下に記載しています。
本講座は、2024年6月に開催した当該講座の録画をオンデマンドで視聴いただきます。配信期間中は好きな時間に聴講できます。
講師紹介
愛知工業大学客員教授 坂 公恭先生
1964年3月名古屋大学工学部金属学科卒業、1969年3月名古屋大学大学院工学研究科博士課程修了、1970年11月名古屋大学工学部助手、1977年9月~1979年8月英国オックスフォード大学留学、1979年名古屋大学助教授、1988年名古屋大学教授、2005年3月名古屋大学名誉教授、2007年6月~2011年3月名古屋大学特任教授、2012年4月~2014年3月知の拠点あいち嘱託研究員、2014年4月愛知工業大学客員教授、現在に至る。
[コーディネーター]
名古屋工業大学准教授 宮崎 秀俊
カリキュラム
1.結晶学の基礎の基礎
2.ステレオ投影
3.転位論の基礎
4.電子顕微鏡の基礎
5.明視野(BF)像と暗視野(DF)像、制限視野回折(SAD)
6.欠陥のコントラスト
7.走査電子顕微鏡(STEM)
8.最新の研究例
視聴期間
2025年3月31日(月)~4月27日(日)
視聴方法
オンデマンド配信システムUIshareから視聴いただきます。
講義資料
資料は同システムのウエブサイトからダウンロードいただけます。
視聴方法および資料のダウンロードの方法は受講申し込み者にメールで案内します。
受講料
対象者 | 1講座基本料金 | 2講座目以降割引料金※ |
---|---|---|
正員 | 20,000円 | 15,000円 |
学生 | 8,000円 | 6,000円 |
非会員 | 40,000円 | 30,000円 |
(本会維持員会社社員、協賛学協会会員は会員扱い。学生は会員、非会員の区別なし)
※本年度開催のオンライン教育講座を複数申込される場合、2講座目からは割引料金となります。
申込方法
WEB申込: https://www.jim.or.jp/seminersymposium/
申込締切: 2025年4月7日(月)
受講料支払方法:
①カード決済、②コンビニ決済、③銀行振込
問合せ先:
〒980-8544 仙台市青葉区一番町1-14-32
(公社)日本金属学会 セミナー・シンポジウム係
E-mail:meeting[at]jimm.jp
TEL 022-223-3685 FAX 022-223-6312
協賛予定
エネルギー資源学会、応用物理学会、金属材料研究開発センター、軽金属学会、軽金属製品協会、合金状態図研究会、資源・素材学会、ステンレス協会、素形材センター、電気化学会、電気学会、日本アルミニウム協会、日本MRS、日本化学会、日本ガスタービン学会、日本機械学会、日本材料科学会、日本材料学会、日本磁気学会、日本セラミックス協会、日本塑性加工学会、日本チタン協会、日本鋳造工学会、日本鉄鋼協会、日本物理学会、日本分析化学会、粉体粉末冶金協会
各講義の内容
「結晶学の基礎の基礎」
ここではFCC,BCC,HCPを中心に結晶方向、結晶面の定義について述べるが、特にFCC,BCCに重点を置く。逆格子の概念は結晶学でも難解とされているが、逆格子は結晶面の法線方向に対応することを強調した。
「ステレオ投影」
ステレオ投影は本来、球状物体の表面の位置を平面上に投影する方法のひとつであり、地球上の地点を2次元に投影した地図に対応するものである。無味乾燥な結晶方位や面方位とは少し離れて、日常慣れ親しんだ地球上の都市を例にしてステレオ投影の操作の演習をしてみよう。ロンドン-東京間が約1万キロであることがすぐわかる。また、結晶表面の情報(トレース)から内部の結晶面を決定するトレース解析についても詳述する。
「転位論の基礎」
転位の基礎はバーガース・ベクトルである。バーガース・ベクトルを定義するものがバーガース回路である。これが理解できれば転位論が理解できたといっても過言では無い。逆にバーガース回路が理解できないと転位論の理解はおぼつかない。拡張転位、部分転位、積層欠陥、トンプソンの四面体についても述べる。
「明視野(BF)像と暗視野(DF)像」
結晶による回折について述べる。回折にはBraggの法則が適用されるが、Braggの法則にドンピシャリあっているか、わずかにずれているか、全く離れているかによってコントラストがつくのが回折コントラストである。この理解にはEwald球の理解が必須である。 回折効果を最大限に活用するためには小さな(対物)絞りを用いなければならないとこを強調したい。電子顕微鏡では電子回折図形(逆格子)と拡大像(実格子)が同時に観察できる。これらを結びつけるのがDFと制限視野回折である。電子回折図形の指数付けについても演習する。DFの有用性も強調したい。
「転位のコントラスト」
いよいよ本題である。転位のバーガース・ベクトルの決定法、積層欠陥のintrinsicとextrinsicの識別法、転位ループが格子間原子タイプか空孔タイプかの識別法など詳述する。回折コントラスト法での高分解能であるウイーク・ビーム(WB)法についても詳述する。STEM-LACBEDについても簡単に述べる。
「厚い試料を見る必要性」
最近は電顕の高分解能化に伴い薄い試料を見ることが日常化している。しかしこれでは2次元に投影した情報しか得られず、3次元情報は得られない。この対処法としてはステレオ観察がある。超高圧電子顕微鏡(HVEM)はこれに最適であるが、最近厚い試料を観察することが決定的である事象に遭遇した。即ちレーザによる結晶内部の損傷で、薄い試料の観察では肝心のことが完全に欠落してしまう。最後にこの最新情報を提供して皆様の参考にしたい。
参考書
「結晶電子顕微鏡学」(内田老鶴圃)
「問題と解答 結晶電子顕微鏡学」(内田老鶴圃)
「結晶転位論」(丸善出版)