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- 学会概要 : 会長のご挨拶
年頭のご挨拶
新年、明けましておめでとうございます。
学会員の皆様におかれましては、ご健勝で新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
この一年、金属材料に関わる情勢は、国内・海外問わず目まぐるしく変化し、それは今もなお続いた状態にあります。東西冷戦の終結と共にグローバリゼーションが起こり、それが新しい世界構造を生み出したことによって、世界中が新しい常識とルールの模索を続けているように思われます。我が国の金属・材料産業、そしてそれを基盤とする学問分野も、こういった新しい世界構造の変化の中にあって、自らの在り方を自らの手で改革していくタイミングに入っていると感じているのは、私だけではないと思っております。
日本金属学会は、設立以来、産業は学問の道場なりという本多初代会長の理念を受け継ぎながら、金属材料学全般に渡って広く見識を深め、金属材料学を育む学術団体として活動を続けてまいりました。そのことは、今後も変わることは無いと考えております。しかし一方で、先に述べましたように、金属材料学という学問を取り巻く世界構造の変化は、私達に新たな活動の可能性を求めています。特に、金属材料学の分野においてグローバリゼーションを牽引すべく本会の国際化、そして我が国の近年の特徴でもある少子化に対応した次世代の育成は、喫緊の課題であります。また、産業界からの金属材料学分野に対するご理解とご支援も、上 2 つの課題と密接に関係した、極めて重要な課題だと考えています。これらの課題に向けて、日本金属学会が学会員にとって魅力的であり続けるため、皆様のご意見を伺いながら、誠心誠意改革に努めてまいりたく存じます。
とは言え、新年のご挨拶ですので、昨年4月に新しい運営体制になってからの本会の活動状況について、簡単にご紹介いたします。昨年 9月17日(水)から19日(金)にかけて、北海道大学で会場をお借りして、第177回秋期講演大会を開催いたしました。北海道開催は例年参加者数、講演数共に大きく伸びる、いわゆる北海道効果が見られるのですが、今回もご多聞に洩れず、たいへん多くの会員の皆様にご参加いただき(1,716名)、また多くのご講演(1,128件)をいただきました。厚く御礼申し上げます。詳細は、日本金属学会のホームページに掲載されています(https://jimm.jp/event/lecture/2025autm/report.html)。今回、特筆すべき点の 1 つが、ポスター発表数が367件にのぼったことです。ポスター発表件数は、ここのところ増加傾向にあり、そのこと自体はたいへん喜ばしいことなのですが、350件を超えるポスターを掲示してセッションを実施可能な広い会場の確保が、非常に難しくなっています。今回は、北海道大学のご協力と、北海道支部の会員の皆様のご尽力によって何とか実施することができましたが、今後に大きな課題を残すところとなりました。春秋の講演大会開催の技術的課題として、今後検討してまいりたく存じます。
また今回の秋期大会でも、2件の国際シンポジウムを開催いたしました。1件は、これまで継続しておりました KIM-JIM シンポジウムを基盤として、その拡大版とした「Advances in Materials for Hydrogen Production, Storage, and Utilization」です。もう 1 件は、「Recent Trends and Future Perspectives of Semiconductor Materials」です。いずれも、本会会員の皆様からの発案・企画というこで、本会が目指す国際化に向けて、着実な歩みとなっています。ご担当・ご参加いただいた会員の皆様には、深く感謝申し上げます。今後、本会が金属・材料科学におけるアジアの学術ハブとなるべく、国際シンポジウムをよりわかりやすく、また利用しやすいよう制度化し、世界中の金属・材料研究者が集う場として育てていきたいと考えています。
国際化の動きとしましては、昨年10月末に韓国・光州で開催されました、韓国金属材料学会(The Korea Institute of Metals and Materials; KIM)の2025年秋期定期講演大会に会長と事務局長が表敬訪問し、多くの韓国研究者・技術者の皆様と意見交換をしたほか、定期講演大会の運営について事務局間で情報交換したり、女性研究者の貢献を讃える JIMM-KIM 合同セッション開催を模索したりと、非常に有意義な訪問となりました。また一昨年、インド金属学会(The Indian Institute of Metals;IIM)と学術交流協定を結びましたが,昨年12月にインド・Indian Institute of Technology, Hyderabad で開催されましたインド金属学会の第79回定期技術講演会で IIM-JIMM 共同セッションが催され、本会からは会長を加えた 4 名の講演者と事務局長が招待され、学術交流を行ってまいりました。さらに本年は、オーストラリアのゴールドコーストで、Materials Australia がホストとなってPRICM 12が開催予定です。この会議は、かつて、9.11の米国同時多発テロで日本開催が取り止めとなったこともありました。しかし、その後の構成組織である各国の金属・材料学会の不断の努力によって、今では材料に関する世界屈指の国際会議へと成長を遂げています。我が国からも多くの皆様がこの PRICM 12にご出席され、日本金属学会と我が国のプレゼンスを一層高めていただけますことをお願い申し上げます。
さて、先にも述べましたが、国際化と次世代の育成は、本会が取り組むべき最重要事項であります。次世代の育成については、本会に限らず、我が国全体が抱えた課題でもあります。日本金属学会としては、本年、次世代育成のための様々な施策に挑戦していきたいと考えています。具体的議論はこれからではありますが、ポスターセッションの活況にもありますように、たいへん多くの学生の皆様が、大学あるいは高専在学中に本会に入会してくださいます。しかし残念なことに、卒業し民間企業に入社されたタイミングで退会されるケースが目立ちます。金属・材料素材は、どういった分野であれ、産業界では多かれ少なかれ関係があるもので、日本金属学会で得られる人脈は、社会に出てこそ真価を発揮するものと考えます。しかしそれよりも何よりも、日本金属学会は、金属材料学の学びを深め、あるいは金属や材料の根源に触れることで知的好奇心を高め、そして金属・材料が内包するあらゆる能力の展開を創造する学術団体であり、コミュニティであります。利用価値という言葉だけでは言い表すことができない、人生に活力と潤いを与えてくれる存在であり続けたいと考えています。そのため、会員同士の連携をより強固なものにするための知的財産のデジタル化、そして様々なデジタルツール・コンテンツの開発等を通して、次世代、新世代の会員の皆様も巻き込んだ、世代を超えて集えるコミュニティを目指していきます。そして、会長就任の挨拶でも述べましたように、世代間連携、産学連携、国際的プレゼンス、そして各種委員会活動の一層の強化を目指し、また講演大会やセミナー・シンポジウム、刊行事業等の更なる充実を図る一年にしてまいります。
本年も、ご協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
