日本金属学会

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2013年春期講演大会公募シンポジウムテーマ要旨

春期大会(東京理科大学神楽坂キャンパス)におけるテーマ公募によるシンポジウム講演は、下記テーマで実施することになりました。
講演申込要領は前記のとおりです。多数の有益な講演と活発な討論を期待いたします。

S1   永久磁石開発の元素戦略―材料設計の技術課題―
Element Strategy for High Performance Permanent Magnets ―Technical Challenges on Materials Design―

元素戦略は材料科学における我が国の重要な施策と位置づけられ、金属学会でも文科省と協力で元素戦略シンポジウムを開催してきた。このような背景のもと、本シンポジウムでは元素戦略の4課題のひとつである希少金属を使わない永久磁石材料の開発を目指した基礎研究を取り上げる。Dyを削減するための Nd-Fe-B系磁石の高保磁力化に関する従来の研究に加え、今回は特に、希少元素を用いない新規磁石化合物の可能性を検討するための磁性理論、磁石の保磁力を高めるために必要な保磁力理論とマイクロマグネティクシミュレーションなど理論的な研究発表を歓迎する。また、保磁力と微細構造の関係を理解するための微細構造解析や薄膜によるモデル実験、さらに次世代高性能磁石開発のためのプロセス研究等の広範な磁石研究の発表と活発な討論を期待する。

テーマ責任者
 (シンポジウム chair):
   物質・材料研究機構 フェロー 宝野 和博
   E-mail: kazuhiro.hono@nims.go.jp
 (シンポジウム co-chairs):
   東北大 杉本 諭 産総研 三宅 隆 物材機構 三俣 千春


S2   めっき膜の構造及び物性制御とその応用(III)
Nano Plating(III)

めっき技術は表面処理技術から始まり、現在ではエレクトロニクス機器には不可欠な技術となり、むしろそのキーテクノロジーとなっている。そのため、その精細化、高機能化を求め、さらに進化し続け、ナノテクノロジーといわれるにふさわしい技術となっている。めっき膜のさらなる精細化、高機能化のためには、めっき膜の詳細な結晶学的構造の制御が必要となり、その理論の確立が求められている。本シンポジウムでは膜構造の制御と膜物性の制御、さらにその応用について基調講演を行うと同時に広く一般講演を募集し、活発な討論を行い、さらなる技術向上を目指すものである。

テーマ責任者
 (シンポジウム chair):
   ナノプレーティング研究所 代表 渡辺 徹
   E-mail: watanabe-tohru@w.email.ne.jp
 (シンポジウム co-chairs):
   名古屋産業振興 久米 道之 岡山工技センター 日野 実
   兵庫県立大 松田 均


S3   プラストンの材料科学
Materials Science on Plaston

「転位論」は材料科学・工学における重要な学問基盤であり、金属系結晶材料の変形は転位(dislocation)の運動により議論される。一方近年、転位の概念だけでは必ずしも理解しきれない変形現象が顕在化しつつある。例えば、ナノ結晶材料においては複数の結晶粒の協調的なせん断や回転が生じている可能性があり、回位(disclination)の運動により記述しようとする考え方がある。また、原子のシャフリングを必要とする六方晶、あるいは複雑な規則相における双晶変形の原子的メカニズムや、せん断帯、粒界すべり、アモルファス・金属ガラスの変形、マルテンサイト変態もこの範疇に入る。我々は、転位や回位を内包し結晶性材料の変形現象を包括的に理解する上位概念として、変形子(プラストン:plaston)を提案する。本公募シンポジウムは、新規な挑戦的概念であるプラストンを題材に、新たな視点から材料の変形と破壊についての基礎的議論を行うために企画されたものである。

テーマ責任者
 (シンポジウム chair):
   京都大学大学院工学研究科教授 辻 伸泰
   E-mail: nobuhiro-tsuji@mtl.kyoto-u.ac.jp
 (シンポジウム co-chairs):
   京大 田中 功 乾 晴行 物材機構 津﨑兼彰
   東大 幾原雄一 尾方 成信 京大 落合 庄治郎


S4   グリーンエネルギー材料のマルチスケール創製シンポジウム
Multiscale Engineering of Green Energy Materials

東日本大震災を機会に、持続可能な低炭素社会の構築とともに安全安心なエネルギーの確保が重要な課題となっている。本公募シンポジウムでは、材料科学の立場から、長期的-短期的視野に立って、太陽光発電や廃熱利用などの新規グリーンエネルギー変換システム用材料の創出と共に、超々臨界発電や超高温熱機関などの従来技術の高効率化を実現するための方策についての議論を行っていきたい。
グリーンエネルギー材料の創製には、これらを構成するエネルギー材料の構造を原子レベルから実寸レベルまで有機的に結びつけ、マルチスケールでデザインを可能にする材料科学的アプローチが必要である。本公募シンポジウムは、平成20年度-24年度に活動した「格子欠陥制御工学研究会」や同名の公募シンポジウムの総括を行うとともに、それらの実績を踏まえ、規則度や格子欠陥の構造、配列の原子論的解析や不純物、非化学量論などに由来する局在的な量子効果、ナノからミクロレベルにおける微細組織のキャラクタリゼーションとその制御、そしてミリから実寸レベルにおける階層構造化技術や材料特性の評価など、グリーンエネルギー材料に対するマルチスケール創製の設計原理確立に向けての議論の場を提供する。

テーマ責任者
 (シンポジウム chair):
   熊本大学大学院自然科学研究科教授 連川 貞弘
   E-mail: turekawa@kumamoto-u.ac.jp
 (シンポジウム co-chairs):
   神戸大 田中 克志 東工大 細田秀樹 東北大 吉見 享祐
   北大 渡辺 精一


S5   低炭素化社会の構築に向けた耐熱材料の新展開II
Novel Prospect and Technology on Heat Resistant Materials for Realization of Sustainable Low Carbon Society II

本公募シンポジウムは今春に引続き第2回として開催するものである。昨年の東日本大震災による原発事故を受けて、我国のエネルギー政策は根底から見直しをせまられ、現在2030年の電源構成のベストミックスの議論が行われている。特に、原発依存度を何%まで下げるかが話題となっており、その代替として再生可能エネルギー(水力、風力、太陽光、バイオマス、地熱)を20~30%まで高め、低炭素化社会を実現するグリーンテクノロジーへの取組みが行われつつある。しかし、資源の乏しい我国が国際競争力を維持し、かつ、安心安全な低炭素化社会を実現するためには、エネルギーの安定供給は必要不可欠であり、その主役は火力である。再生可能エネルギーの有効利用は社会の安全装置である火力発電が後ろ盾にあって初めて成立つ。したがって、発電効率の向上をもたらす蒸気タービンやガスタービン用耐熱材料の高温・高強度化技術の進歩は重要な課題である。また、ジェットエンジン等各種輸送機器の燃焼器の高温化による燃費の向上も低炭素化社会の構築に貢献する。本シンポジウムでは、これら耐熱材料の高性能化をもたらす画期的な組織制御技術について、基礎と応用の両面から議論を展開し、その新たな可能性を探求する。

テーマ責任者
 (シンポジウム chair):
   東京工業大学大学院理工学研究科教授 竹山 雅夫
   E-mail: takeyama@mtl.titech.ac.jp
 (シンポジウム co-chairs):
   名大 村田 純教 九大 中島 英治 北大 三浦 誠司
   京大 岸田 恭輔 東北大 大森 俊洋


S6   シンクロ型LPSO構造の科学と工学
Materials Science and Engineering on Synchronized LPSO Structure

新奇なLPSO構造相を強化相にした高強度・高耐熱マグネシウム合金(LPSO 型マグネシウム合金)が我が国で開発され、基礎と応用の両面で研究開発が進められている。特に、2011年から文部科学省・新学術領域研究「シンクロ型 LPSO 構造の材料科学」が5年間の予定で開始され、LPSO型マグネシウム合金の強化相であるLPSO構造相の原子配列構造、形成機構、力学特性と新強化原理の解明に向けた基礎研究が進められている。
本シンポジウムでは、シンクロ型LPSO構造の基礎研究からLPSO型マグネシウム合金の応用研究に渡る講演を募集し、シンクロ型LPSO構造の原子配列構造、形成機構、力学特性等の基礎研究、ならびにLPSO型マグネシウム合金とその実用化への展開についての最新情報を共有して議論を深めることによって、シンクロ型LPSO構造とその関連材料の研究を推進したい。

テーマ責任者
 (シンポジウム chair):
   熊本大学 先進マグネシウム国際研究センター教授 河村 能人
   E-mail:rivervil@gpo.kumamoto-u.ac.jp
 (シンポジウム co-chairs):
   京大 奥田 浩司 九工大 大谷 博司 高エネ加速研機構 神山 崇
   九大 東田 賢二 原研 相澤 一也 東北大 古原 忠

S7   励起反応場で創成した低次元ナノ材料とその機能(9)
Low-dimensional Nanomaterials and Their Functions Grown in the Physically/Chemically Excited Reaction Fields (ser. 9)

新機能デバイス要素を目指したナノ材料研究が隆盛を極める中、物理・化学的励起反応場を用いると自己組織化機構から逸脱すると思われる機構により形成された低次元ナノ材料が報告され始めた。その反応場では様々な励起源によって原子・分子規模の非平衡反応を促進させ、主としてボトムアップ的成長と操作が可能となる。本シンポジウムでは励起反応場を用いて創成される各種低次元材料を概括してその形成機構と制御の可能性に関する考察を行い、これらの特異的な物理・化学的諸特性と応用の可能性を学際的に議論する。対象とする励起反応場は、物理的には電子線・イオン・レーザー・超音波などのビーム照射、化学的には超臨界などの高温・高圧条件やサイズ・次元が規制された空間での化学反応とし、形状にナノメートル規模の粒子・ドット・チューブ・ロッド・ファイバー・板状箔などの低次元構造を持つ金属・半導体・無機化合物・有機化合物・それらの複合体を網羅する。

テーマ責任者
 (シンポジウム chair):
   東北大学多元物質科学研究所教授 田中 俊一郎
   E-mail: sitanaka@tagen.tohoku.ac.jp
 (シンポジウム co-chairs):
   東北大 佐藤 俊一 阪大 保田 英洋 東北大 柴田 浩幸

S8   ライフ・グリーンイノベーションのためのTi合金
Development of Titanium Alloys for Life and Green Innovations

急速な高齢化が進む日本において、健康寿命の延伸を図ることが重要視されており、疾病の早期回復の促進もしくは対処療法に基づくQOLの向上が要となる。特に従来から実用化に向けて取り組みが進められている骨組織再建については、生体親和性の高いバイオマテリアルの活用と幹細胞の誘導・分化促進による生体内での高次組織構築技術の開発が喫緊の課題とされている。骨組織再建材料としてTi合金は現在すでに実用化されているが、生体組織との物理的・化学的な親和性の観点でさらに改善ができる材料といえる。また、Ti合金は、比強度の高い軽量構造用材料であり、Ti合金のさらなる高強度化が安価に実現できれば、航空機に代表される輸送機器の軽量化を促進し省エネルギー・低炭素社会の実現に大きく寄与する。つまり、Ti合金は、ライフ・イノベーションとグリーン・イノベーションを調和実現する材料といえる。本シンポジウムでは、ライフ・イノベーション及びグリーン・イノベーションのための先端革新技術開発におけるチタン合金の位置付けを明確にすることを目的として、Ti合金開発の現状について知識の共有を図るとともに、Ti合金のさらなる高機能化のための元素選択・熱処理技術・加工技術・表面処理技術について議論する場を提供したい。

テーマ責任者
 (シンポジウム chair):
   愛媛大学大学院理工学研究科准教授 小林 千悟
   E-mail: kobayashi.sengo.me@ehime-u.ac.jp
 (シンポジウム co-chairs):
   東北大 成島 尚之 阪大 中野 貴由 東京医歯大 塙 隆夫
   東北大 新家 光雄

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