結晶の表面,界面,点欠陥等に局在した特徴的な原子配列や電子状態=ナノ構造が,材料特性に決定的な役割を担う例は極めて多い.
近年ナノ構造における個々の原子を直接観察し,その定量的情報を直接的に得るための実験および理論計算に格段の進歩があった.
本シンポジウムでは,ナノ材料科学のフロンティア開拓にさらなる弾みを付けるとともに,獲得されるナノ構造情報を具体的な材料設計・創出に活かすことを目指して,材料科学,応用物理,固体化学,触媒化学,
情報科学など様々な分野からナノ構造の評価・設計,材料・機能創製に関する発表を募り,横断的な議論を行う.
テーマ責任者
(シンポジウム chair):
名古屋大学エコトピア科学研究所教授 武藤俊介
E-mail: s-mutoh@nucl.nagoya-u.ac.jp
(シンポジウム co-chairs):
物材機構 吉田英弘 東大 溝口照康 名大 豊浦和明 京大 世古敦人
S2 金属間化合物材料の新たな可能性
New Perspectives in Structural and Functional Intermetallics Alloys
本シンポジウムは,2002年秋期大会以来14年連続の企画である.
TiAl,遷移金属シリサイドといった高温構造材料としての金属間化合物ならびに形状記憶合金,熱電変換材料といった機能性金属間化合物は,用途は異なるものの,
その力学特性ならびに機能特性は,化合物特有の規則原子配列,相安定性,格子欠陥といった共通の因子に支配されている.
このような特性と組織の相関は,原子直視電子顕微鏡法,計算材料科学のみならず3D 積層造形法など新たなプロセス技術の発展によって近年急速に理解が深まり,
金属間化合物の研究に新たな展開が生まれている.本シンポジウムは,構造用化合物ならびに機能性化合物およびそのキャラクタリゼーション,
計算機シミュレーションに関して広く講演を募り,大学,企業,研究所の研究者の活発な議論の場を提供するとともに,これら研究者の有機的連携を促進することを目的としている.
我が国の研究のアクティビティを一層高めるとともに,従来の構造用金属間化合物のみならず,金属間化合物がその特性を存分に発揮できる新しい研究領域を開拓することを狙って企画した.
S3 水素エネルギー材料 -Ⅵ
Hydrogen Energy Materials -Ⅵ
地球環境,温暖化の抑制に加え,エネルギーセキュリティの観点から,水素エネルギー社会の構築が強く求められている.
水素社会実現に必須な技術要素,すなわち水素の製造,輸送・貯蔵,利用に係る材料学的課題については,これまでに開催された「水素エネルギー材料Ⅰ~Ⅴ」にて,
多くの参加者により活発に議論されてきた.シリーズとして開催される本シンポジウムでは,これまで取り組んできた「エネルギーとしての水素」および「材料開発・機能設計のための水素」に関連する材料の研究を深化させる.また,材料
合成,構造解析,計算科学,組織制御等を専門とする研究者が密に情報交換し,各自の得意とする専門・技術を融合することで,新たな材料科学の萌芽も期待される.
S4 機能性ホイスラー合金研究の最先端
The latest research on various functional Heusler alloys
L21/C1 規則構造を持つホイスラー合金は,その構成元素の豊富な組み合わせにより,磁気・伝導・構造特性が大きく変化し,
その機能性は,高スピン偏極率・低ダンピング材料,高磁気異方性材料,磁気冷凍材料,形状記憶合金材料,高性能熱電材料など極めて多種多様である.
我が国ではホイスラー合金材料研究に関し,世界屈指の研究者が各研究分野において活躍しているが,分野間の隔たりは大きく,
それぞれの持つ知識や情報を一堂に会して共有する機会はほぼ皆無である.材料研究のメッカたる金属学会において本シンポジウムを開催し,
各分野で活躍する研究者が集まり講演・議論することは,ホイスラー合金に関する最新の研究成果を知るだけではなく,各々が現在抱えている課題,
試料作製法のノウハウや最先端の評価手法などの情報を共有化することに繋がる.これにより,問題に対する新たな解決策や新規な材料開発へと発展することが大きく期待される.
S5 キンク変形ダイナミクス
Kink Deformation Dynamics
塑性異方性の強いHCP 構造を基本構造とする結晶性材料の塑性変形機構の一つとして,キンク変形がある.
半世紀程前からキンク変形の存在は知られていたが,最近,このキンク変形による結晶性材料の強度特性に関する研究が盛んに行われるようになった.
例えば,長周期積層構造(LPSO)相を有するマグネシウム合金の塑性変形には,キンク変形が大いに関わっており,優れた強度を示すことが明らかになった.
また,MAX Phase と呼ばれるセラミック材料においては,キンク変形により延性が発現することなど,興味深い研究成果が報告された.
本シンポジウムでは,2014年春期大会で開催された公募シンポジウム「塑性異方性の強い結晶性材料のキンク変形ダイナミクスと強化機構」で議論された新強化原理や力学特性において,
最新の研究成果の紹介とさらに深い議論を行う場を設けるべく,本シンポジウムを企画した.本シンポジウムでは,キンク変形,キンク強化,回位などをキーワードとする講演を募集する.
テーマ責任者
(シンポジウム chair):
九州大学教授 中島英治
E-mail: nakasima@mm.kyushu-u.ac.jp
(シンポジウム co-chairs):
北見工大 大橋鉄也 九大 東田賢二 阪大 中谷彰宏 東大 阿部英司 熊本大 河村能人
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