日本金属学会

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2015年春期講演大会公募シンポジウムテーマ要旨

 春期講演大会(東京大学)におけるテーマ公募によるシンポジウム講演は,下記テーマで実施することになりました.講演申 込要領は前記のとおりです.多数の有益な講演と活発な討論を期待いたします.

S1  永久磁石開発の元素戦略3 ―材料設計の技術課題―

Element strategy for high performance permanent magnets ―technical challenges on materials- design

希少金属を用いない高性能永久磁石開発への期待に応えるために,Fe 基系希土類化合物磁石の高性能化に関する実験・理論研究ならびに新規磁石化合物探索を目指した理論研究を対象とする. 具体的には,Dy 削減Nd-Fe-B 系磁石の高保磁力化に関する研究に,磁石の保磁力を高めるために必要な保磁力理論とそれを実証するための実験研究, 複雑な微細構造を持つ永久磁石の磁化反転のマイクロマグネティクシミュレーション,さらに高性能磁石開発のためのプロセス研究, 新規磁石化合物探索のための理論研究等の発表と活発な討論を期待する. またモーター・発電機応用に必要とされる磁石特性のユーザー側からの材料研究者への提言も歓迎する.

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

物質・材料研究機構磁性材料ユニット・グループリーダー 大久保忠勝

E-mail: ohkubo.tadakatsu@nims.go.jp

(シンポジウム co-chairs):

日立金属 西内武司 物材機構 広沢 哲 産総研 尾崎公洋 トヨタ自動車 加藤 晃

S2  めっき膜の構造及び物性制御とその応用(Ⅴ)

Nano plating(Ⅴ)

シンポジウム開催の目的は,めっき膜の構造制御とその高機能化, およびめっき法による微細構造体形成のための技術向上を目的としている.
めっき技術はこれまで電気化学的に検討されてきたが,めっき膜は金属材料そのものであり, 金属学的に検討されるべきであると考え,当金属学会の先生方にも関心を持っていただきたいと,度々企画している. シンポジウムでは,膜の構造制御とその物性制御,そして応用の各テーマの最新情報について基調講演をいただき,それに沿って一般講演を募集する.

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

ナノプレーティング研究所代表 渡辺 徹

E-mail: watanabe-tohru@w.email.ne.jp

(シンポジウム co-chairs):

兵庫県立大名誉教授 松田 均 広島工大 日野 実
東日本エレクトロエレクトロプレイティング・エンジニヤーズ 藤波知之 吉野電化工業 吉野正洋

S3  プラストンの材料科学Ⅲ

Materials Science on Plaston Ⅲ

「転位論」は材料科学・工学における重要な学問基盤であり,金属系結晶材料の変形は転位(dislocation)の運動により議論される. 一方近年,転位の概念だけでは必ずしも理解しきれない変形現象が顕在化しつつある. 例えば,ナノ結晶材料においては複数の結晶粒の協調的なせん断や回転が生じている可能性がある. また,原子のシャフリングを必要とする六方晶,あるいは複雑な規則相における双晶変形の原子的メカニズムや,せん断帯,粒界すべり, アモルファス・金属ガラスの変形,マルテンサイト変態もこの範疇に入る. 我々は,転位や回位(disclination)を内包し結晶性材料の変形現象を包括的に理解する上位概念として, 変形子(プラストン:plaston)を提案する. 本公募シンポジウムは,過去2 回の公募シンポジウムに引き続き,プラストンに関する理解の進展を議論することを目的としている.

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

京都大学教授 辻 伸泰

E-mail: nobuhiro-tsuji@mtl.kyoto-u.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

京大 田中 功 京大 乾 晴行
九大 津崎兼彰 東大 幾原雄一
阪大 尾方成信 阪大 落合庄治郎

S4  医療・福祉材料開発の最前線

Frontiers of biomedical/welfare materials developments

人々の健康と暮らしを支える医療と福祉の発展は,喫緊の最重要課題である. 健康長寿命社会の実現には,安全で有効性の高い治療の実現や,高齢者,障がい者,患者の生活の質(QOL)の向上などが重要なテーマであり, このような近年の医療や福祉に対するニーズの変化,それに応じた医療・福祉技術の日進月歩の進展は,医療機器,医療材料, 福祉材料へのニーズを加速的に変化させている. その結果,医療・福祉分野における研究対象は,骨適合性や血液適合性などの生体機能性を材料に付与する合金設計,構造・組織制御,表面修飾, さらには材料の低プライス化をめざした合金設計,合理化製造プロセスなど,多岐にわたる. また,我が国の材料開発は,世界で最も高い水準にあり,医療・福祉材料分野においても驚異的なスピードで研究開発が進められている. 本シンポジウムでは,医療・福祉材料開発の「最先端」に対する共通認識を得ると共に,同材料のさらなる高機能化のための方策,将来展望について議論を深める場としたい.

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

関西大化学生命工准教授 上田正人

E-mail: m-ueda@kansai-u.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

東北大 仲井正昭 東北大 成島尚之 阪大 中野貴由 愛媛大 小林千悟 東京医歯大 塙 隆夫 東北大 新家光雄

S5  水素誘起超多量空孔

Hydrogen-induced superabundant vacancies

水素誘起超多量空孔(SAV)生成は,水素を固溶した金属中で原子空孔の熱平衡濃度が飛躍的に(数桁以上)増加する現象で, 深井らが発見してからちょうど20年になる. その機構は空孔が水素をトラップすることで生成エネルギーが低下するという単純なもので, その一般性ゆえに金属の性質に極めて広範な影響をもたらすことが次第に明らかにされつつある. SAV がもたらす効果として,金属原子の拡散過程(特に低温領域)の促進および空孔-水素複合欠陥をもとにした空孔クラスターの形成促進がある. それらは金属めっき膜の室温再結晶,金属の水素脆化や応力腐食割れ,核融合炉の脆化などに重要な役割を果たしていることが示され, 工業的にもその挙動解明が求められている.近年,原子空孔分析や水素分析の手法も大きく発展し, 第一原理計算などによる空孔-水素の構造決定法も進化していることから単なる現象論から原子論を基礎とした機構解明へのブレイクスルーが期待される. 本シンポジウムを通して,材料特性と構造解析との意見交換を通じて,新規な研究展開を促進することを狙うものである.

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

千葉大学大学院工学研究科教授 藤浪真紀

E-mail: fujinami@faculty.chiba-u.jp

(シンポジウム co-chairs):

大阪府立大 沼倉 宏 島根大 荒河一渡
中央大 杉本秀彦 兵庫県立大 福室直樹

S6  シンクロ型LPSO 構造の構造科学

Materials Structure Science on Synchronized LPSO Structure

 新奇なLPSO 構造相を強化相にした高強度・高耐熱マグネシウム合金(LPSO 型マグネシウム合金)が我が国で開発され,基礎と応用の両面で研究開発が進められている. 特に,2011年から文部科学省・新学術領域研究「シンクロ型LPSO 構造の材料科学」が5年間の予定で開始され,LPSO 型マグネシウム合金の強化相であるLPSO 構造相の①原子配列構造, ②形成メカニズム,③力学特性と新強化原理の解明に向けた基礎研究が進められている. 2013年の春期大会では「シンクロ型LPSO 構造の科学と工学」を実施してシンクロ型LPSO 構造に関する研究の進展状況の把握, 解決すべき課題の抽出とその解決策について議論した.その結果を受けて,2014年春期大会では「塑性異方性の強い結晶性材料のキンク変形ダイナミクスと強化機構」(講演件数21件)を実施することにより, シンクロ型LPSO 構造の力学特性と新強化原理に関する議論を深め,また2014年秋期大会では「シンクロ型LPSO構造の形成メカニズム」(講演件数19件)を実施することにより, シンクロ型LPSO 構造の形成メカニズムに関する議論を深める予定である. 本シンポジウムでは,シンクロ型LPSO 構造の構造そのものに関する講演を募集し,構造形成過程やキンク構造等も含めたシンクロ型LPSO 構造について最新情報を共有して議論を深めることによって, シンクロ型LPSO 構造とその関連材料に関わる材料研究の発展を促したい.

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

日本原子力研究開発機構研究主席 相澤一也

E-mail: aizawa.kazuya@jaea.go.jp

(シンポジウム co-chairs):

東北大 古原 忠 九大 東田賢二 東北大 大谷博司
高エネルギー加速研 神山 崇 熊本大 河村能人

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