日本金属学会

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2017年秋期講演大会公募シンポジウムテーマ要旨

秋期講演大会(北海道大学)におけるテーマ公募によるシンポジウム講演は、下記9テーマで実施することになりました。 講演申込要領は前記のとおりです。多数の有益な講演と活発な討論を期待いたします。

S1 金属間化合物材料の新たな可能性

New Perspectives in Structural and Functional Intermetallics Alloys

TiAl、遷移金属シリサイドといった高温構造材料としての金属間化合物ならびに形状記憶合金といった機能性金属間化合物は、用途は異なるものの、その力学特性ならびに機能特性は、化合物特有の規則原子配列、相安定性、格子欠陥といった共通の因子に支配されている。 このような特性と組織の相関は、原子直視電子顕微鏡法、計算材料科学のみならず3D積層造形法など新たなプロセス技術の発展によって近年急速に理解が深まり、金属間化合物の研究に新たな展開が生まれている。 内閣府SIPプロジェクトやJST-ALCAプロジェクトでも、金属間化合物材料が主たる研究対象となっている場合が多い。 本シンポジウムは、金属間化合物のキャラクタリゼーション、計算機シミュレーションに関して広く講演を募り、大学、企業、研究所の研究者の活発な議論の場を提供するとともに、これら研究者の有機的連携を促進することを目的としている。 我が国の研究のアクティビティを一層高めるとともに、従来の構造用金属間化合物のみならず、金属間化合物がその特性を存分な発揮できる新しい研究領域を開拓することを狙って企画した。 本シンポジウムは、2002年秋期大会以来16年連続の企画である。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

京都大学大学院工学研究科教授 乾 晴行

E-mail: inui.haruyuki.3z@kyoto-u.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

東工大 竹山 雅夫 北大 三浦 誠司 東北大 吉見 享祐
阪大 安田 弘行 東工大 木村 好里

S2 触媒材料の金属学

Metallurgy for advanced catalytic materials

触媒はグリーン・イノベーションのキーマテリアルであり、近年、脱貴金属化や貴金属代替合金触媒の開発は最重要課題の一つとなっている。 触媒材料として金属・合金は古くから利用されてきた。 特に、合金化による触媒性能の向上は枚挙に暇がない。 しかし、意外なことにこれら合金化効果と触媒機能に関する原理・原則は未だ確立されていない。 その最大の要因は、金属・合金触媒において金属学の視点で深く議論されることが無かったからである。 そこで、本(ミニ)シンポジウムでは、金属・合金の触媒作用を金属学の観点から理解するとともに、新たな触媒材料の学理を構築し実際の調製法に繋げることを目的とする。 金属材料分野を中心とした幅広い分野(触媒化学、材料物性・解析、物性理論、表面・電気化学など)から講演を募り、研究者間での意見・情報交換、活発な討論を行う。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

東北大学多元物質科学研究所准教授 亀岡 聡

E-mail: kameoka@tagen.tohoku.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

NIMS 許 亜

S3 電子・磁性・情報材料のプロセス・アシストによる高性能化(2)

Practical tuning of electronic, magnetic and IT materials assisted by processing

電子・磁性材料などの材料機能は、発現原理を問う基礎学理と実装のための工学技術にギャップがあると、いわゆる死の谷を迎え最終的に世の中に出ない。 この際、材料自体の“筋の良し悪し”の問題もあるが、実用性状化に特化した特徴的プロセス技術にアシストが要諦になることも多い。 構造材料などでは、プロセスが実装を支える例などは枚挙に暇がないが、一方、いわゆる機能性材料では、プロセス・実装技術まで含めた俯瞰的な視座が乏しい。 本シンポジウムでは、実用性に裏打ちされた融合に焦点をあて、機能を犠牲にしない「ものづくり」のための材料科学について議論する。 このために、例えば劇的な新展開を示した磁気テープメディア、医療用デバイスとして近年実用化されたCuAlMn超弾性合金、電池用電極などに活用されるMg合金、熱電材料の実装を目指した技術など、実用化あるいは実用間近な出口研究が進行しているケースを中心に基調講演を計画し、プロセス・実装技術を横串とした視点から、本分野の活発化を諮る。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

産業技術総合研究所チーム長 藤田 麻哉

E-mail: asaya-fujita@aist.go.jp

(シンポジウム co-chairs):

名工大 西野 洋一 東北大 貝沼 亮介 産総研 千野 靖正

S4 ナノ構造情報のフロンティア開拓―材料科学の新展開

Exploration of nanostructure-property relationships for materials innovation

結晶の表面、界面、点欠陥等に局在した特徴的な原子配列や電子状態=ナノ構造が、材料特性に決定的な役割を担う例は極めて多い。 近年ナノ構造における個々の原子を直接観察し、その定量的情報を直接的に得るための実験および理論計算に格段の進歩があった。 本シンポジウムでは、ナノ材料科学のフロンティア開拓にさらなる弾みを付けるとともに、獲得されるナノ構造情報を具体的な材料設計・創出に活かすことを目指して、材料科学、応用物理、固体化学、触媒化学、情報科学など様々な分野からナノ構造の評価・設計、材料・機能創製に関する発表を募り、横断的な議論を行う。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

名古屋大学未来材料・システム研究所教授 武藤 俊介

E-mail: s-mutoh@nucl.nagoya-u.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

阪大 吉矢 真人 名大 中村 篤智 京大 世古 敦人

S5 ナノ・マイクロ造形構造体の材料学III

Material Science in Nano/Micro-scale 3D Structures

複雑形状構造体への革新的ものづくり法として粒子やレーザー光などを用いた積層型造形が発表されて久しい。 デバイスの極小化に伴いmmからnmスケールにも展開が求められておりボトムアップ的な「励起反応場」およびトップダウン的手法が候補概念として提案できる。 しかし材料学的には原子・分子規模の非平衡反応、成長・造形機構解明や組織制御、残留応力緩和、諸特性相関の把握など課題が多く、関連分野の研究者および企業での開発者が一同に会して問題点を抽出・議論することが必要な時期にきている。 本シンポジウムでは励起反応場およびその他特異な手法を用いて創成するmmからnm規模の造形構造体に関わる最近の成果と問題点を材料学的な観点から論じる。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

筑波大学数理物質系物質工学域准教授 谷本 久典

E-mail: tanimoto@ims.tsukuba.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

大阪府立大 岩瀬 彰宏 阪大 山本 孝夫 京大 馬渕 守
東北大 加藤 秀実 中村貴宏 田中 俊一郎

S6 分野融合による機能性ホイスラー合金材料研究の新展開

Exploration of new research field and collaboration in functional Heusler alloys

ホイスラー合金は、構成元素の豊富さとそれらの多様な組み合わせにより、磁気的・電気的・熱的特性が大きく変化し、高スピン偏極率・低磁気緩和、高磁気異方性、高磁気形状記憶効果、高熱電特性など様々な高い機能性を示す「機能性材料の宝庫」である。 しかしながら、いずれの機能応用に関しても実用レベルには到達しておらず、基礎から応用への”死の谷“を越えるブレークスルーが強く求められている。 本シンポジウムでは、各分野のホイスラー合金研究の第一人者を講演者として招き、近年の研究の進展と、直面する課題について情報共有し議論する。 さらに、計算と光電子分光等の解析を専門とする研究者を招き、第一原理計算による材料・機能デザインや微細組織・電子構造解析等の観点からも新たな手法を提案頂く。従来の分野の枠を超えた新分野の創生と新規的発想による課題解決のブレークスルーを生み出すシンポジウムとすることを目指す。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

大阪大学教授 浜屋 宏平

E-mail: hamaya@ee.es.osaka-u.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

NIMS 宝野 和博 広島大 木村 昭夫

S7 生体材料の表界面構造制御と生体組織・細胞反応

Control of surface/interface structure in biomaterials and the subsequent cell/tissue reaction on the surface

超高齢社会を迎えたわが国において、生体機能の維持や早期回復のために、生体材料の表界面構造制御とそれに基づく生体材料と生体組織/細胞の表界面反応に関する学理構築が不可欠である。 生体材料のin vivo・in vitro利用においては、生体材料自体の耐食性、毒性、疲労特性、耐摩耗性などの化学的・機械的な特性に加え、生体材料と生体組織間に形成される表界面構造が、細胞、産生タンパク質、産生基質などとの反応や短長期の生体適合性に多大な影響を与える。 一方、近年において、材料に抗菌性や親菌性、硬・軟組織適合性、抗炎症性など各種性質を付与するための材料開発ならびにそれらの製造・表面改質プロセスの開発も盛んに行われるようになっている。 表面改質素材としては、金属・合金だけでなく、セラミックス、ポリマー、さらにはその複合体と多岐にわたる。加えて、レーザーなどの周辺技術の進歩は精緻な表界面形状設計を可能としている。 本シンポジウムでは、生体材料を体内に埋入する際に避けて通ることができない生体材料/生体組織の表界面構造や制御に注目し、その物理的結合から化学的結合までを幅広く議論することで、能動的な表界面機能付与も含め生体材料の表界面制御の現状と今後の方向性について議論する場を提供する。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

名古屋大学准教授 黒田 健介

E-mail: kkuroda@numse.nagoya-u.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

名工大 小幡 亜希子 阪大 中野 貴由 東北大 成島 尚之
愛媛大 小林 千悟 関西大 上田 正人 東北大 野村 直之

S8 水素エネルギー材料―VII

Hydrogen Energy Materials―VII

地球温暖化抑制およびエネルギーセキュリティの観点から、水素エネルギーの社会への導入に向けた取り組みが加速しつつある。 これまでに開催された「水素エネルギー材料I~VI」では、水素の製造、輸送・貯蔵、利用に係る材料学的課題について活発な議論が交わされた。 シリーズとして開催される本シンポジウムは、「エネルギーとしての水素」および「材料開発・機能設計のための水素」に関する材料研究の進展を目指し、材料合成、構造解析、計算科学、組織制御等の研究者間の情報交換・議論を促進するとともに、新たな材料科学の萌芽も期待するものである。 基調講演では、進行するプロジェクトの成果等をご紹介いただくとともに、本研究分野の今後の活性化に向けた展開についてもお話しいただく予定である。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

産業技術総合研究所総括研究主幹 中村 優美子

E-mail: yumiko.nakamura@aist.go.jp

(シンポジウム co-chairs):

東北大 折茂 慎一 金沢大 石川 和宏 豊田中研 三輪 和利
広島大 市川 貴之 九大 李 海文

S9 マテリアルズ・インテグレーション

Materials Integration

理論・実験・解析・シミュレーション・データベースなどの材料科学の知見と最新の情報科学を融合することで、材料の研究開発を支援・加速することを目指す新たなツールがマテリアルズ・インテグレーションです。 マテリアルズ・インテグレーションの実現には、多様な素材・プロセスにおける組織形成過程を予測するモジュール群、材料の組織情報から様々な性能を予測するモジュール群、これらモジュール群とデータを融合する手法、更にはこれら複数のモジュール群をシームレスに統合するシステムの整備・開発が不可欠です。

本シンポジウムでは、マテリアルズ・インテグレーションを構成する様々なモジュールや手法に関する新たな知見を共有することで、未来の材料開発の描像を広く議論することを目的とします。 また、材料分野に限らず情報分野を主導する研究者にも登壇頂くことで、次世代の材料開発を担う人材の発掘・育成も目指します。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

東京大学准教授 井上 純哉

E-mail: inoue@material.t.u-tokyo.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

東大 小関 敏彦 榎 学 名大 小山 敏幸
NIMS 出村 雅彦 東大 南部 将一

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