2017年春期講演大会公募シンポジウムテーマ要旨
期講演大会(首都大学東京)におけるテーマ公募によるシンポジウム講演は、下記4テーマで実施することになりました。
講演申込要領は前記のとおりです。多数の有益な講演と活発な討論を期待いたします。
S1 永久磁石開発の元素戦略5―応用に向けた材料研究の課題―
Element strategy for high performance permanent magnets ― materials research toward application ―
元素戦略の一つの重要課題として希少金属を使わない永久磁石材料の開発が始まってすでに5年が経過しようとしている。この間、Dyを削減するためのNd-Fe-B系磁石の高保磁力化に関するサイエンスと技術が発展し、Dyフリーネオジム磁石は一部で実用化されつつある。このような背景のもと、本シンポジウムでは希少元素を用いない高性能磁石開発の可能性を検討するための実験研究に加え、次世代の磁石を開発するための磁性理論、保磁力理論とマイクロマグネティクシミュレーションなど理論的な研究発表を歓迎する。また、Nd-Fe-B系を含む希土類磁石の保磁力と微細構造の関係を理解するための解析研究、さらに次世代高性能磁石開発のためのプロセス研究等の広範な磁石研究の発表と活発な討論を期待する。
テーマ責任者
(シンポジウム chair):
物質・材料研究機構磁性・スピントロニクス材料研究拠点長 宝野 和博
E-mail: kazuhiro.hono@nims.go.jp
(シンポジウム co-chairs):
東北大 杉本 諭 NIMS 広沢 哲 日立金属 西内 武司 トヨタ自動車 加藤 晃 東芝 堀内 陽介 産総研 尾崎 公洋
S2 ナノ・マイクロ造形構造体の材料学
Material Science in Nano/Micro-scale 3D Structures>
複雑形状構造体への革新的ものづくり法として電子ビーム、レーザー、イオンを用いた積層型造形が発表されて久しい。デバイスの極小化に伴いmmからnmスケールにも展開が求められておりボトムアップ的な「励起反応場」およびトップダウン的手法が候補概念として提案できる。しかし材料学的には原子・分子規模の非平衡反応、成長・造形機構解明や組織制御、残留応力緩和、諸特性相関の把握など課題が多く、関連分野の研究者および企業での開発者が一同に会して問題点を抽出・議論することが必要な時期にきている。本シンポジウムでは励起反応場およびその他特異な手法を用いて創成するmmからnm規模の造形構造体に関わる最近の成果と問題点を材料学的な観点から論じる。
テーマ責任者
(シンポジウム chair):
東北大学科学技術共同研究センター教授 田中 俊一郎
E-mail: sitanaka@tagen.tohoku.ac.jp
(シンポジウム co-chairs):
大阪府立大 岩瀬 彰宏 阪大 山本 孝夫 東北大 中村 貴宏 筑波大 谷本 久典
S3 めっき膜の構造及び物性制御(Ⅶ)
Nano Plating
めっき膜は溶液からの金属固体の形成である。それにもかかわらず、これまでめっき膜の形成については主に溶液論的に考えられ、金属学的見地がほとんど加味されていなかった。そのため、めっき膜の形成は過電圧で制御されると言う電気化学的理論しかなく、その理論は現実には全くそぐうものではなかった。そのため、どのめっき膜の形成も思考錯誤を強いられ、いわばローテクノロジーの印象があった。しかし、これまで当学会でシンポジウムを重ねること によって金属学的な知見が加味され始め、その理論も確立されてきている。
現在のエレクトロニクス機器の作製はめっき技術なくしてはあり得なく、さらなる高精細化、高機能化、信頼性向上に貢献すべく、このシンポジウムを重ねている。最近のシンポジウムで明らかになったことは、めっきをはじめ金属腐食など、「全ての電気化学反応は発熱を伴っている」ことが分かったことである。この事は大きな発見で、最近の電池の発火事故の原因が明らかになったことである。などなど、本シンポジウムの企画は今後とも引き続いて開催する必要性と重要性を切に感じている。
テーマ責任者
(シンポジウム chair):
ナノプレーティング研究所代表 渡辺 徹
E-mail: watanabe-tohru@w.email.ne.jp
(シンポジウム co-chairs):
兵庫県立大名誉教授 松田 均 広島工大 日野 実 日本エレクトロプレイティング・エンジニヤーズ 藤波 知之 吉野電化工業 吉野 正洋
S4 医療・福祉のためのAdditive Manufacturingの材料科学
Materials science in additive manufacturing for medical-and health-care
超高齢社会を迎えた我が国では、傷病からの早期回復や生活の質の向上を支える医療・福祉の重要性が増している。中でも、革命的製造技術として発展するAdditive Manufacturing(AM)技術は、医療・福祉を大きく進歩させる技術として強く期待されている。従来の加工法では困難な複雑3次元形状製造できることから、比較的早くから、生体親和性向上のために最適設計された多孔質構造を有するインプラント等の製造に実用化されている。また、CT、MRI等の医療用3Dデータ等から鋳型の製造を介さずに部材を製造できるため、テーラーメイド医療・福祉分野等での利用拡大が期待され、個々の患者に最適化されたインプラントや義肢の製造、被術者の臓器モデルによる手術支援等での活用が進む。さらには、細胞を立体的に配置し、生体組織・臓器を再建する研究等も行われている。その一方で、特有のプロセスに由来した材料組織・特性の発現機構解明とその制御による新材料創製の研究も進んでいる。本シンポジウムでは、医療・福祉での活用が進むとともに新しい材料科学創成の基盤としても注目されるAM技術の現状と今後を議論する場を提供する。
テーマ責任者
(シンポジウム chair):
東北大学金属材料研究所准教授 小泉 雄一郎
E-mail: koizumi@imr.tohoku.ac.jp
(シンポジウム co-chairs):
阪大 中野 貴由 東北大 成島 尚之 愛媛大 小林 千悟 関西大 上田 正人 近畿大 仲井 正昭
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