日本金属学会

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2018年秋期講演大会公募シンポジウムテーマ要旨

秋期講演大会(東北大学川内北キャンパス)におけるテーマ公募によるシンポジウム講演は、下記 9 テーマで実施することになりました。 講演申込要領は前記のとおりです。多数の有益な講演と活発な討論を期待いたします。

S1 キンク強化の材料科学I

Materials Science of Kink Strengthening I

硬質層と軟質層の積層により特徴付けられる「ミルフィーユ構造」は、強加工時に導入されるキンクによって強化される。常識的には、異方性が強い層状構造の格子回転を伴うキンク形成は、強度劣化の原因とされることはあっても材料強化に寄与しているとは考え難かった。予想外の発見であった「キンク強化」現象を、精緻な実験によるメカニズム評価、および回位等の記述子に基づく解釈・理論を通して強化原理を確立し、新たな設計指針による高性能構造材料の創製を目指す。構造材料設計において「結晶構造には独立な5つのすべり系が必要」とするフォン・ミーゼス条件に縛られないキンク強化原理の普遍化は、構造材料の可能性を飛躍的に拡大する。

本シンポジウムでは、金属系・高分子系材料を含めた「ミルフィーユ構造」「キンク形成」をキーワードとする講演を募集し、キンク制御による高強度・高延性構造材料の創製の可能性について議論を深め、キンク強化の材料科学の発展を促す。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

東京大学教授 阿部 英司

E-mail: abe@material.t.u-tokyo.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

九大 中島 英治 熊本大 河村 能人 山崎 倫昭
JAEA 相澤 一也 東工大 藤居 俊之 東京農工大 斎藤 拓

S2 ハイエントロピー合金の材料科学

Materials Science and Technology in High-Entropy Alloys

最近、ハイエントロピー合金に関するシンポジウムがTMSやMRSなどの定期大会だけでなく独立な国際会議としても多数開催されるようになり、ハイエントロピー合金に関する研究が世界的に活況を呈している。ハイエントロピー合金では、配置のエントロピーが固溶体相を安定化するとの考えを基に、不均一に歪んだ結晶格子に由来した高い変形強度、トラップ効果に由来した遅い原子拡散から生じる高いクリープ特性、多様な構成原子間の非線形相互作用に起因する物性発現に関するカクテル効果など、材料科学の基礎・応用の両面で興味深い現象が期待されている。現実に、優れた高温強度、低温靭性、高耐摩耗性を示す一連の合金が見出されているが、その物性発現機構などには未だ不明な点も多い。また、どのような合金系が不規則固溶体たるハイエントロピー合金を形成するかなど、根源的な問いに対する究明もなお必要である。本シンポジウムは、ハイエントロピー合金の基礎及び応用に関する実験・理論計算からの研究に関する講演を広く募り、大学、企業、研究所の研究者の活発な議論の場を提供するとともに、これら研究者の有機的連携を促進しつつ、上記のハイエントロピー合金に関する科学的な疑問を解明すべく企画した。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

京都大学大学院工学研究科教授 乾 晴行

E-mail: inui.haruyuki.3z@kyoto-u.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

東北大 古原 忠 名大 小山 敏幸 京大 辻 伸泰
阪大 尾方 成信

S3 先進ナノ構造解析に基づく材料科学の新展開

New Aspect of Materials Science Based on Advanced Nanos-tructure Analyses

近年の先進材料の特性の多くは、単結晶バルクとしての性質ではなく、材料中に含まれる点欠陥や表面・界面などの格子欠陥に起因している。したがって、これら格子欠陥のもつ電子・原子レベル構造(ナノ構造)と物性を精緻に解明すること、さらにその情報に基づいた材料開発に大きな期待が寄せられている。これに対し、近年のナノ計測技術や理論計算においてその分解能や精度に著しい進歩がみられ、材料のナノ構造に関する新規な知見が得られるようになってきた。本公募シンポジウムでは、最新のナノ計測手法および理論計算手法を用いた各種材料のナノ構造に関する最近の成果を議論し、今後の課題およびナノ構造研究の方向性について意見交換する場としたい。新規材料やプロセスに関する研究発表も歓迎する。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

名古屋大学大学院工学研究科教授 松永 克志

E-mail: kmatsunaga@nagoya-u.jp

(シンポジウム co-chairs):

東大 柴田 直哉 阪大 吉矢 真人 名大 中村 篤智

S4 材料技術史から見るこれからの技術展開 I

Future growth expected from technological history of materials I

金属材料は精錬、溶解、鋳造、成形(鍛造、圧延など)のプロセスを経て必要な特性を発現させる。材料開発の歴史の中でプロセス開発は重要な役割を担ってきた。持続可能な社会のためには、材料特性だけではなく、環境低負荷プロセスや高効率プロセスの開発が必要であり、さらに、これらの新しいプロセスに適した合金開発や応用展開も期待される。これからの材料研究の新展開を考えるために、今までのプロセスや材料開発の歴史を振り返るとともに、これから期待される新しいプロセスや材料開発、実用分野などについて議論するために、このシンポジウムを行う。今回は、航空機材料や生体材料として幅広い分野で使用されるTiをテーマにする。このシンポジウムはシリーズ化して様々な材料について議論を行っていく予定である。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

奈良女子大学准教授 松岡 由貴

E-mail: matsuoka@cc.nara-wu.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

NIMS 御手洗 容子 東北大 武藤 泉 東工大 小林 能直
阪大 中野 貴由

S5 バイオマテリアル科学におけるイメージング技術

Imaging Techniques in Biomaterials Science

各種顕微鏡技術によって、材料内部の微細構造・組織、元素分布などが可視化され、その情報を基に新しい構造・機能材料が開発されてきた。バイオマテリアルにおいては、そのような材料内部のマルチスケールな情報も重要であるが、材料表面における細胞やタンパク質、各種生体分子との相互作用、さらに、材料を生体内に埋入した場合においては、その周囲の生体組織そのものの情報も極めて重要である。近年、各種蛍光タンパク・マーカーを利用した細胞や生体組織の可視化手法であるバイオイメージング技術が次々と開発され、また、X線CT、MRI、PETなど物理的な可視化装置とその利用技術も急速に発展している。特にバイオマテリアル上でのタンパク質や細胞の挙動を可視化して解析するバイオ・マテリアルイメージングは、機能的で生体と完全に融合したバイオマテリアルの開発に必要不可欠な技術となってきている。本シンポジウムでは、生体内の細胞やタンパク質、そして生体分子を可視化するバイオイメージング技術と生体・材料の相互作用を解明するバイオ・マテリアルイメージングについて、直接的な可視化技術のみならず、様々な計測機器を併用した間接的解析手法に取り組む研究者らが一堂に会して幅広く議論することで、生体機能の解明と生体・細胞・生体分子と材料との相互関係について深く理解する場を提供する。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

愛媛大学大学院教授 小林 千悟

E-mail: kobayashi.sengo.me@ehime-u.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

阪大 中野 貴由 関西大 上田 正人 東北大 野村 直之
名大 黒田 健介 東京医歯大 堤 祐介

S6 ナノ・マイクロ造形構造体の材料学 V

Material Science in Nano/Micro-scale 3D Structures V

高エネルギー線照射などによりナノからサブミクロンの、3Dプリンティングなどによりミクロンオーダーで形態制御した構造体の形成が種々の材料で可能となってきている。これら構造体形成において重要な役割を担う核形成や成長などは基本的に不均質非平衡反応であり、その反応過程の基礎的理解は重要である。本シンポでは、材料種を超えてナノ・マイクロ造形構造体の作製技術や特性評価に関する研究開発者が一堂に会してその形成過程を討論するべく、金属のみならず高分子などでの特異な構造体形成やその機構に関する基調講演を通じて議論してきた。次回のシンポでは特に非平衡場形成の代表的手段である高エネルギー線照射による構造体形成に関する基調講演を中心として議論をさらに進め、種々の材料におけるナノからマイクロスケールの高次複雑構造の形成技術の確立を目指す。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

筑波大学数理物質系物質工学域准教授 谷本 久典

E-mail: tanimoto@ims.tsukuba.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

阪大 山本 孝夫 京大 馬渕 守
東北大 加藤 秀実 中村 貴宏 田中 俊一郎

S7 永久磁石開発の元素戦略6 ―次世代材料の開発を支える基礎・基盤研究―

Element strategy for high performance permanent magnets ―Fundamental and basic research assisting to the development of next generation materials―

自動車分野における電動化の加速などを背景に、永久磁石の需要は中長期的にも大きく伸長することが予想され、希少金属を使わない永久磁石材料の重要性はますます高まっている。これらの研究開発を成功に導くためには、材料開発そのものだけでなく、元素戦略の課題推進によって成果をあげつつある、組織形成支配要因解明や保磁力支配要因解明、ハード磁性化合物の磁気物性発現要因解明、プロセス設計に重要な熱力学解析といった、基礎・基盤研究の取り組みが重要である。このような背景のもと、本シンポジウムでは、希少元素を用いない高性能磁石の開発に向けた実験研究に加え、次世代の磁石を開発するための磁性理論、保磁力理論といった理論的な研究発表を歓迎する。また、Nd-Fe-B系を含む希土類磁石の保磁力と微細構造の関係を理解するための解析研究、さらに次世代高性能磁石開発のためのプロセス研究等の広範な磁石研究の発表と活発な討論を期待する。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

日立金属株式会社主任研究員 西内 武司

E-mail: takeshi.nishiuchi.rh@hitachi-meltals.com

(シンポジウム co-chairs):

TDK 榎戸 靖 産総研 尾崎 公洋 トヨタ自動車 加藤 晃
NIMS 高橋 有紀子 iTiDコンサルティング 堀内 陽介

S8 材料変形素過程のマルチスケール解析―計算と実験の融合を目指して―

Multi-scale analysis of elementary processes in plasticity

近年、ナノ・マイクロ機械試験法や原子分解能電子顕微鏡法をはじめとする最先端の実験手法、第一原理計算を中心とした計算材料科学の急速な発展により、転位や変形双晶といった材料の塑性変形の素過程について、実験、理論の両面においてマルチな時間・空間スケールでの横断的な解析が行われるようになり、様々な興味深い現象が見出されるようになっている。これらの塑性変形の素過程に関する新奇現象の理解のためには、実験および理論両者の積極的な融合が不可欠であるが、我が国においては未だそのような試みは十分にはなされていないのが現状である。本シンポジウムはこれら材料の塑性変形の素過程に関する最新の実験・理論研究に関して特に若手研究者を中心に広く講演を募り、大学、研究所、企業の研究者の活発な議論の場を提供するとともに、これら研究者間の新たな連携を促進することを目的とする。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

京都大学准教授 岸田 恭輔

E-mail: kishida.kyosuke.6w@kyoto-u.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

阪大 君塚 肇 金沢大 下川 智嗣 九大 田中 將己
名大 高田 尚記

S9 マテリアルズ・インテグレーション (II)

Materials Integration (II)

理論・実験・解析・シミュレーション・データベースなどの材料科学の知見と最新の情報科学を融合することで、材料の研究開発を支援・加速することを目指す新たなツールがマテリアルズ・インテグレーションです。マテリアルズ・インテグレーションの実現には、多様な素材・プロセスにおける組織形成過程を予測するモジュール群、材料の組織情報から様々な性能を予測するモジュール群、これらモジュール群とデータを融合する手法、更にはこれら複数のモジュール群をシームレスに統合するシステムの整備・開発が不可欠です。

昨年度開催した公募シンポジウム S9「マテリアルズ・インテグレーション」では構造材料に主眼を置いたプログラム構成としましたが、本年度は基調講演を含め機能材料などより広い視点から、未来の材料開発の描像を議論することを目的とします。

テーマ責任者

(シンポジウム chair):

東京大学准教授 井上 純哉

E-mail: inoue@material.t.u-tokyo.ac.jp

(シンポジウム co-chairs):

東大 榎 学 NIMS 出村 雅彦 東大 南部 将一

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