日本金属学会

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2019年秋期講演大会公募シンポジウムテーマ要旨

秋期講演大会(岡山大学)におけるテーマ公募によるシンポジウム講演は、下記8テーマで実施することになりました。講演申込要領は前記のとおりです。多数の有益な講演と活発な討論を期待いたします。

S1 ハイエントロピー合金の材料科学Ⅱ

Materials Science and Technology in High-Entropy Alloys II

最近、ハイエントロピー合金に関するシンポジウムがTMSやMRSなどの定期大会だけでなく独立な国際会議としても多数開催されるようになり、ハイエントロピー合金に関する研究が世界的に活況を呈している。ハイエントロピー合金では、配置のエントロピーが固溶体相を安定化するとの考えを基に、不均一に歪んだ結晶格子に由来した高い変形強度、トラップ効果に由来した遅い原子拡散から生じる高いクリープ特性、多様な構成原子間の非線形相互作用に起因する物性発現に関するカクテル効果など、材料科学の基礎・応用の両面で興味深い現象が期待されている。現実に、優れた高温強度、低温靭性、高耐摩耗性を示す一連の合金が見出されているが、その物性発現機構などには未だ不明な点も多い。また、どのような合金系が不規則固溶体たるハイエントロピー合金を形成するかなど、根源的な問いに対する究明もなお必要である。本シンポジウムは、ハイエントロピー合金の基礎及び応用に関する実験・理論計算からの研究に関する講演を広く募り、大学、企業、研究所の研究者の活発な議論の場を提供するとともに、これら研究者の有機的連携を促進しつつ、上記のハイエントロピー合金に関する科学的な疑問を解明すべく企画した。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):

大阪大学大学院基礎工学研究科教授 尾方成信

E-mail: ogata[at]me.es.osaka-u.ac.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください

(シンポジウムco-chairs):

京大 乾 晴行 東北大 古原 忠 名大 小山敏幸
京大 辻 伸泰 東北大 加藤秀実

S2 材料変形素過程のマルチスケール解析(II)

 Multi-scale analysis of elementary processes in plasticity II

近年、ナノ・マイクロ機械試験法や原子分解能電子顕微鏡法をはじめとする最先端の実験手法、第一原理計算を中心とした計算材料科学の急速な発展により、材料の変形・破壊挙動を支配する転位や変形双晶といった塑性変形の素過程について、実験、理論の両面においてマルチな時間・空間スケールでの横断的な解析が行われ、様々な興味深い現象が見出されるようになっている。本公募シンポジウムは2018年秋期大会において開催し、大変好評であったため、同テーマに関する第2回シンポジウムを企画する。本シンポジウムは、前回に引き続き各種材料の塑性変形の素過程に関する最新の実験・理論研究に関して特に若手研究者を中心に広く講演を募り、大学、研究所、企業の研究者間の塑性変形に関する活発な議論の場を提供するとともに、これら研究者間の新たな連携を促進することを目的とする。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):

京都大学准教授 岸田恭輔

E-mail: kishida.kyosuke.6w[at]kyoto-u.ac.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください

(シンポジウムco-chairs):

阪大 君塚 肇 金沢大 下川智嗣 九大 田中將己
名大 高田尚記

S3 キンク強化の材料科学Ⅱ

Materials Science of Kink Strengthening II

LPSO相を含むMg合金で発現が認められた「キンク強化」は、硬質層と軟質層が積層した「ミルフィーユ構造」を有する金属・高分子・セラミックス材料を対象として、新たな強化手法となる期待が高まってきた。ミルフィーユ構造の「キンク形成」を制御して高強度・高延性構造材料の創製を目指すには、各種の実験手法によるキンクそのものの精緻な解析のみならず、キンク形成とキンク強化に関わる数値シミュレーションや理論解析も不可欠となる。これら多様な取組を通して普遍的なキンク強化原理が確立できれば、構造材料の可能性を飛躍的に拡大できる。

本シンポジウムでは、ミルフィーユ構造を有する金属・高分子・セラミックス材料すべてを対象として、下記基調講演に加えて、キンク形成およびキンク強化に関わる一般講演を広く募集し、活発な議論を通して、キンクの形成機構の解明とキンク強化理論の確立を目指し、キンク強化の材料科学を発展させたい。また、日本金属学会研究会「キンク研究会」が活動開始から5年目を迎えることから、本シンポジウムを本研究会の活動の一環と位置づけて開催する。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):

東京工業大学教授 藤居俊之

E-mail: fujii.t.af[at]m.titech.ac.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください

(シンポジウムco-chairs):

東大 阿部英司 本大 河村能人 山崎倫昭 阪大 萩原幸司
九大 中島英治 東京農工大 斎藤 拓

S4 水素エネルギー材料-Ⅷ

Hydrogen Energy Materials-VIII

地球環境・温暖化問題に加えてエネルギーセキュリティー確保の視点から、水素エネルギーの有効利用にかかわる技術開発が進められている。これらの技術開発の基盤となる水素の製造・貯蔵・輸送・利用などにかかわる材料科学的課題に関しては、これまで開催されてきた公募シンポジウム「水素エネルギー材料(Ⅰ~Ⅶ)」で幅広く議論されてきた。シリーズとしての開催が期待される本シンポジウムにより、引き続き「エネルギーとしての水素」に加えて「材料開発・機能設計のための水素」も見据えて関連する多様な材料について基礎と応用の両面から活発な討論を行うことで、水素科学の深化を狙う。さらに、昨年度より5か年の計画で水素科学における広域的な分野融合を目指した文科省・科研費・新学術領域「ハイドロジェノミクス」も設置されており、関係する研究者らも交えた公募シンポジウムとして開催する。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):

東北大学教授 折茂慎一

E-mail: orimo[at]imr.tohoku.ac.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください

(シンポジウムco-chairs):

金沢大 石川和宏 産総研 中村優美子 広島大 市川貴之
室蘭工大 亀川厚則 関西大 近藤亮太 日立製作所 宇根本篤

S5 先進ナノ構造解析に基づく材料科学の新展開Ⅱ

New Aspect of Materials Science Based on Advanced Nanostructure Analyses II

近年の先進材料の特性の多くは、単結晶バルクとしての性質ではなく、材料中に含まれる点欠陥や表面・界面などの結晶欠陥に起因している。したがって、これら機能発現の源となる結晶欠陥のもつナノ構造=「機能コア」と物性との関係を精緻に解明すること、さらにその情報に基づいた材料開発に大きな期待が寄せられている。近年、理論計算やナノ計測技術においてその分解能や精度に著しい進歩がみられ、各種材料中の「機能コア」に関する新たな知見が得られるようになってきた。昨年開催した同公募シンポジウムの第二弾として、最新のナノ計測手法および理論計算手法を用いた各種材料の機能コアに関する最近の成果を議論し、今後の課題およびナノ構造研究の方向性について意見交換する場としたい。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):

名古屋大学大学院工学研究科教授 松永克志

E-mail: kmatsunaga[at]nagoya-u.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください

(シンポジウムco-chairs):

東大 柴田直哉 溝口照康 阪大 吉矢真人 名大 中村篤智

S6 ナノ・マイクロスペーステイラリングⅡ

Tailoring of Nano/Micro-Space for Advanced Functions II

新規デバイス要素を目指して、エネルギービーム照射でナノメーターからマイクロメーター規模の複雑形状構造体の形成と修飾の研究開発が進められている。代表的な構造形成法には加算的(additive)な積み上げ法と減算的(subtractive)な手法があるが、結晶格子レベルのかご状空間や層間を制御して新規機能を作り込む(tailoring)ことも考えられている。高機能高次構造の形成には、イオン・電子線およびレーザ照射による励起反応場、高温高圧などの極限反応場など非平衡状態の活用に加えて、そのミクロ過程の計算科学的手法評価などから、プロセスや条件の最適化が必要である。2019年春の同シンポで18件の講演申込があったことは、その重要性を反映するものである。これを受け、本シンポジウムではナノ・マイクロ構造体の形成・機能制御、計算科学的手法による設計・特性評価に関して、様々な手法により創成したナノ・マイクロ構造体の設計と機能発現についての最近の成果及び問題点について引き続き議論する。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):

筑波大学数理物質系物質工学域准教授 谷本久典

E-mail: tanimoto[at]ims.tsukuba.ac.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください

(シンポジウムco-chairs):

東北大 森戸春彦 中村貴宏 大阪府立大 堀 史説
東北大 田中俊一郎

S7 医療・福祉のためのAdditive Manufacturingの材料科学Ⅲ

Materials science of additive manufacturing for biomedical and welfare applications (part III)

Additive Manufacturing(AM)による医療・福祉デバイスの研究開発は、テーラーメード医療を実践する上で必要不可欠となっている。材料科学の観点からAMを議論するには、急温度勾配下における溶融凝固に起因した特異組織形成への理解や、粉末冶金プロセスに起因した粉粒体の流動性や粒度分布、不純物混入等を考慮しAM造形物の特性を評価する必要がある。一方で、医療の観点からはAMは形状により機能発現する複雑形状デバイスに適用されることが多く、生体適合性に加え基礎的な力学特性評価や耐食性など解明すべき事項が数多く残されている。本シンポジウムでは、AMによる超高耐食性材料の開発を目指す若手研究グループとの共催により、AM用の粉末製造や最先端AM装置の開発と変遷、医療用デバイス開発と製造、AM材の特性評価、および医療分野における腐食の課題と耐食性をテーマに企業および大学の研究者らに講演を依頼する。周辺技術を含めたAMの現状と将来展望について、また、AM造形による特異的な耐食性の変化とその医療応用における有用性について、産学の研究者を交えて緊密に議論する場としたい。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):

物質・材料研究機構主席研究員 堤 祐介

E-mail: TSUTSUMI.Yusuke[at]nims.go.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください

(シンポジウムco-chairs):

愛媛大 小林千悟 関西大 上田正人 東北大 野村直之
名大 黒田健介 東北大 山本雅哉

S8 マテリアルズ・インテグレーション(Ⅲ)―順問題から逆問題へ―

Materials Integration(III)

マテリアルズ・インテグレーションでは、理論・実験・解析・シミュレーション・データベースなどの材料科学の知見と最新の情報科学を融合することで、材料プロセスから構造、更には特性や性能の連関を順方向にシームレスに繋ぎ、予測仕切るプラットフォームの構築を目指してきました。

本シンポジウムでは、その様なマテリアルズ・インテグレーションを更に発展させ、先端的材料を対象に、欲しい性能からから材料・プロセスをデザインする逆問題へ拡張する方向へと議論を進めていくことを目的とします。また、材料分野に限らず情報や数理の分野を主導する研究者にも登壇頂くことで、次世代の材料開発を担う人材の発掘・育成も目指します。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):

東京大学准教授 井上純哉

E-mail: inoue[at]material.t.u-tokyo.ac.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください

(シンポジウムco-chairs):

東大 榎学 NIMS 出村雅彦 東大 南部将一

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