イベントのご案内
2022年春期講演大会公募シンポジウムテーマ要旨
春期講演大会テーマ公募によるシンポジウム講演は,下記 9 テーマで実施することになりました. 講演申込要領は前記のとおりです.多数の有益な講演と活発な討論を期待いたします.
S1 プラストンの材料科学 IX
Materials Science on Plaston IX
「転位論」は材料科学・工学における重要な学問基盤であり,金属系結晶材料の変形は転位(dislocation)の運動により議論される.一方近年,転位の概念だけでは必ずしも理解しきれない変形現象が顕在化しつつある.例えば,ナノ結晶材料においては複数の結晶粒の協調的なせん断や回転が生じている可能性がある.また,原子のシャフリングを必要とする六方晶,あるいは複雑な規則相における双晶変形の原子的メカニズムや,せん断帯,粒界すべり,アモルファス・金属ガラスの変形,マルテンサイト変態もこの範疇に入る.我々は,転位や回位(disclination)を内包し結晶性材料の変形現象を包括的に理解する上位概念として,変形子(プラストン:plaston)を提案し,それに基づいて材料の変形と破壊を基礎的に理解しようとしている.本公募シンポジウムは,過去8回の公募シンポジウムに引き続き,これまでの集大成として最新の実験研究及び計算材料科学の成果に関する講演を集め,材料の変形と破壊に関する理解の進展を議論することを目的としている.
テーマ責任者
(シンポジウム chair):
京都大学大学院工学研究科教授 辻 伸泰
E-mail: nobuhiro-tsuji[at]mtl.kyoto-u.ac.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください
(シンポジウム co-chairs):
京大 田中 功 乾 晴行 NIMS 津﨑兼彰
東大 幾原雄一 阪大 尾方成信
京大名誉教授 落合庄治郎
S2 ハイエントロピー合金の材料科学 VII
Materials Science and Technology in High-Entropy Alloys VII
近年,国内においても科研費・新学術領域研究が立ち上がり,ハイエントロピー合金に関する研究が世界的に活況を呈している.ハイエントロピー合金では,配置のエントロピーが固溶体相を安定化するとの考えを基に,不均一に歪んだ結晶格子に由来した高い変形強度,トラップ効果に由来した遅い原子拡散から生じる高いクリープ特性,多様な構成原子間の非線形相互作用に起因する物性発現に関するカクテル効果など,材料科学の基礎・応用の両面で興味深い現象が期待されている.現実に優れた高温強度,低温靭性,高耐摩耗性を示す一連の合金が見出されているが,その物性発現機構などには未だ不明な点も多い.本シンポジウムでは,ハイエントロピー合金の基礎及び応用に関する実験・理論計算からの研究に関する講演を広く募り,大学,企業,研究所の研究者の活発な議論の場を提供するとともに,これら研究者の有機的連携を促進しつつ,上記のハイエントロピー合金に関する科学的な疑問を解明すべく,第7回の公募シンポジウムを企画する.
テーマ責任者
(シンポジウム chair):
東北大学金属材料研究所准教授 井上耕治
E-mail: kinoue[at]imr.tohoku.ac.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください
(シンポジウム co-chairs):
九州大 田中將己 金沢大 下川智嗣
日本原子力研究開発機構 都留智仁
S3 エネルギー関連材料の特性評価・解析・予測(II)
Evaluation, analysis, and prediction of energy related materials performance (II)
第9分野では,水素エネルギー,原子力,熱電,電池のそれぞれのグループが持つ最先端の特性評価,解析,予測技術を駆使して材料開発と創製を行っている.2022年春期講演大会にて,それぞれのグループが持つ固有の材料開発技術を紹介するとともに,関連の分野間で広く評価・議論することを目的としたシンポジウムを計画する.本シンポジウムでは,材料開発の基礎・応用を問わず最先端の研究に関する講演を募集する.さらに,産業界からの視点を取り込み,実用材料開発に活用可能な評価・解析・予測技術に関するニーズを明確化するために,企業研究者を中心とした複数の基調講演を予定している.本シンポジウムにより,関連の分野間,産学間での連携が促進され,新たな視点からの萌芽的研究の加速が期待される.
テーマ責任者
(シンポジウム chair):
金沢大学教授 石川和宏
E-mail: ishikazu[at]se.kanazawa-u.ac.jp
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(シンポジウム co-chairs):
北大 橋本直幸 産総研 浅野耕太
量子化学科学技術研究開発機構 斎藤寛之
名工大 宮崎秀俊 東京ガス(株)宇根本篤
S4 材料機能特性のアーキテクチャー構築シンポジウムⅢ―凝固および固相変態で造り込む構造と材料特性の関係―
Architecture construction for functions and properties of materials III―Relationship between Materials Properties and Fabricated Structures through Solidification and Solid Phase Transformation―
「材料機能特性のアーキテクチャー研究会」活動の一環として企画する公募シンポジウム第Ⅲ弾である.原子レベルでの結晶構造や格子欠陥から相界面を含む組織まで,マルチスケールにわたる材料の構造全体をアーキテクチャーとして捉えている.前回シンポジウムのテーマとした「組織制御プロセス」において,材料組織の概形が最初に定まる凝固過程,大きな組織変化を引き起こせる固相変態に今回は特にフォーカスする.典型的な鋳造法や固相変態を利用した組織制御法はもちろん,選択的結晶成長や方向凝固,3D積層造形,外場を用いた組織配向制御などにも焦点をあて,強度と延性のように相反する特性,電気伝導,熱伝導,磁性,形状記憶など種々の物性や機能特性と造り込んだ構造の関係について広く議論を行う.これまで通り構造用材料と機能性材料の区別なく多彩な材料を対象として多様な専門分野の研究者に参集していただき,多角的視点での議論によって共通する学理を深く理解することに努める.
テーマ責任者
(シンポジウム chair):
東京工業大学物質理工学院材料系教授 木村好里
E-mail: kimura.y.ac[at]m.titech.ac.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください
(シンポジウム co-chairs):
足利大 小林重昭 東北大 関戸信彰 産総研 田中孝治
熊本大 連川貞弘 東工大 細田秀樹 東北大 吉見享祐
S5 特異反応場における時間/空間応答を利用した新奇材料構造創成
Tailoring of novel-structured materials using spatio-temporal responses under exotic reaction fields
これまで,ナノ・マイクロスペーステイラリングと称した公募シンポジウムを通じて,非平衡状態を利用した物質構造のナノマイクロ空間制御と特異物性に関して議論を進め,特徴的なナノ・マイクロ組織を有する材料の開発や物性に関する興味深い知見が蓄積されてきた.しかし,それと同時に,超高温,超高圧,高エネルギー照射などによる極限反応場や特殊環境下における化学反応場の単なる実現だけでなく,緩和過程に代表される時間的変化をも利用した*エキゾチックな*時間的・空間的応答の理解・制御が重要であることも新たに分かってきた.加えて,より大きなサイズへの適用も視野に入れることで,広範囲な材料を対象とした物質構造探査までに発展することを目的として,本シンポジウムを新たに提案する.
テーマ責任者
(シンポジウム chair):
筑波大学数理物質系物質工学域准教授 谷本久典
E-mail: tanimoto[at]ims.tsukuba.ac.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください
(シンポジウム co-chairs):
東北大 森戸春彦 (株)GCE 中村貴宏
大阪府立大 堀 史説 東北大 田中俊一郎
若狭湾エネルギー研究センター 岩瀬彰宏
S6 生体用金属・セラミックス系材料の実用化に向けた評価方法開発・標準化
Development of evaluation methods and standardization of metallic and ceramic materials for biomedical application
金属・セラミックス系材料の生体応用には,材料が発現する機能性のみならず,生体安全性の評価が必要不可欠である.しかしながら,生体環境の複雑さゆえに,材料の評価方法の標準化が進んでいない.そこで本シンポジウムでは,細菌や細胞を用いた材料評価について,その原理,基礎から実際の評価方法について学び,研究者間で議論する場を提供する.
基調講演として,細胞を用いた安全性評価システムを研究・開発している企業,抗菌・抗ウイルス評価の認証機関,セラミックス系材料の標準化についての研究者,抗菌材料開発研究者らを予定している.
未だ終息を見せない新型コロナウイルスの流行により,抗菌・抗ウイルス材料が注目されている.材料開発からその評価方法までを網羅したシンポジウムを企画することで,これまで本分野の研究を行ってきた方のみならず,本分野に興味のある方の聴講も期待できる.
なお,本公募シンポジウムは,日本金属学会若手研究グループ「生体用金属・セラミックス材料の生体外評価に関する標準化検討グループ」での検討成果発表を兼ねて実施する.
テーマ責任者
(シンポジウム chair):
東北大学大学院工学研究科准教授 上田恭介
E-mail: ueda[at]material.tohoku.ac.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください
(シンポジウム co-chairs):
阪大 宮部さやか 神戸大 池尾直子 産総研 李 誠鎬
東京医科歯科大 野崎浩佑 阪大 松垣あいら
帝人ナカシマメディカル(株)渡邊稜太
京セラ(株)雑賀健一 朝日インテック(株)菅原 慧
テルモ(株)田邊由紀子
S7 永久磁石開発の元素戦略9 ―次世代新材料に向けた基礎・基盤研究―
Element strategy for high performance permanent magnets 9 ―Fundamental and basic research toward next-generation novel materials―
永久磁石は高性能モータには欠かせない材料であり,電気自動車や小型ロボット,電動航空機などへの需要が高まっている.さらに風力発電用途など,今後の更なる用途の多様化と需要の拡大が見込まれており,その重要性は一層高まっている.永久磁石には,磁石特性のみならず資源リスクや価格など多角的な要求があり,Nd-Fe-B系やSm系など様々な磁石の特性向上が望まれている.
近年,プロセス技術や計測技術,計算科学といった先端的な研究手法により永久磁石研究の発展が著しい.そこで本シンポジウムでは,Nd-Fe-B系,Sm-Fe-N系,1-12系など希土類系磁石を中心に,非希土類系を含む永久磁石材料について,材料開発,微細組織制御,保磁力発現機構の解明といった特性向上に向けた研究に加え,熱力学データの収集やMIによる新材料探索など,基礎・基盤研究から応用研究まで,最新の成果について広範な発表と活発な討論を期待する.なお,本シンポジウムは若手研究グループ「次世代高性能磁性材料研究グループ」が主催する.
テーマ責任者
(シンポジウム chair):
東北大学大学院工学研究科講師 松浦昌志
E-mail: m-matsu[at]material.tohoku.ac.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください
(シンポジウム co-chairs):
産総研 平山悠介 大同特殊鋼(株)宇根康裕
名桜大 立律慶幸 物材機構 高橋有紀子
日立金属(株)西内武司
S8 金属表面の材料化学V―めっき・耐食性・耐酸化性・触媒研究の新展開―
Materials Science in Surface Chemistry on Metals
金属表面と溶液や気体などとの化学反応は,めっき,化成処理,腐食,高温酸化,触媒などの分野で重要な研究対象となっている.これらは異なる専門領域として深化してきているが,その本質には共通点も多く,他領域の研究成果からは様々なヒントが得られる場合が多い.しかしながら,これら関連分野の研究者が一堂に会して議論する機会は余りなく,その様な場の提供が必要である.本シンポジウムでは金属表面の化学や,それがバルクの特性に関して及ぼす影響について,主にめっき・触媒・耐食性・耐酸化性の分野から講演を募り,研究者間での意見・情報交換,討論を行う.
テーマ責任者
(シンポジウム chair):
北海道大学教授 林 重成
E-mail: hayashi[at]eng.hokudai.ac.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください
(シンポジウム co-chairs):
兵庫大 八重真治 東北大 武藤 泉
阪大 土谷博昭 山下弘巳 NIMS 廣本祥子
JFEスチール 大塚真司
S9 金属・無機・有機材料の結晶方位解析と応用技術
Crystallographic orientation analyses of metallic, inorganic and organic materials and their applied techniques
結晶性材料の高性能化において組織制御の重要性は言を俟たない.輸送機器構造材のマルチマテリアル化が叫ばれ,金属に限らず,高分子材料の重要性も高まっている.近年部材に要求されるより高度な性能向上は,等方性・均一性を前提としない,組織の異方性と不均一性の最適化に求められつつある.すなわち,材料のパフォーマンスを高める構造は配向組織制御あるいは複相組織の不均一性制御によるものであり,結晶性材料ならば結晶方位解析がそのベースとなる.そこで,結晶方位解析に基づき,集合組織制御のみならず結晶方位差によるひずみ評価,分散相の結晶方位解析,界面近傍構造解析等の応用技術を駆使して結晶性材料の高性能化を目指した研究活動を展開することを目的とする.結晶方位解析技術としては,XRD, EBSD, TEM,放射光をも含めたあらゆる技術を対象としたい.材料は金属,セラミックスの他,結晶性高分子材料などすべての結晶性材料が対象となる.その他「結晶方位」をキーワードとする応用技術に関する講演も歓迎する.
テーマ責任者
(シンポジウム chair):
宇都宮大学教授 高山善匡
E-mail: takayama[at]cc.utsunomiya-u.ac.jp
※ メールアドレスの[at]は@に置き換えてください
(シンポジウム co-chairs):
大阪府立大 井上博史 富山大 柴柳敏哉
放送大 福富洋志 横浜国立大 長谷川誠