日本金属学会

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2023年秋期講演大会公募シンポジウムテーマ要旨

秋期講演大会におけるテーマ公募によるシンポジウム講演は、下記9テーマで実施することになりました。講演申込要領は前記のとおりです。多数の有益な講演と活発な討論を期待いたします。

S1  材料変形素過程のマルチスケール解析(VI)

Multi-scale analysis of elementary processes in plasticity (VI)

近年、ナノ・マイクロ機械試験法や原子分解能電子顕微鏡法をはじめとする最先端の実験手法、第一原理計算を中心とした計算材料科学の急速な発展により、材料の変形・破壊挙動を支配する転位や変形双晶といった塑性変形の素過程について、実験、理論の両面においてマルチな時間・空間スケールでの横断的な解析が行われ、様々な興味深い現象が見出されている。材料強度・結晶塑性に基づく新たな学理構築を見据え、実験および理論両者の積極的な融合を目指した本公募シンポジウムは2018年秋期大会から 5 年連続で開催され、毎年50名程度の参加者による活発な議論が交わされた。本シンポジウムは、同テーマに関する第 6 回を企画し、各種材料の塑性変形の素過程に関する最新の実験・理論研究に関して特に若手研究者を中心に広く講演を募り、大学、研究所、企業の研究者間の塑性変形に関する議論の場を提供するとともに、これら研究者間の新たな連携を促進することを目的とする。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):名大准教授 高田尚記
E-mail:takata.naoki@material.nagoya-u.ac.jp
シンポジウムco-chairs):京大 岸田恭輔、名大 君塚 肇、金沢大 下川智嗣、九大 田中將己

S2  水素エネルギー材料X

Hydrogen Energy Materials―X

カーボンニュートラルやエネルギー安全保障の課題解決をめざして、水素エネルギーの有効利用にかかわる技術開発が進められている。これまで開催されてきた公募シンポジウム「水素エネルギー材料(I~IX)」では、水素の製造・貯蔵・輸送・利用にかかわる材料科学的な課題に加えて、材料開発・機能設計のための水素も対象とし、関連する多彩な材料・技術について幅広く議論を進めてきた。本公募シンポジウムでも過去の公募シンポジウムに引き続き、多様な分野からの最新の研究成果に関する講演を募集し、基礎と応用の両面から活発な討論を行い、水素科学の深化を目指す。加えて、本シンポジウムを通じて、他分野との新たな連携の可能性についても検討する。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):量子科学技術研究開発機構上席研究員 齋藤寛之
            E-mail:saito.hiroyuki@qst.go.jp
(シンポジウムco-chairs):金沢大 石川和宏 産総研 浅野耕太、北大 礒部繁人、東北大 高木成幸、早大 花田信子 鈴木商館 木村浩隆、京大 田辺克明

S3  ハイエントロピー合金の材料科学(X)

Materials Science and Technology in High-Entropy Alloys(X)

2018年秋期講演大会より、系統的に同一テーマにてシンポジウムを開催しており、今回がその第10弾となる。この分野は、現在、世界的にも活況を呈しており、ハイエントロピー合金に関するシンポジウムがTMSやMRSなどの定期大会だけでなく独立な国際会議としても多数開催されている。本シンポジウムでは、ハイエントロピー合金の基礎及び応用に関する実験・理論計算からの研究に関する講演を広く募り、大学・企業・研究所の研究者の活発な議論の場を提供するとともに、これら研究者の有機的連携を促進しつつ、ハイエントロピー合金に関する科学的な疑問を解明すべく企画させていただいた。我が国においても、新学術領域研究「ハイエントロピー合金」が2022年度までの五年間で行われ、数多くの有意義な研究成果が得られている。この分野における最新知見の共有および情報発信は、今までに行われたハイエントロピー合金に関する基礎研究のさらなる進展並びに応用化に繋ぐ重要な一歩と考える次第である。(第3分野、第4分野、および第8分野共催)

テーマ責任者

(シンポジウムchair):京都大学大学院工学研究科助教 陳 正昊
            E-mail: chen.zhenghao.6e@kyoto-u.ac.jp
(シンポジウムco-chairs): 名大 塚田祐貴、弘前大 峯田才寛、東北大 榎木勝徳、京大 勝部涼司、阪大 新里秀平、東北大 西本昌史、京大 吉田周平

S4  特異反応場における時間/空間応答を利用した新奇材料構造創成IV

Tailoring of novel-structured materials using spatio-temporal responses under exotic reaction fields IV

非平衡状態を利用したナノ・マイクロ組織を有する材料の開発や物性探索において、極限反応場や特殊環境下の非平衡励起状態、緩和過程に代表される時間変化を利用した*エキゾチックな*時間的・空間的応答の理解・制御が重要である。同趣旨にて開催した過去3回のシンポで毎回15件程度の一般講演があったことは会員の興味の高さを示している。そこで、2023年秋も継続開催し、動的組織形成の理解に有力なシミュレーション法などの基調講演を基に、高エネルギー照射などによる特異反応場における時間/空間応答を利用したナノ・マイクロ組織形成過程について議論し、新規材料開発の糸口とする。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):筑波大学数理物質系物質工学域准教授 谷本久典
            E-mail:tanimoto@ims.tsukuba.ac.jp
(シンポジウムco-chairs): 東北大 森戸春彦、GCEインスティテュート 中村貴宏、大阪府立大 堀 史説、東北大 田中俊一郎、若狭湾エネルギー研究センター 岩瀬彰宏

S5  Additive Manufacturing の材料科学II超温度場材料創成学

Materials Science of Additive Manufacturing II: Creation ofMaterials by Superthermal Field

レーザーや電子ビームを用いた局所加熱により生じる溶融と凝固は、粉末床溶融結合(Powder Bed Fusion: PBF)法に代表される付加製造(Additive Manufacturing: AM)などにおける結晶成長や材料組織形成に重要な役割を果たしていることが注目されている。特に、107K/m以上にもおよぶ極めて大きな温度勾配(超温度場)の発現は、冷却速度106K/s以上の超急冷、成長速度1m/sにおよぶ高速結晶成長を可能にし、絶対安定性などの特異現象の発現を伴うことから、従来プロセスでは困難であった組織制御などによる新材料創成の基盤としての多様な可能性を有していることに大きな期待が寄せられている。本シンポジウムでは、こうした点に注目した学術変革領域研究「超温度場材料創成学:巨大ポテンシャル勾配による原子配列制御が拓くネオ 3D プリント」の研究を中心に、超温度場での材料創成に関する議論、討論を行う。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):大阪大学教授 小泉雄一郎
            E-mail:ykoizumi@mat.eng.osaka-u.ac.jp
(シンポジウムco-chairs): 名大 足立吉隆、九大 森下浩平、阪大 佐藤和久、物材機構 戸田佳明、阪大 石本卓也、ファインセラミックスセンター 木村禎一

S6  機能コアの材料科学IV

New Materials Science on Nanoscale Structures and Functions of Crystal Defect Cores, IV

多くの先進材料において、材料内部に存在する点欠陥や粒界、界面、転位等の結晶欠陥が、機能発現の起源となっている。したがって、結晶欠陥を高度に制御し、その機能を最大限に引き出すことができれば、材料研究における大きなブレークスルーとなると期待できる。また、近年のナノ計測技術や理論計算における分解能や精度の著しい進歩により、結晶欠陥の電子・原子レベル構造とそこに局所する機能に関する新規な知見が次々と得られるようになってきた。この流れを受け、結晶欠陥の特異な機能と各種外場との相互作用に着目し、令和元年から新学術領域「機能コアの材料科学」が立ち上がっている。関連するシンポジウムである本「機能コアの材料科学IV」では、機能コアに関する最新の研究成果を議論し、今後の課題と方向性について意見交換する場としたい。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):大阪大学大学院基礎工学研究科教授 中村篤智
            E-mail:a.nakamura.es@osaka-u.ac.jp
(シンポジウムco-chairs): 名大 松永克志、東大 柴田直哉 溝口照康、阪大 吉矢真人、東工大 平山雅章、名大 丹羽 健、東大 馮 斌

S7  データ創出・活用による磁性材料の研究開発

Digital Transformation Initiative R&D for Magnetic Materials

文部科学省のデータ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト(DxMT)が創設され、データサイエンス的手法を用いたデータ駆動型の先進的新規材料創製技術により、革新的な機能、従来を上回る性能強調を発現する、永久磁石、軟磁性材料、機能性磁性物質等の多種多様なエネルギー変換マテリアルを効率的に創出する新たな挑戦が始まっている。それらデータ創出・活用型磁性材料研究では、①データ創出から、②データ統合・管理、③データ利活用まで、一気通貫した材料研究のDXを推進し、世界を先導する価値創造の核となる「材料研究DXプラットフォーム(PF)」を構築し、その材料DX・PFを通じて革新的な磁性材料の創製を目指している。このシンポジウムで目指すのは、「誰もが使える新材料探索のデータ駆動型研究手法とその展開」である。それらの手法をいかに活用してデータ駆動型研究開発手法につなげるのかをポイントに、磁性材料などをあくまで一つのモデル材料・シンポジウムにおける議論の具体的な題材、実例としつつも、国内外の社会実装、産業振興に資する、磁性材料のみならず、幅広い材料への展開も見据えた広範なデータ創出・活用型磁性材料研究の発表と活発な討論、情報交換を期待する。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):物質・材料研究機構拠点長(DXMag) 大久保忠勝
            E-mail:OHKUBO.Tadakatsu@nims.go.jp
(シンポジウムco-chairs): 産総研 三宅 隆、物材機構 高橋有紀子、東北大 岡本 聡、物材機構 袖山慶太郎、プロテリアル 西内武司

S8  極限環境対応構造材料のためのマテリアル DX(I)

Materials DX for the research and development of structuralmaterials for extreme environment (I)

優れた産業基盤に支えられた我が国のマテリアル分野は、我が国の強みであると考えられてきた。しかしながら、米国などが、いち早くデジタル・トランスフォーメーション(DX)を材料開発ツールとして活用し始め、構造材料分野においても徐々に成果を生み出しつつある。一方、我が国でのDXへの取り組みは思うように進んでおらず、新規材料開発に向けたシーズ活用への挑戦が減速している。そのため、我が国の構造材料分野においても、産と学の双方が利便性を享受できるデータ創出や利活用の方法を整備し、データ駆動型材料設計を可能とするマテリアルDXの加速を早急に図っていかなければならない。そこで本シンポジウムでは、金属材料を含む構造材料の研究開発に向けたマテリアルDXの構築を目的に、学界と産業界が連携し議論する場を創成する。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):東北大学准教授 宮本吾郎
            E-mail:goro.miyamoto.e8@tohoku.ac.jp
(シンポジウムco-chairs): 東北大 吉見享祐 古原 忠、九大 松永久生、阪大 尾方成信、物材機構 出村雅彦

S9  ワイドギャップ結晶の材料学と高温プロセッシングワイドギャップ結晶の材料学と高温プロセッシングV

Materials Science and high temperature processing of widegap materials V

ワイドギャップ結晶は、省エネ・環境負荷低減に寄与するパワーデバイスや短波長光デバイスへの研究開発が進められてきた。特にSiCデバイスは本格的量産が進み、GaNもLEDのみならずパワーデバイス用基板の生産が進められつつある。今後の各材料・デバイスの応用展開には、高品質結晶の育成技術の確立とデバイス化技術のさらなる効率化を行う必要があり、これまで4回のシンポジウム開催で研究・開発の最新動向を議論してきた。そこで本シンポジウムでも引き続き、SiCや窒化物材料、酸化物材料等ワイドギャップ結晶の育成技術や評価技術について、大型プロジェクトにおける技術開発状況に加えて、金属材料学・冶金学の観点でのアプローチについて議論することを目的とする。

テーマ責任者

(シンポジウムchair):大阪大学教授 吉川 健
            E-mail:yoshikawa@mat.eng.osaka-u.ac.jp
(シンポジウムco-chairs): 東北大 福山博之、名大 宇治原徹、信越化学工業 美濃輪武久、京大 川西咲子

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