イベントのご案内
2024年春期講演大会公募シンポジウムテーマ要旨
春期講演大会では、下記5テーマの公募シンポジウムを実施します。講演を申込む場合は、希望するシンポジウムを選択してお申込下さい。
S1 マルテンサイト変態「温故知新」
Martensite: Discover the future by studying past and present
マルテンサイト変態は鉄鋼材料の高強度化に有用な変態であり、例えば、自動車用鋼板の軽量化により燃費向上、カーボンニュートラルに寄与している。また、形状記憶特性をもたらす変態でもあり、Ti-Niをはじめとし、磁性形状記憶合金、生体用Ti基合金、建築土木用 Fe基・Cu基合金などの研究が行われている。その他、熱量効果や制振特性など、様々な材料特性に関連し、マルテンサイト変態の研究がなされている。
近年、このようにマルテンサイト変態に関する研究は多様化しており、時代と共に社会的・工業的目的も変化している。それゆえ、変態の基礎に対する理解を深化させる重要性が一層高まっていると言える。そこで、本シンポジウムでは、鉄・非鉄を問わずマルテンサイト変態研究のこれまでの基礎研究の成果と未解決問題を改めて学び、その上で、脈々と引き継がれてきたマルテンサイト変態の基礎と応用に関する実験・理論からの最近の研究成果について議論することで、これからの時代に求められるマルテンサイト変態研究の方向性を捉えたい。
テーマ責任者
(シンポジウムchair):東北大学教授 大森俊洋
(シンポジウムco-chairs):東工大 稲邑朋也、筑波大 金 熙榮、熊本大 松田光弘、東工大 中田伸生、物・材機構 柴田曉伸
S2 特異反応場における時間/空間応答を利用した新奇材料構造創成 V
Tailoring of novel-structured materials using spatio-tem-poral responses under exotic reaction fields V
非平衡状態を利用したナノ・マイクロ組織を有する材料の開発や物性探索において、極限反応場や特殊環境下の非平衡励起状態、緩和過程に代表される時間変化を利用した*エキゾチックな*時間的・空間的応答の理解・制御が重要である。同趣旨にて開催した過去4回のシンポジウムでは2件の基調講演のほか15件程度の一般講演があった。このように会員の興味が高いことを踏まえ、2024年春の講演大会でも継続開催する。最新のコードを使った照射損傷過程の計算科学的解析やレーザー光を使った独自の粒子制御に関する実験成果を基調講演として据え、高エネルギー線照射や高圧下などでもたらされる特異反応場における時間/空間応答を利用したナノ・マイクロ組織形成過程について議論し、新規材料開発への展開を図る。
テーマ責任者
(シンポジウムchair):筑波大学数理物質系物質工学域准教授 谷本久典
(シンポジウムco-chairs):東北大 森戸春彦、(株)illuminus 中村貴宏、大阪公立大 堀 史説、東北大 田中俊一郎、大阪公立大 岩瀬彰宏
S3 超低損失軟磁性材料の開発動向~パワー半導体との共創による革新的パワエレシステムの実現に向けて~
Trends in the development of ultra-low loss soft magneticmaterials~Toward realization of innovative power electronics techno-logies by co-creation with power semiconductors~
軟磁性材料は古くからトランスやインダクタなどの受動素子の一端を担ってきており、さらに最近では,次世代パワーエレクトロニクス用受動素子への応用展開に向けた新たな超低損失材料の開発の必要性が増している。しかしながら、パワー半導体との共創の視点では、材料開発の現状と課題の整理にとどまり、ブレークスルーのための新たな材料の開発・設計指針が明らかになっていない。本シンポジウムでは、次世代パワエレ用超低損失軟磁性材料の開発動向を整理するとともに、次世代パワー半導体およびパワエレシステムにおいて必要とされる軟磁性材料の基本特性を議論し、その課題と今後の展望について議論する。また、本シンポジウムを通じて、金属学会のみならず電気学会等他学会で活動している若手・中堅の研究者を含めて広く議論し、金属学会への会員参画への動機付けや、新たに軟磁性材料の研究開発に参加しやすい動機付けを提供したい。加えて、次世代パワエレへの展開の観点から、軟磁性材料に関する最新の話題を提供する。
テーマ責任者
(シンポジウムchair):東北大学大学院工学研究科教授 遠藤 恭
(シンポジウムco-chairs):阪大 白土 優、磁研 阿部世嗣、東北大 岡本 聡、プロテリアル 西内武司、産総研 尾崎公洋、藤田麻哉
S4 材料機能特性のアーキテクチャー構築シンポジウム Ⅴ-さまざまな格子欠陥・相界面のアナロジー体系化による学理の再認識-
Architecture construction for functions and properties ofmaterials ⅴ ―Reconsidering the principles for various lat-tice defects and phase interfaces based on systematic classifi- cation by analogy―
材料機能特性のアーキテクチャー研究会が企画する公募シンポジウムの第Ⅴ弾である。結晶構造や格子欠陥から相界面を含む組織まで、マルチスケールにわたる材料の構造全体をアーキテクチャーとして捉えている。前回、異なる材料や反応における「さまざまな拡散・輸送現象の類似と相違をアナロジーで体系化する」という企画が好評であったことから、今回は続編として現象から組織因子に視点を変えて「さまざまな格子欠陥・相界面の類似と相違をアナロジーで体系化する」切り口で、広範な専門分野に共通する基礎学理を再認識して理解を深める機会とする。構造用と機能性、金属とセラミックスなど材料の枠組みを超えた議論を期待する。多様な専門分野で研究される多彩な材料において、格子欠陥や相界面は機能特性の発現原理と密接に関連し、これらの制御によって材料の性能を最適化できる。格子欠陥と相界面を精緻に解析して制御する手法は、材料設計と製造プロセスにおいて重要な役割を果たす。
テーマ責任者
(シンポジウムchair):東京工業大学物質理工学院材料系教授 木村好里
(シンポジウムco-chairs):足利大 小林重昭、東北大 関戸信彰、産総研 田中孝治、熊本大 連川貞弘、東工大 細田秀樹、東北大 吉見享祐
S5 材料表面の化学I-めっき・耐食性・耐酸化性・触媒研究の新展開-
Chemistry on Material Surfaces I: The-state-of-the-artresearch in plating, aqueous and high temperature corrosion,and photocatalysis
材料表面と溶液や気体などとの化学反応は、めっき、化成処理、腐食、高温酸化、触媒などの分野で重要な研究対象となっている。また、表面化学反応を積極的に利用したナノポーラス材料などの開発も活発化している。しかし、材料表面と溶液・気体との化学反応の本質にせまるには、その場解析が不可欠であるが空間・時間分解能や分析精度などには制約がある。さらに不均一反応であるため理論的な取り扱いも発展途上にある。反応起点や律速段階の学理の深化には課題が多く、関連分野の研究者および企業での開発者が一同に会して問題点を抽出・議論することが必要な時期にきている。本シンポジウムでは材料表面の化学に関して、主にめっき・触媒・耐食性・耐酸化性の分野から講演を募り、研究者間での意見・情報交換、討論を行う。
テーマ責任者
(シンポジウムchair):大阪大学准教授 土谷博昭
(シンポジウムco-chairs):物・材機構 廣本祥子、東工大 上田光敏、東北大 竹田修、防衛大 田邉豊和