金属は身近なところで活躍しています。
身の回りに溢れている金属製品について、知っているようで知らない事がたくさんあります。
どこでどんなふうに活躍しているか、身の回りの金属について知ってみませんか?
金属ではどんな仕事をしているの?
日立金属(株)鋼材部 鋼材グループ
綿貫友裕さん
- Q1.どんな仕事をしているのですか?
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私は日立金属㈱という高級金属製品や磁性材料を中心とした総合素材メーカーでエンジニアとして働いています。 私の働いている高級金属カンパニー安来工場では、主に特殊鋼を製造しています。 特殊鋼の中でも、工具鋼と呼ばれる製品は普通の鉄鋼に比べ、より硬く粘り強いのが特長です。 その特長を活かして、皆さんの身の周りある電気製品や自動車などを効率よく量産するために必要な“金型”に使用されています。
<ダイカスト金型(DAC-MAGIC)>
私の職場は熱間鍛造部門です。ここでは製鋼で鋳造法や特殊溶解法で製造された鋼塊(インゴット)を1000℃以上の高い温度に加熱し、大型プレス機で鍛造することで特殊鋼を製造しています。 鍛造を行うことで、必要な形状を得るとともにその中身である“金属組織”を均一かつ細かくすることができます。 熱間鍛造は、鋼の品質と性能を向上させるために非常に重要なプロセスです。
<自由鍛造プレスによる熱間鍛造>
鋼は鍛造される温度や作業プロセスによって、得られる金属組織が変化します。 より良い鋼を得るためには、どのような方法で鍛造を行えばよいのか?といったことを追求することで、製品の品質向上を行っています。 - Q2.会社にはどんな人がいるの?何人くらいの人と一緒に仕事をしているの?
- 安来工場では概ね3,000人の従業員が働いています。 その中でも私の所属しているセクションは、生産現場のオペレーターと、エンジニアを合わせて総勢150人程度の職場です。 そして私と同じフロアでは20人程度の同僚が一緒に仕事をしています。
- Q3.会社では毎日どのようなことをしていますか?
- まずは現場での朝のラジオ体操から始まります。次に今日一日の予定を確認しながらオペレーターとの打ち合わせを行います。 私自身が直接作業をすることはありませんが、製品をつくるため、あるいはさまざまなテストを行うための指示を出します。 その後は、他のセクションのエンジニアとの打ち合わせや、テストデータの分析、また会議用の資料を作ることも多いです。
- Q4.仕事をしていて楽しいことは?つらいことは?
- どのような鍛造を行えばより良い製品が得られるのか、を考えているときが楽しいです。 製品の品質を変化させるさまざまな因子の影響を調査し、それらを上手くコントロールする方法を編み出すことが醍醐味と言えます。 一生懸命頑張っても結果が出ないときはつらいですが、「次はこうしてみよう」という前向きな気持ちがあれば、困難も乗り越えられると思っています。
- Q5.会社に入った動機はなんですか?
- 大学で金属工学を専攻し、金属材料の面白さと社会の中での役割の大きさを実感しました。 金属自体は多くの製造業で扱われていますが、その中身をつくっているところは限られます。 金属の中身をつくることに携わりたいと思ったことから、特殊鋼で世界をリードしている今の会社を志望しました。
- Q6.子供の頃から材料に興味があったのですか?
- 初めから強く興味があったとは言えませんが、金属材料というものを勉強して知っていくうちに、徐々に興味が湧いてきたんだと思います。
- Q7.大学では何を学んでいたのですか?学科は何ですか?選んだ理由はありますか?
- 大学では金属工学を専攻していました。私が入った当時の学科の名前は「物質生命システム工学科」というもので、金属材料だけでなく、 応用化学やプロセス工学、また生命工学についても学べるところでした。 さまざまな専門分野が学べるところに魅力を感じ、最終的には金属工学に一番興味があったことから専攻を決めました。
- Q8.大学で学んだことは、仕事に役立っていますか?
- 大学では様々な基礎科目あるいは専門科目を受講し、また研究室に入ってからは大学院を卒業するまで実験や学会発表といった研究活動を行っていました。 学生時代に得た知識や研究結果が、そのままの形で仕事に活かせることは多くはないと思います。 しかし、講義や研究活動を通して得た基本的な物事の考え方、また問題に直面した際の解決方法などは仕事の多くの場面で役に立っています。
- Q9.仕事が終わった後や休日はどのように過ごしていますか?
- 仕事が終わった後も、仕事のことがなかなか頭から離れないのですが、明日の活力のためには日々の休息も必要です。 頭のスイッチを切り替えて十分にリラックスするように心がけています。休日はよく出かけます。 山陰地方は海に山に自然の宝庫ですので、趣味のドライブにはうってつけです。 普段とは違う景色を見ることでリフレッシュすることができ、また翌日からの集中力につながります。
- 最後に、高校生へのメッセージがあったらお願いします。
- エンジニアとして活躍するためには、さまざまな専門知識や考え方を学ぶことが必要になってきます。 そして、それらの基礎にあるのは高校までの数学や物理、化学であると言えます。 社会に出てから必ず役立ちますので、勉強しておいて損はないと思います。 また、趣味や部活動など、何か一つでもよいので、自分の好きなことに積極的に打ち込んでみて下さい。
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